26-46 普通のダンマス アミル:スラムの生活
家はその辺の襤褸小屋の中に半ば空き巣泥棒の陽に潜り込んだ。そのまま二日がたったが何も起きない。連絡はして、上場を伝えて、プランBの実行に移ると伝えた。それからは…この腐った世界の住人というわけだ。まあ、友達もいないわけで…ここは孤児が多いのか又は、警戒感が強いのか非常に…誰も話しかけてこない。ので、誰もここにいて文句が来ない、ただ…非常にここはぼろ家で、かつ…城壁の傍で見回り兵さえ城壁に来ない。…どうもこの塔の角地というこのスラム街のある地域は非常に私が農村で、いろんな匂いに耐性があってさえ顔をしかめるぐらい町全体が臭い。様々な臭いだ。時々血の匂いもするが、それを押し隠す匂いだ。そしてここに誰も来ない理由もこの壁の傍で…上にそれでも来る兵士の視線を嫌がるのだろう…誰も来ない。朝は偽装と情報収集を兼ねて街中を歩く。スラム街だが、非常に活気もない。時々胡乱な目のおっさんとかボロボロの服の女性が歩くだけで…あの目線には吐き気がする。
『こんなになるまでスラム街を放置とか…ここの領主に期待は持てないわね。』
実際聞いた話ここの衛兵の噂は最悪だ。どうもあの門番たちはどこぞかの貴族の三男坊らしく、非常に金に意地汚い上に変にプライドもある。そのせいが、あの門番を…あの衛兵隊全員がそう言う役割らしく、時々大商人でさえ、睨みつければ隊全員で刺し殺すという。当然のごとく貴族の息子という事もあり、裁判があっても無罪放免らしくこの町を出る人間は最低でも衛兵の数を上回る”実力と数”をそろえて襲われないように城門に寄るのが常だそうだ。…あれでもまだまともだったみたい。対応が。
「お前ら、仕事が欲しいものは集まれ!」
役人が来て大声をあげる。このスラムでは仕事らしい仕事もない。奴隷制度もあるらしいが、それでさえ…有益と思われないと攫われもしないらしい。それ位待ちの中には入って出れない奴がくすぶっているらしい。そして、そんな余った人間を顎で使い、役人たちがやってきてははした金で雇い、どぶ攫いとかをさせる。どうもこの匂いには苦情があるあらしく…駆り出されているのだろう、市民を見て悪態をつく役人を見つけている。私は、それを避けるように露店が並ぶ市民街を歩く。汚れた格好でも通りの
中央を歩かない限りは大丈夫だ。が、時折通りの片隅には植えた子供がちらほら見える…こういう子を雇えればいろいろうまくいくのだが…今はだめだ。持ち込んだ銀貨4枚程度では数日…自分が飯を食うだけでも限界だ。お、目的地だ。
「…がきか…。」
金がなさそうな、ボロボロの服に手には何も持っていない。ここはパン屋で…最初は分からなかったが、匂いがパンだったので入ったらパン屋だった。がここのパンも当然大きいが…銀貨一枚だ。銅貨とかではおいてないのか、こいつら。
「…そこの…くれ。」
指さした先にあるのは、袋で積まれたごみのような塊のパンの失敗品だ。どうもこの小麦の粉…日本で言う”粉の品質チェック”はされていないようで時々質の悪い、ふくらみの悪いパンが生まれる。それは大抵店の裏の隠れた場所に置かれている。袋は…今回かなり失敗が多いな、私の体程もある。
「…売り物じゃねえんだぞ。」
日本からしたら、この態度だけで、炎上騒ぎが起きそうなあれだが…巾着袋から、銅貨2枚を取り出し、見せる。
「…4だ。」
渋い顔をしてみる。
「そんな顔してもダメだ。なら帰れ。」
仕方なくカウンターの上に銅貨4枚を置く。
「…持ってけ。」
言われて、軽く一礼をすると、その袋を持って、通りの隅を歩く、これでもこの店員は事前事情をしていると思われる程度に優しい方だ。前見た時には子供が寄っただけでメイスと勘違いしそうな棒を持って追い回すやつもいたぐらいだ。が、この量なら、結構食える。そして、うちに帰るべく歩く、後、地味にこの町では”お釣りを返す”という文化が無い。最初に偵察も兼ねて、買い物をした際に。銀貨3枚を銅貨45枚まで交渉の末に値引いてみたら…銀貨一枚を渡してそのまま帰そうとしていた。文句言って無理矢理銅貨55枚を持って行ったが…。これは自分が馬鹿にされているのかと思ったら、どうもそうではない。どこの軒先でもこれに似たことが行われていた。最悪小銭が足りないと花や、小さい木のきれっぱし…最悪だと薪木を手渡される。ただ、この薪木も只ではないらしく、二抱え銀貨一枚で売られていた。…ひどい世の中だ。計算できないとこういう感じなのか・・・。
「おい!」
裏通りを歩いていると、数人の子供がこっちを取り囲んでいる。数は5人か。
」何?」
「いいもの持ってるじゃねえか。」
「…欲しい、まずいパンだけど、」
「全部寄こせ。」
「ふざけないで。」
そう言うと、反発的に一人が襲ってくる。周囲に人影はないな。




