26-95 普通のダンマス アミル:先生
「みんなは取りあえず、土魔法レベル1がついに覚えれたわね。」
居並ぶ24人ほどの元奴隷たちが整列し、アミールが台に立って演説していた。主に身長の関係で、こうしないと全員を見渡せない上に埋もれるからだ。
「後は、メールに示しておいたから、使って、修練して、頑張ってほしい、」
隣には、中抜き”ブロンズ”ゴーレムが一体立っている。これはゴーレムを魔石が使えるようになってから検証を行い作成したものだ。何もない所から全部作るには300MP。手に触れた”何らかの形ある物”をゴーレム化するのには150MP、ゴーレムの基礎形状に従っているか、ゴーレム”回路”だけなら50MP。さらに停止してゴーレムにはMP供給しつつ”乗っ取り”が可能だ。但し、より高いレベルの土魔法を持ち、MAGが高い方の命令を優先する。という事が発覚した。うちゴーレム回路は柳田論文・ゴーレム白書”に書かれていた。土魔法レベル5からゴーレムの素材を変更できるのだが。そこで”砂”を選んだ後に”必要のないものを捨てなさい”と命令すると出てくるのがこのゴーレム回路と呼ばれていた。これ単体をアイテムで運ぶことが可能で、この部分は魔石で出来てた。これを張り付けたり、これを中心にゴーレム作成の魔法を唱える事で、どの素材でもゴーレム化できた。但し、その素材を変更するには対象の重さ分の変化先の素材と”素材変更魔法”が欲しい。こうして、アミールの操作ゴーレム一号となったのがこの中抜きブロンズゴーレムだ。硬さはともかく、軽くてある程度頑丈。重りでバランスを取ってあり、”ゴーレム強化”でかなりのポテンシャルを持っていた。欠点はここ迄パワーアップしても単純命令しか受け付けず、物の運搬程度にしか使えない事だ。ついでにこれを使って。…いや造形はちょっとどこぞかのロボットに似てるけど、うちで作れる鉱床のカッパーゴーレムとブロンズゴーレム。、アイアンゴーレム。ブラスゴーレムと中抜きシリーズも開発。ダンジョンに登録しておいた。
「先生、あんなゴーレム。」
「これは私しか今のところ出来ないからね、土魔法にすべてを捧げないとできないのよ。残念ながらね。」
スキルの成長に関する”ギルド成長案内書”によると、レベルアップは今のところ確認されているのは4通りで、経験3LV,スキルオーブ3LV,SPが3LV。進化ボーナス3レベル。そして上限は10レベルまで。最近この4番目が発見されたらしい。私は経験LV2,スキルオーブLV1,ボーナスLV1、ついでに最近使ったSPLV1で6レベルにした。SPの余りが2個あるので、最近7まででもいいかと思っているが、アイテムボックスと鑑定で悩ましい。というのも…アイテムボックスのスキルオーブは激レアらしく、ほぼ発掘されていないらしい。闇魔法が代替えになるが、注意の職業でかつ、闇魔法が使える職業でないと育たないらしい。悩ましい。
「先は長いです。」
「でもあれよ。運送屋に入ったり、運び屋やるならここまででもいいのよ。」
「そうですか?」
最近はトゥーンラビットから生活魔法について教わっているので、どうにか1レベルは取れそうなんだよね。これを教えれば相当違うと思う。
「冒険者ってわけじゃないけど、そのカードに来る依頼は何でも屋よ。頼まれれば何でもやる。そのくらいの意気込みでいいわ。その時に土魔法は役に立つわ。」
穴を掘って、閉じるだけでも、排泄物の処理ができる。これだけでも十分価値が生まれる。ダンジョン以外なら。難解そのお世話になったからね。地味に有能なのだ。
「でもこれで御家復活には…。」
実は私が見たあの時の貴族っ子も、売れ残った末にこの”魔法使いセミナー”に参加してしまった。意外と物覚えが良かったので、
「それは、難しいわ。あの連中は自分以外全部ゴミと思ってる節があるから。でも、身を立てて、昔よりいい生活は絶対にできるわ。たとえば今日渡したギルドカードにはそれだけで、金を稼げる凄いものが多い。」
そう言って取り出すのは”冒険者弁当Aセット”だ。
「食べ物を出すことができる。これを田舎で売れば当然。儲けれるわ。」
ただ、これもギミックがある、田舎に行っても元々”金なんてない”。しかも、私がこれを貰ってから確認した所、文明的な物や戦略的価値が優先した価値基準らしくよっぽど手を掛けないと高く”現物”が売れない。価格調整により、自分が出す分は旨味があるが、商売には難しいという感じに価格がなっている。なお、一日の出品限界も存在しており、ギルドカードからは商売しにくい、オーブにはその制限がない。ただ、子供たちや、売られた奴隷たちの目の色が変わるのは当然である。
「これに銀貨を入れて、道具を買える。そして、依頼は内部にあるクエストって所を呼び出せば出せるわ。テスト用にちょっとしたことをする依頼を銅貨3枚を私から入れておいたわ。」
「おおー!」
クエストの機能確認用だ。でもこれでやる気になってくれればいいんだけど、現在その”水場”は兵士たちに封鎖されている。
「さて、行きましょうか。」




