6-4 落ち着て自分の立場を振り返ると…。
「確かに、それは災難でした。」
ハーリスはティーカップにハーブティを出すとそっとナッツさんに進めた。
「でもよ、さっき変な話してたな、勇者と従者?」
「はい、僕も聞いたことがあります。なんで異世界モノで、”複数”の人間を呼ぶのか。って奴です。それが”勇者と従者”という現象でしょうね…。」
「現象ですね。」
「現象?」
「はい、勇者に認められた人間は従者として超常的な力を手に入れるのですよ。勇者も育つと5万人くらいは一人で戦えるほど強いそうです。そしてその従者もまたそれくらい強くなります。」
僕ハーリスのハーブティを飲む、まあ実際はDPショップで買った、七海さん制作の”緑茶”だったりする。結構うまい。
「はえー。」
「しかも異世界人の多くは学識があり、識字率が大体…。」
「こっちは30から40%ですね。ちらほら字が読める人が増えました。それに対して異世界人は普通にいるだけでここでいう大臣クラスの知識があります。」
「じ、じゃ何か?俺たちは兵器として呼ばれたのか?」
「ダンジョンがあって魔物も来ますので、その為に計画的に呼ばれたかと。」
「魔物もいるのかよ。」
そういうとナッツは腰から、たばことライターを取り出し火をつけようとする。
「あ、それ僕にくれませんか?すぐ返しますんで。」
「なんで?子供が欲しがるものじゃないぞ。」
「いえ、あなたにきっといい事ありますって。」
そう、たばことライターだ。これは貴重品。
「ま、ああ、まあいいよ、やるよ。」
そう言うと、たばことライターをこっちに投げてよこす。それを受け取ったハーリスが早足で、地下に戻っていった。
「ただ、そう強い魔物はいないんですけど今のところ、ダンジョンマスターなる魔王みたいな者もいてついでに超高額ですけど、”ダンジョンコア”も売っているんですよ。」
正確にはサブコアかまたは機能停止したコアである。僕たちからすればもはやそれは死骸であるのだが、ハーリス曰く中に入ってるリストがもらえるらしく、死んだコアはそれはそれで貴重らしい
当然これは勇者たちも欲しがる。魔王城のカギであり、しかもこれをギルドに提出すると、偉業カウントになり、階級アップにつながるのだ。ついでにダンジョンコアのないダンジョンもあるので
ある場合限定となる。が、ダンジョンコアがあるという事は大物なのでその価値は高い。ダンマスはそういう意味で肩見せまい。
「魔王もいるのか…。」
「いい見識でした、ありがとうございました。お返しします。」
そう言ってハーリスが戻ってくると先ほどのタバコとジッポをナッツに手渡す。当然スキャニング済みだ。これを改造して、マジックジッポと煙草を作る(にやり)
「変わった子だな。」
「はい。」
「で、勇者は各国が数人持っていて、その人数で戦力バランスができている、まあ異世界人の中には騎士団長がいいといってそっちになった人もいるんだけどね。」
「へぇ。」
「という事は、戦力にならない俺は元々お払い箱か…。」
「そうでもないですよ。この世界、スキルオーブがある程度で回っているので、それを狩ったり訓練すればいずれスキルが付きます。それに戦闘職でなくても訓練すればある程度は
戦えます。それにステータスが無くても強い人はいっぱいいます。」
「そうなのだ、じゃああのジーゲルさんは。」
「あなたのことを心配してくれてたんだと思いますよ。」
「済まねえ、疑って、ジーゲルさん。」
そう言うとナッツさんは泣いていた。が、これで話が進まない。
「で、どうするんです?」




