26-81 普通のダンマス 口添え
その後の話をすると、侯爵一家は全員打ち首となった。無実の人間に罪を着せ、自分の着服をごまかした罪だ。ついでにスコーブは三日後にわざと、街の外から帰宅。たまたま、スコーブは仕入れに他の町に行っており、その帰りだとした。ついでに本当に外に出てもらい数人、都会に行きたい若者を購入。帰ってきたのだった。
「でだ、あんたと契約が結びたい。俺とあんた、こいつが手を結べばこの町は支配できると思う。」
「だろうな、収益が上がればな。ただ、再開発計画とか様々はしいぜ。」
俺は近くのウサギ肉の丸焼きに手を出す。切り分ける用のナイフで、大きく削る。あまり聞かれても怖くない話はあえてグランの店でサクラを演じつつセコーブと飯を食っている。アミールは現在奴隷で筋がいいやつに魔法を教えている。荷車は接収したから、これで、この町でゴーレム車が量産できるはずだ。
「俺とお前がいれば天下が取れるはずだ。土鈴商人も復活したからな。バンバン人材を買い集めるぜ。」
そうスコーブが言うとおり、まあ、カッツンはともかくこのスコーブは頭が切れる。関係者として迎える事で承認。いくつかこちらに譲歩してもらえることで向こうもこっちも納得の上、お互いを利用し合える存在となった。こっちの利益は”DP”だ。奴隷の一時預かり場をダンジョンとすることで、奴隷からDPを搾取する。そしてアミールはそこで土魔法を”教育”する。そうすることで、魔法使いを増殖させ、売り物にする。また、統一言語とか、鍛冶もも覚えさせることで、ステップアップしてもらって次の就職を行う事になる。食事は当然彼らのDPからこちらで生産して渡す。ここで食のダンジョンマスターの”食関連の費用半額”が生きる形となった。
「まあな…。俺もようやく出る事が出来た。」
それから二〇日、国軍が来るかと思われたが。公爵の件で貴族ががたがたであって来なかったので22日分のDPを稼ぎ550万DPを貰った。その分を使い、俺はこうして専属契約を解除し無罪放免となった。あと250万DPでコアとの一蓮托生も解除だが、そこまで贅沢は言わない。
「でも…いいのか、俺の主として君臨してもいいんだぞ。水場の主。」
で、なんとなく、この事態は例のスコップが引き起こしたと思っている。だから歯車が狂ったんだとね、言わないけどな。
「…俺はいつでも死ぬと思っている。」
スコーブ側には先ほどの”奴隷のステップアップ”のほかに聖女水などを使った治療を出している。そして、彼自身がこっちの御用聞きをしてもらう。こっちはまだ顔を知られたくない。後、奴隷でいいやつはこっちで貰うし、教示のスキルの影響もある。結構育つのが速い。
「誰だよ。」
「魔王、世界最強っていう奴だと思う。」
「…私より上はいくらでもいる。」
「おまえは?」
来たのはエルフの少女一人だった。いつの間にか玄関の外にいた。
「…どうする、…ギルドに加盟する?…文字化けのマスターさん。」
「こいつは俺が知っている限り、世界最強クラスだ。ギルドのトップ、ほら、言っていただろ、侯爵もギルドが―っていうあのギルドだよ。」
その言葉に慌ててスコーブは距離を取る。
「…ギルドに入る?」
「あんたと敵対するかもしれんぞ、…それにイベントとか入れないんだ。だから無理だと思っている。それにギルドに入る利点もない。」
「…入れないおかしい。全員に門戸を開いている。」
「すまないな、そう言うわけだ。」
ギルドに入れば大方、俺達の価値は相対的に下がる。今は魔法が使えるアドバンテージもあるだろう、この地方ならだ。いずれはなくなる。が、そこには。
「…文字化けの理由だけでも教えて。」
その捜索できたのか。
「やめておく、俺の手で解決したい。亜人同盟に入ることはない。」
「…やっぱり、勘違いしている、私は亜人同盟ではない。だから違う。ここにギルドショップを置かせてほしい。それだけ。」
「すまねえ。お嬢ちゃん。そのギルドとやら説明してくれねえか?」
混乱したスコーブの意見に…俺は頷くしかなかった。意味が全然分からん。




