26-40 普通のダンマス 公爵国
その夜になるとアミールと二人で、今後の計画の話になった。結構飲食が豊かになったとはいえ、今後はこの都市に入り込み、領域を広げないといけないが、この城壁が
非常に厄介である。
「問題はあれよね。」
「ああ、城壁だ。」
城壁は”領主”が所有者であり、これをまたいで奥に領域は伸ばせない。24時間の占拠を行わないといけないが当然城壁の上には見張りが歩いている。4方には見張り台
兼用の塔があり、更にその上には通路もある、ついでにいくつか…投石器もあるな。地味に防衛能力も高い。一応城門は空いているが常に二人の兵士が見張っている。後地味に…入場時に人頭税を取っているのが確認できた。銀貨7枚だ。これは地道に…村を家探しして、アミールのへそくりも回収し、銀貨はある。後はこれをDPで生産して…一枚100DPで700DPが欲しい。高いな。
「どうする?」
「いろいろ考えているが、もう、ラムネは外す。領域を確保したなら。」
「どうするのよ。」
もうあんなことは嫌だ。宝箱はこりごりだ。ただ、これは一時的だ。
「まずは、外に出る市民の様子を観察する。そこから探そう。」
「了解。」
この辺境都市、名前をへヴェール城と言い、どうもへヴェール公爵国と呼ばれる国の首都らしい。…いきなり首都か…。当然トップはへヴェール王。らしい、兵士たちの会話を監視モニター越しに聞いていた。そしてここは十数か所あるこの大陸の大きな都市の一つであり…結構旅の商人も多かった。内容の臨検も兵士が行っており、結構厳しい審査が
理解できる。
「厳しいわね。」
「ああ。」
「ただ、思いっきりファンタジーだな。」
商人たちは馬車ならぬゴーレム車に乗り、専用の土魔法使いが御者を務めていた。その後ろには満載の荷物。確かにクリーンだが、重い荷物なら確かにゴーレムのほうが有利だ。馬車はないのか?
「そして、時々亜人も来るのよね。」
そう、時々…というよりここ三日で3名の旅の亜人がいた。エルフ一名と猫耳一名、そして小人一名だ。鑑定があれば種族が分かるかもしれんが、その辺が理解できない。
「世の中広いな。」
「うん。やっとファンタジーって感じだね。今まで不通に中世ヨーロッパだったからね。でも魔法かぁ。」
アミールも確かに生活魔法とか言った際に目が輝いていたからな。でもこうしてみてようやくスタートに立った。そう言う感じだ。
「で、どうするのよ。」
「考えた結果、アミールに頼みたいことができた。」
「…分かるわ。」
当たり前だが、中の様子は分からない。なので、アミールに偵察に行ってほしい。という事だ。だが不安もある、内部の治安がどうとかの知識は、まったくなかった。後村では
地味に周りに紅葉や枯れ木はないが、どうも冬らしい。来ているゴーレム車に旗印があり、”徴税菅殿”という言葉が聞こえてきたからだ。実は村で一度だけ、遠目から見た徴税菅と同じ格好をしていた。という事はあの車は各地の集めた税金を載せているのだろう。この世界のというか、この地方の税は”特定品目を何割または規定数。”という納税方法を取っている。家の村は普通の村なので、狩人の皮と、ゴンボラと呼ばれる。ビワの一種の実を篭十杯となっている。ついでにその代わり、この辺一帯の”狩猟権”が担保されており、自分の村以外の旅人がそこで狩猟した物を町で売ってはならないという規則がある。肉が絡むので、保存の関係で地味にこれが嫌らしい。ついでに親父とかアミールの所の奥さんがこれを売りに時々都市に行くので、おかずが豪華になる。肉は納税にならない理由が、獣が納税日に取れるとは限らないのと、なめし革が防具を作る材料として貴重視されているからだ。余った分は村人が都市に売りに行き、それを麻の服と交換してくる。なので、地味にアミールはスカートとドロワースをつけている。
「でもどうするのよ、そこから。」
そう、ここからが問題だ、手ぶらで銀貨だけで持って入るのは、実はかなり怪しまれる。
「もともと考えていたんだ。こっち来て。」
アミールと一緒にコアルームを出てみると、畑があった。ダンジョンの入れ替えの件があったので、この農地付メイズルームは別ルームにして、最終切り札にすることにした。
ついでに井戸専用メイズが、現在入り口として機能してある、面積も半分にして、別の場所から入り口で入ることができるように改装した。現実型出入り口には二つの規制がある。
一つは面積の限界がある事。これを超えて出入口を設定できない。そしてもう一つ。出入口は必ずルーム一つに隣接した物でないといけない。出入口の面積を守って別の
ルームに設置するという考えはできない。そのため、出入口は、出入り口専用ルームを建築してそこから、通路を制作しないといけない。当然井戸の間の出入り口からつなげて
通路を建設。細く長い通路で面積を確保しつつ第2ルームの井戸専用メイズにつなげている。但しこれでも2kmぐらい離せる限界でその為、村の中央にメインダンジョンがあり、そこから村の郊外に出る…までが限界だったようだ。が、ルーム自体は建築できる。それで…大体150kmの距離がある。ついでにアミールは人間でありモンスターではないのでユニット配置の効果は受けれない。ダンマスも一緒だ。なので、問題は地下道を90km歩かないといけない。…が無理だ。当たり前ながら、外でハイキングしながらならともかく地下の細い通路をとぼとぼ三日も歩けば、子供の体だ、死ぬ。かといって乗り物に使えそうなモンスターもいない。こうやって見ると、エルフチャイルドは便利だ。がどうする?
「で、こいつを売りに行ってもらうんだが…。」
「まだ早くない?。」
やっと一月半がたち、最初の種イモが6つに増えた。
「じゃあどうするよ。」
「うち一つを取り込んで、DPにして、後はこっちで増やすとして…それをDPで量産すれば?}
「おおー!」
「…気が付きなさいよ。それ位。」
「でも育ったんだな…。」
ゴブリンたちが、小躍りして喜んで、収穫を祝っているのを見て…。嬉しかった。平和に生きられるんだな。ゴブリンでも。




