26-48 ガチャの中身を分担させるとペットが増える、僕には理解できない。
「前回のガチャは苦情多すぎた。」
「仕方ないです。あれは…。」
あのほぼ爆死ガチャは見事と苦笑が当たった人が…一人しか出なかった。柳田さんが、検証で血眼でガチャを回したらしい。ついでに迷惑料で儲けの数割を返却したよ。出る事は証明できたが、外見は、柳田さんが見ても一発アウトだったらしく即封印だったらしい。検証班の柳田さん、マジで済まない。
「で、次が、持ち回りの千鳥万花だよね。で、これ見た感想は、まずリーダー呼び出して。」
「は、行ってまいります。」
早速来てもらったのが、一対一でやり合いたくないランキングトップの鳥海さんだ。トサカ頭とだわさでウザいが、それだけじゃない、頭の瞬発力が高く、切り返しも口論も旨い。
「何だわさ。あれ、どうだわさ。」
「ちょっと聞いていい?まずラブリードックって何?」
「ん?ペットだわさ。」
「そうじゃなくて、現物登録させないと出せないよ。」
「全部のリスト持っていると思っただわさ。」
…ぐ、そこに迄探りを入れて来るのか。やっぱり一筋縄ではいかない。
「ダンジョン特性のあれもあるからね。」
ダンジョンのファクターとか含め、僕が完勝していい範囲は少ない。
「じゃあ、登録時に特賞の設定に関してはそっちに取得権限を渡すだわさ。」
「分かった。できれば…。」
「ああ、そうだっただわさ。ちょっと待つだわさ。向こう言って設定変えてくるだわさ。」
そう言って、こっちの許可を取るまでもなく、さっと帰ってしまった。
「あれは食えないですね。相変わらず。」
ハーリスも呆れているが、僕は全ダンジョンの”取得モンスターリスト”をやろうと思えば取得できるように契約はしてある。が、この切り札を使うと大方不信感がきつい。そして実はファクター専用モンスターの多くは僕の設計ではなくて神様設計だ。一部は僕の思惑と違うように設定されている。特に後で聞いた”シングルモンスター”の取得方法についてははっきり言って、”難題”クラスを突き付けるダンマスへの挑戦状になっていた。それを聞いてなおさら…。やる気はおきなかった。大方、各ダンマスのうち上位だけが戦闘を拒否した裏にはこの”シングルモンスター開発”が絡むのが分かっている。これを取ってしまえば相手の戦力を下げれるのだ。僕たちには最終切り札”始祖”があるが…。それを回避するすべもないとは言えない。特に”獣”系は始祖がいないんだから。
「じゃ、連れてきただわさ。うちのペットの、”チュワン”ちゃんと、”ニャワン”ちゃんだわさ。」
いつの間にか戻ってきた。ぐ!
「それは?」
ハーリスさんには状態異常は効かない。
「うちのペットだわさ。かわいいでしょ?」
チワワとアメショの…子猫と子犬コンビだ。ベーシックだが王道だが来やがった。
「ラブリードックもこのハウスドック枠で、ダンマスが作る時に限って145種の中から選ぶことができるだわさ。しかもなんと、猫と犬、別種でそれぞれだわさ!」
うわ凄い。選べるの?
「だから、可愛い子猫、子犬のペットが手に入るだわさ。ついでに増えろ猫派!」
だから喧嘩売りに行かないでよ。
「へぇ、なかなかかわいいね。」
「ほう、分かっているだわさ。この子達は愛されボディになる為に、血のにじむ努力で…。」
「何?」
「あざとポーズの開発に余念がないだわさ!」
「…確かに、実際、モフモフとカワイイというスキルが6レベルになってます。」
え?何それ、限定スキル。
「流石分かっているだわさ。普通より2倍の可愛さを誇るだけでなく、毛並みもちゃんと整えて訓練してあるだわさ。」
「美形や融和の亜種ですね、スキルは。条件が厳しくなる代わりに効果が大きくなってます。」
「世の中広いね。」
「ただし、レベル30になっても ステータスがほぼ伸びないだわさ。」
うわ、そこが欠点か、でも可愛い。つぶらな瞳がまたかわいい。
「ハウスドックはこれに通常販売で人気9種を後で持ってくるだわさ。ダンジョンに癒しをくれるいいやつだわさ。」
ただ、冷静に考えるとすごく頭がいい。他のダンジョンの戦力低下を狙う上でこれはかなりきつい。カワイイ子犬とか、子猫はDPが余った暇なダンマスにとってかなりの娯楽だ。俺の夜目自慢だけで、相当ページがかさむのに、ペット自慢?DP低下をガチャで狙うには十分だ。そして、出したとしてもこれなあ戦力にならない。こんな事になるとはてやつだ。僕は、買わないでおこう。が、女性陣は飛びつくな。覚悟しておこう。
「分かった。登録しておくよ。ただ、期待しないでね。」
「いいだわさ。儲けよりも、猫派と犬派の選別ができるだけでも十分だわさ。」
新たな闘争の火種が!って…これはこれで妙に平和的だな。




