26-76 普通のダンマス アミル:脱出
「貴様―!何をする―!」
突然令息が、全力でこっちから逃げ出す。
「貴様!令息に手をかけるとか!無礼な、死ね!」
取り巻きの3名が剣を振り上げ、襲ってくる。
「で、こういう時はどうするの?」
「待て。手を出すのはまずい、」
「分かった。」
アミールは壁を自分たちの周囲に出現させる。岩変化の亜種だが岩を壁状にして出現させた。こうすることで疑似”ロックウォール”が完成する。防御にも使える優秀な魔法だが、最近魔法レベルが上がって威力が上がった為、大きなものも作成できるようになった。
「何だと!壁が!」
「どうしました。」
騒ぎを聞きつけ、兵士長がやってくる。
「おい、センダル。奴は俺を殺そうとした。だから殺せ。命令だ。」
「御屋形様に魔法使いは取り込む予定だから、手を出すなと。」
「俺の命令を聞けない奴は関係ない。殺せ、命令だ!」
外側から聞こえる喧噪に、アミールは頭を抱えた。
「これ、貸し一つよ。相手を選びなさい。」
「…すまねえ。」
護衛が頭を下げる。
「で、どうします。あのままじゃ。」
周囲の壁には何か叩く音とか聞こえてきている。
「穴を掘るわよ。」
アミールが手をかざすと、馬車の足元の土が消え、洞穴ができていく。
「ごめん、パペット、穴掘り頼むわ、後、あんたら、どうする?死んだ事にする?」
「何だよそれ!」
流石に身代わりの男も怒りだす。
「だって貴族に睨まれて、街に戻れる?」
「流石に俺もあれはは、取り込むつもりは知っていても、あれはな。」
パペットは無言でアミールが掘った穴を深く
「後は…あんたらも、とっとと地下に行きなさい。」
「あ、ああ。」
そう言うと、全員が地下に潜ると、そのまま周囲の壁を高質化し、地面を閉じだ。
「ここまで…。」
「穴を掘るとは考えないはずよ。今のうちに穴を掘って逃げる。パペット、穴を掘りながら、荷台を運んで、こっちは連絡入れてから回収してもらうから。」
アミールたちはしばらく待機すると石造りの通路まで逃げ延びる事が出来た。
「何だここは?」
「私の秘密よ、だけど…。通路おおきくない?」
通路の高さは3m幅も荷車に合わせた2mとなっている。
「…俺が来たからだ。マスターに言われてな。レイラも来ている。
「ぎゃぁー!」
見張りと護衛の二人はあらんかぎりに叫んだ。視界の先には二人の巨人の手足が見える。
「あんた、新入りよね、」
「ああ、俺達はあんたたちの忠実な僕だ。」
「うが。」
レイラも頷く。
「ああ、アミールのお嬢…こいつはセコーブの懐刀のマリジツじゃねえか。まあいいか、こいつは接収する。だから。」
「分かってる。お前らを引き取りに来たんだ。お嬢はパペットに。」
「そうするわ。頼んだ。」
「お前らはレイラが担ぐ。荷物は俺が何とかする。いけ。」
「任せた。さて、レイラ…行くわよ、」
「うがぁ。」
レイラは二人を抱えると、全力で走り去ってしまった。




