26-97 普通のダンマス アミル:手本
結果だけを言えば、元奴隷24人が一斉に石を投げつけてぎりぎり当たった12体のウサギ以外、達成できたものはなかった。一斉に石を投げつけても当たらない奴には当たらずそれで、MPを使い果たし、倒れる羽目になった。
「お疲れ。思ったより取れたわね。」
さらっと言う、アミールに殺意沸く顔をする
「この依頼、実は全員坊主(何も取れなかった)だと思って依頼したから。思ったより私の財布が痛いわ。」
アミールが、食べ終わった皿を片付けて、席でゆったりハーブティーの香りを堪能していながらの話だった。
「どういう事ですの?」
「今後の依頼では、無茶言い放つ奴も出る。嵌めてあんたたちを殺して、武器防具とか奪おうって奴も現れる。一見うまそうに見えるでしょ。でも外見だけに騙されなくて失敗だってありうる。特に今後、ああいう”見た目と違って強いやつ”って奴が出る可能性もある。だからこそ、油断しないで、そして生き残るすべを考えて欲しい。」
「ぐ。」
全員が押し黙ってしまった。
「特に自分が強いと思って、行った場所がいきなりピンチだったなんていくらでもありうるのよ。だからこそ、考えて動くこと、後…。」
「なに?」
「グランから聞いたわよ。誰も”どうして依頼した?”とか”どうしてウサギが強いとわかった”とか聞いた人いる?」
「あ…。」
「それも聞かないんだもん、勝てる物も勝てなくなるわ。」
その言葉に押し黙ってしまう。
「じゃあ、あんたならできるのかよ!」
奴隷の一人の少年が絶叫に近い…苛立ちの声を上げる。
「…じゃあ、やってみようか?グラン、行こう。」
急な話でも、アミールは分かっていたように、地下に降りて行った。
「まず、狩りの基本は教えてないから言わないけど…。最低でもこれ位作っておきなさい。」
そう言ってアミールが取り出したのは先のとがったナイフだった。
「石作成で調整して作った投げやすいナイフ。でこれをいくつか作っておく。」
数本作ると、手で周りの行動を抑え、ゆっくりと歩く。そして…狙いすました一撃がウサギの首にヒットした。そして、周囲を見て、驚いた2匹目に2投目、3投目…。ウサギを狩ると、周囲を見渡すと、もうウサギの姿は周囲にはなかった。
「こういう感じね。」
「流石、オーナーです。」
グランは軽く微笑んでみていたが、この状態に、元奴隷の全員の顔が硬直してしまった。やってみろと入ったが、ここまでの差があるとは思わなかった。
「私のこれでも…どうもギルド会報誌とかだと、下級ランクらしいわよ。もっと体力の作り込みが違うとか、剣術の達人もいるらしいからね。世の中。」
さらっと言うが、その…上の上の上の発言に、頭の理解が追い付かなかった。あれだけやれて、下級?もっと上がいる?
「きょうは、みんなでウサギの丸焼き分けて。食べましょ。ウサギの丸焼きは結構うまいからね。」




