26-29 普通のダンマス 誘因効果
アミールは、村で決定した…その狼がいるかもしれない箇所に、全員が向かっていた。狼と言えど、弓で何とかなるが。数がいるとどうにかなると思ったらしい。だが、私以外
の子供は全員村で待機となった。私は案内だ。本当はダーバリがくる予定だったが、泣きじゃくったため…私になった、あいつ恥ずかしくないのかな。
「ここか?」
「うん。」
そこは、ダンジョンの入り口がある木のうろの前だった。木のうろは小さく、子供がぎりぎり張って進む…。
スガン!
そこに父さんががいきなり頭を突っ込んだ。え?
「うがぁぁぁぁぁぁ!」
そう雄たけびを上げ、無理矢理頭を突っ込もうとするも、木は動くこともない。が、元々温厚で、闘う事も嫌いで、それで村で鍬を振っている父さんらしくない。何か、禁忌にでもふれたようなそんな感じだった。が、当然身体が通るわけでもない。しばらくすると手を振るので、数人係りで父の体を引き抜いた。
「ダメだ、通れない。」
え?血が出てるじゃん、しかも肩に。木のうろの周りを見ると、肩があったと思う場所に血の跡がある。あまりに全力で肩を入れ過ぎたの?おかしくない?
「木が邪魔なんだ。」
「そうか!」
そう言うと村人が木を囲み、全員でいきなり、全方向から蹴り始めた。え、何?これ?…。大丈夫かな?ミルツ。
その頃ダンジョンではミルツが、建物の奥で叫び声をあげていた。
「目が怖い怖い!」
『…今はまだ、破られていません。できれば備えを足しておきましょう。』
「そんなもんじゃないだろ!あれ!とりあえず格子を3階から4階のドアに増設!あんなの来たら俺、殺される!」
そこから一時間ずっと、何かに無心な感じで、木を蹴り続けていた。その場にいた村人全員で。
「硬いな!」
「そうだな、村長どうする?」
その直後、村長が木をを支えに…全力でいきなり頭突きした。…。
「硬いな、確かに!村に斧があっただろ、剣じゃ狼が危ないからな、全員で取りに行くか?」
「斧か、取ってきてくれ。」
「あんた取ってきてよ、私はここにいる。」
「…それじゃミルツの敵がとれん。」
全員がなぜかここから離れたがらない。…何これ?なんか理性という名のストッパーが消え、今にも暴れそうだ。ステータスに”狂乱”とか書かれないか?
「…しかたない、全員で戻ろう、これを絶対に破壊して、仇の狼を殺すぞ!」
「「おー!」」
そう言って村人は全員で立ち去った。私は只一人、呆然としてしまった。怖い




