26-32 普通のダンマス 孤立
そして、30分もすると、村からアミール、ダーバリ達5人の子供が、顔が怖すぎて泣いている子供を無理やり引きずって…抱えて
「「ウワーン。」」
全員が声を張り上げ泣いていた。俺でもこれは泣くぞ。アミールもだ。あんな血走った目の父親を見て怖くない子供はいない。
「黙れ!クソガキ共!」
その普段温厚で声を荒げたことのない村長の一括に…子供たちの声が止まる。
「入れ!そして、ミルツの仇を取ってこい!」
「え?え?」
そう言うと村長がダーバリの体を無理やりダンジョンにねじ込むとそのまま蹴りつけ穴の中に叩き込んだ。おいおい、せめて武器持たせろよ。
「お前らもだ。」
そう言うと有無を言わさず。ダンジョンの中に…子供を叩き込んだ。アミールもだ。…どうするんだこれ。この展開は考えて無かったぞ、こんな危険地帯に。しかも、ダンジョンに入れる際に全力で蹴っ飛ばして、全員平気な顔をしてやがる。
「よし!お前ら!出てこないように見張れ!俺達はここで構えてる。」
出すわけにいかんな、このままではダンジョンから出したら最後…。あいつらが殺されるぞ…ただ”狼部屋には何もない上に次の入り口が…10m上の洞穴の採光窓を模した場所にある。そこからがダンジョンの入り口ってわけだが、狼は夜目が効き、この空間では普通に物が見えるが人間は見えない。慣れても、そこまで深くは見えない。そこで上を向いて上りたい奴難がいない。これはゲームからの知識だ。俺もちょっとはゲームやっていたからな。ついでに10mは人間の侵入者である限りはほぼ専用の道具を持ってこないと上れないが、そこを邪魔するのがこのダンジョンの通路の高さだ。という、普通では突破できない偽装ダンジョンだが…。当然ここに何も持たないできた子供6名では絶対に破れる事はない。が問題はここにアミールがいる事。そして、あと5人がいる事だ。そして、目が血走ったおっさんが外を固め、親も一緒に出るのを阻止している。ある意味…絶体絶命の危機だ。主にアミールだ。…これは確かにDPをくれるというトラップじゃねえか…。DPをくれてやる代わりにダンジョンに来た人間を狂わせる。そしてダンマスを殺したがる。彼らに…理論的な事は通じない。
「マギア。すまないが、構造を変化させてアミールの横にドアと通路を作ってくれ。」
『それはできません。ダンジョンに侵入者がいる場合、そのフロアは変更不可能になります。』
「何!」
ちょっと待て、どうするんだこれ‼考えろ、考えろ!このままじゃ。あの6人は死ぬ。出ていくのもダメ。かといって、このままじゃ飢え死ぬ。全員がな。




