26-18 普通のダンマス 木の洞穴
俺とアミールの二人は結局行かなかった。馬鹿らしいのもあるが…。
「洞窟いって何が楽しいのよ?」
という嫁の意見に俺は勝てなかった。が、その夜、異変はおきた。
「帰ってこない?」
「村長が言うにはまだ帰ってこないそうだ。明日から山狩りをする。」
山狩りとは、銛の中を整列して木々を叩いて探索する。だが…。
「でもダーバリ一人?」
「いや、ミヒャエルと、サマッキーもだ。」
取り巻きたちだ。
「じゃあ…。」
「明日あさっては、ちょっとたくわえの奴になるが我慢してくれよ。」
「うん。」
あの干し肉まずいんだよな…。
次の日、いつもの河原には俺とアミールがいた。森からは木々を叩く音が聞こえる。村人総出の探索で俗にいうしらみつぶしって奴だ。
「ミルツ…。」
アミールの顔は暗かった。俺もだ。
「行ってみるか?」
「うん。:
お互い顔を合わせ、立ち上がると、昨日聞いていた洞窟に向かう。お互い夫婦だったこともあり、言葉が少なくても大体言いたいことはわかる。責任を感じていたんだ。俺も。
ついでに村人の7組の大人たちは全員山狩りだ。で、俺達は村で待機の予定だ。
そこは村から1時間ほど離れた森の中…連中は”木の洞窟を見つけた”と言っていた。方向は大体伝わっていた。…がよく考えてみて…いやここに来てみて思った。なんでそれを大人に言わなかったんだ。俺。来ちまった。
「ここは?」
「洞窟だな。」
木の根の部分が大きく開き、地下に向かう入り口ができてた。俗にいうダンジョンの入り口みたいで怖い。
”うわーん”
だが、洞からして、地下に向かっているんだろうが…。これは…しかも入り口が小さいぞ。子供がやっと通れるくらいだ。
”ヒック。ヒック“
「どう聞いても…。ダーバリの声よね…。」
「行くしかないな。」
地下に降りていくと…俗にいう手彫りの洞穴感がする子供がぎりぎり通れる大きさの洞穴だ…
”ですから!”
”早く帰せよぉ!”
何か無機質の声とダーバリの声が聞こえる。俺達は頷くとその声の方に向かう。しばらく歩くとそこには不思議な光景だった。ダーバリ達3人が隅っこで泣いて蹲り、銀色の球が浮いていた。
『侵入者確認!…DP不足により防衛機構成立せず。退去勧告をします。』
「あ…ミルツ…。」
「お前ら。」
「怖いよ――!」
そう言うと俺に3人が抱き着くな、うっとおしい。
『マスターの様子から、一時的に警報を停止します。』
「どうしたのよ。村長が心配していたわよ。」
「いや、いあの、実は出れないんだ。ここから。
「え?出れるよね。俺達は言ってこれた…。」
『タンジョンマスターは専従契約によりダンジョンから出る事ができません。』
「え?」




