26-8 酒場から歓迎会にはしごして
「教授、久しぶり。」
「クックック。聞いてるぞ、君たちは契約書を読むのが苦手かね?」
書類を商業ギルドから、なぜかNEO雑貨店の届けに行った帰り、リンシュメルトの”異世界居酒屋・桜吹雪”で飲んでいた、教授を見つけ一緒の席にいた。メリルも一緒に来ていて今回は教授のとなりにはリーメ君がいた。
「いきなりどうしたよ。おーい、生ビール。」
「はーい。」
ここは勇者の従者である剣士のおっさんが生ビールを魔界で飲み、それを楽園と交渉して販売することが決定し、料理好きの異世界人4名が現地の人間に料理を教え、開店した現代居酒屋風の酒場である、エリンシア名物の”陸ほら貝”の醤油煮つけとか、カンバーナッツ(ココナッツと似た形状の水分がある木の実)の木の実炒めとか独自料理も多い、人気店である。ついでにギルドと提携してるため、金貨、銀貨のほかにギルドカード決済も対応している。
「よくわからねえけど。あの規模だと、敵対してもいずれ負けるなら、戦争して消耗するなら、一応追加文章で”こっちの施設への投資”として29億DPの融資と、開発人員を送るって話。」
「安いな、そうだな…君たちはもう”魔王軍”として登録されてもいる。」
「は?」
「君たちに限りなら、私が招待状を書いて、登録可能にしておくつもりだったからな。君はスキュラのキーパーソンだからな。」
「何言ってる、地下室との…。」
「それが、魔王軍だ。」
「は?」
「さて、私が奢る。二人とも…ビール飲んだ後でいい、私に付き合ってくれないか?今日は、君たちの歓迎会を開きたい、個人的にだ。」
「珍しいな。あんたが人を誘うなんて。」
「ああ、こう見えておちゃめだぞ、あとリーメ君にも披露しておきたい、就任記念にまず下見が欲しいだろ?」
「はい、一応話は聞いてますが、要領を得ないんです。」
リーメ君をこの”日本風居酒屋”に呼んでいたのは彼がある使命を神様から受け、その慣れる前段階としてこの空気に慣れてもらうためだ。
「よくわからんが…危険はないよな。」
「ああ、むしろ特典が大きすぎて、よくこれだけ緩い条件で許可したのかって思っているがね、最低でも君たちは”魔界”にはいつでも入れる、リーメ君、君もね。」
「それは聞いてますし、暇なときは鬼ちゃんが、あっちにダンジョン潜って訓練してます。」
「は?魔界使いたい放題なの?」
「そうなる、その契約書は、利権があまりに大きすぎて、招待出す際に必ず”幹部”による審査が行われる。私も一応”幹部”扱いだから私が、スキュラ加盟の後押しをした。」
「ありがとよ、教授。でも…あんた…ギルドの創設者のはずだよな?幹部じゃねえよな?」
そう言うと、来たビールに金を払い、メリル共々、一気飲みする。
「では行こうか、雑貨屋に。」
「は、また戻るの?」
「ああ、出入り口はあそこだ。」




