26-19 普通のダンマス ダンマス交代
コアと名乗る銀色の球とダーバリ達の解説によりつかめてきたのはどうもここがダンジョンであること。で、当然村の吟遊詩人程度の知識ではダンジョンが何なのか、そして言っていることも3人は理解できなかった。ここは元々インスタンスダンジョンと呼ばれる場所で。ある条件を満たした者に限り。ダンジョン攻略成功時にダンジョンマスターになる権利を得る。という能力があった。その条件は9歳未満であること”、”魔法、スキルを所持せず、ダンジョンマスターになる条件の知識を持たずインスタンスダンジョンを合致者のみで攻略する事”である。そして出来たばかりのこのダンジョンにいたのはミニゴブリン一体であり、それを倒してしまった。そして攻略成功したダーバリは見事ダンジョンマスターになってしまった。そしてダンジョンマスターとなった者はダンジョンから出る事ができない。これはダンジョンがマスターの魔力で成長するため、お互いを必要とするからだ。
『そして、なっていただいたのですが、この通り。』
だがダーバリ達は訳が分からない。ダンジョンマスターとか、モンスターとかしかもDPとか言うものも知らない。そして一日泣いては寝てを繰り返した。そして取り巻きも置いて帰れば怒られると思い、一緒にいるのだという。アミールも俺も顔を見合わせた。これはまずい。
「出れない…。」
「…出す方法はあるか?」
『あるにはあります。誰かマスターになっていただければ。』
この村から誰か一人が出て行かないといけない。がこの言葉にダーバリは立ち上がり、俺を指さす。
「ミルツ!お前。ダンジョンマスターになれ!そうれば出れるんだろ?俺達。」
『・・・はい。』
コアとしても納得していないのもわかる。ダンジョンマスターというのに知識はある、ゲームでよくある設定で、ダンジョンの主にして魔王。それがダンジョンマスターだ。罠を作り、相手をはめて、餌を得る外道と言えば外道な職業だ。
「命令だ!成れ!いいだろ?」
『よろしいですか?』
「アミール。頼んだ。俺は身代わりになるよ。後、遊びに来てくれよ。後…。」
一瞬おやじのことも頭に浮かんだが、出すために生贄が欲しいなら…仲間外れに近い俺だろう。
「おやじさんには伝えておくよ。が、ダーバリ…覚えてなさいよ。」
「え?いいの?」
『ダンジョンマスターの変更登録を行います。………完了しました。ダンジョンマスターはミルツ様になりました。これで前マスターは退出が可能です。』
少し冷めたような声が聞こえる。分からないでもない。自分を見捨てた男に用はないという感じだ。
「私は少し事情聴いてから戻るから。帰りなさい。村長、血眼で探してたわよ。」
「父ちゃんが!…分かった。」
ダーバリ達3人は頷くと、一目散に去っていった。
『新たなるマスター。私はダンジョンコアであり、あなたと一心同体となる者です。よろしくお願いします。こちらの女性は関係者ですか?』
「ああ、重要な関係者だ。」
俺は頷く。妻はのけ者にできない。絶対にだ。




