6-11 やっぱり俺ツエーしたいからこの世界に来るんだよな…。
「でこいつをどうするんだ?」
ナッツは馬車に揺られながら言っていたといっても引いてるのは馬車ではない。最新の魔法で作られた”ゴーレム馬”(と言っているだけで実際はサブコアに変形持たせたもの。)に引いてもらっている馬車で、ナオが地球産の技術を使い衝撃を徹底的に柔らかくしたキャラバン用の大きさの馬車である。実際本当はこれを使い行商する予定もあったので少し大きめに作っている。
「この子に、しばらくしてからレベリングに参加してもらう。」
「は?この子に戦えと?流石の俺でもそれは馬鹿にしてねえか?」
「勇者にはパーティ機能がある。パーティを組むと・・・っとその前にこの子にあの牛乳あげて。」
ナオは御者席で御者のまねごとをしている。この馬車でさえ実は最新のアイテムなのにさらに御者なしでは怪しいからだ。
「どっちにします?赤子はちょうどいいので、神か乙女かどちらにします?」
「何だそれ?」
「人肌程度に温めておいた神のほうで。乙女は設定上危ない。」
「は。」
そう言うとハーリスは懐から哺乳瓶を取り出すとシャラの口につける。
「おいしいですよ、この世界では離乳食以外は母乳なので、こういう牛乳飲ませる知恵はないので、おいしいはずですよ。」
「んく、んく、んく。」
シャナは一口入ったのを確認すると、静かにそれを飲み始めた。
「で、さっきの神だの、乙女だのなんなんだよ。」
「牛乳です、とても高いので、あまり量は出せないのですが神が一本金貨200ですかね、その量だとその1/4なので50じゃないでしょうか、ついでに市場には出てませんよ。その”神の牛乳”。」
その言葉にナッツがたまらず噴き出す。
「ぶは!何つうもの飲ませるんだよ!」
「マジなんでそんなもん飲ませてんだよ!」
その言葉に…全員が固まった。どう聞いても一人多いのだ…。
「あれ…あれ…なんかしゃべれる。」
声は赤子からの物だった。
「やっぱり効果あったねえ、成長かな。」
「はい、予想では聡明化だと思います。」
「いやそこ、冷静に話してんじゃねーぞ。」
赤子が急にしゃべる様にナッツは…開いた口がふさがらなかった。
「よかった、赤ちゃんと話すのちょっと苦手だったんだ、よろしく。」
「ん、ああ、よろちく、。あたいは…あんたら私を攫って何するつもりなんだ?パパはいないはずじゃい、ママは病気で死んだから絶対近いひゃず。」
「ああ、攫った・・でいいなもう。君は何となく自分の能力分かってるでしょ。」
「あ、ああ。わかっちぇる。なんか魔法の力あるって、で、それってよくラノベで言う”転生した”って奴、だからもしかして幼児トレーニングすれば。魔法きゃっこいいびゃん。」
「転生者と転移者ってこんな奴らばっかかよ。」
ナッツが呆れている、
「いやあ、面白いね、当然こんな奴らばっかりだ。で、君のステータス、これで見てみたら?」
と言うと使い捨てモノクルを投げてよこす。それをあわってシャナが受け取ると…またしばらく固まった。
「なんじゃこりゃ1勇者!?しかも魔力だけ高い!
「ほい、おっさんも、見てみるといいよ、それが勇者だ。」
「つか、すげえ。俺10だぞ平均。そりゃあ戦力兵器勇者様だわ。」
「ついでにそのステータスだとキラリより、2倍は高い。魔力だけなら、但し、この世界戦闘経験は決してステータスに出ない。称号に出るのもちらっとだけ。だから決して油断しない事。」
「油断もくそも、なんだよ、その”戦略兵器”ってやつ”。」
「この世界での勇者の立場。一人いれば5万の兵士でも一瞬で倒すんだって。がステータスはこれどう見ても聖女だよな…。」
「はい、言葉と能力が全くかみ合ってません。」
あきれた様子でハーリスが見つめている。
「うるせぇ!ってことはにゃにか、つぇー勇者?ツエーできるの?」
シャラが腕をパタパタしている、相当うれしいようだ。
「そうなる。ただ、そのままじゃあ戦えないし、経過何年後ってなる。がそれでもいい気もするが・・・おっさんはどうする?」
「なんか最近分からなくなってきた。やっと俺、世で役に立つとかそういう夢物語を得るチャンスを得たんだよな…。俺だ、ずっと社会で会社員してて、働いていて、ブラックとか言われてて
、でも社長優しくてさ、死ぬ気で働いて、故郷行った帰りに死んだんだ。娘がいて…でそいつのために働かなきゃってやってたんだ。けどさ…俺…夢諦めきれてないんだわ。男なら一度は一国
上の主になるって。」
「確かにあたいは前でも嫌りゃわれててしゃ、大学は行ったきぇどスゲー浮いて。いちゅか見返してやりちゃかったんだ。だゃから今は、みんなを見返しゅいたい。」
「今すぐでいいなら今すぐの方法を考える。今すぐでなくていいなら、最後の一つ探して、修行期間にする。どっちがいい?」
「そういう事か・・・おれは・・・。」
「あたぃはでぉうしぇすぐに動けない。好都合だぁ、しゃっきの牛乳って奴とか、後、色々くれればいいれしゅよ。でも金貨50ってしゃんたよ。どぉれでゃけ高いやつ飲みゃせてるの?」
「ほら、こういう時に使っておかないと、腐ってしまいますよ。」
「分かる、一個2万の梅干しちょか、しょうういう奴でゃぜ。」
「そりゃあ俺も飲んでいいか?」
「今はやめて欲しい検証すんだらあげるから。」
「分かったよ。でもさ、あんた本当に何者なんだ?」
「なんで?」
ナオは不思議そうに後ろを向く。、
「さっきからずっとそう思ってたんだが、あんたがやること上手く行き過ぎてる。1の結果に対して10…いやもっと出してる。普通に考えればありえねえ。しかも全般的に用意周到だ。」
「僕は普通より弱い男の子って奴さ。」
「まあ、言う気がないならいい、俺は修業は構わない、休日くれればいい。」
「了解、もう少しでゆっくりできそうだ。準備もできそう。」
「で、最後の一個ってなんなんだよ。」
「ああ、最後のパーツは”ダンジョンマスター”を手に入れるんだ。」
「はぁ???」




