6-2 ナオのいない魔王軍
「あお悲劇から3年、まだ…。」
第625回魔王軍会議はまたも低調に終わろうとしていた。
「魔界のほうにいるかと思って探してますが…まだ見つからないのです。」
総代表エレノアの声は今でも冷たかった。
「分かってる、私も捜索してるけど見つからない。」
「鬼ちゃんとか後レイス達の報告もない。」
「女神の本気を相手にするのだ、向こうが必要と思うまで来るわけなかろう?」
教授もまた呆れたようにみんなを見ていた。
「もう3年だよ。もう3年。ナオ君死んでるかもしれないんだよ。」
ケイの言葉に全員が頷く
「というより、ナオが3年も会って今までやらかさないのがおかしい。」
リューネが苦笑いする。
「大丈夫かな…。」
「もう結構経つんだが。どうにもならんね…。」
エレノアはあの日以来、顔の生気を失い…そして笑ったことはなかった
「ナオ君の新しい仕事が決まったよ。その為出張して貰った。」
あの会議の次の次の日に来たこの神様のセリフこそがすべてのスタートだった。クラン「魔王軍」ができた後、ナオの所に神様が来て、管理DPについての最低を変更してそれに伴い防衛用にサブダンジョンとして後みんなの憩いの場として、ネルの里を解放することに決定した。それはみんなが集まれると喜んでいた。が、その次の日になるとなぜか…ハーリスとナオが消滅していた。ダンジョンは機能しており、改変していないはずだが、ネル、そしてシーアがダンジョンマスターとして昇格しており、ネルにダンジョン領域のDPが、来るようになっていた。またそれに伴い所属はなぜかネルの園側に全員移籍した扱いになっていた。…この展開に全員が混乱、いや錯乱する事態になった。
「教授!リーア!ナオ!ナオを探す!」
ネルがめったにない口調で命令するかと思うと。
「うぐ…。ナオ…。」
「エレノア様、お気を確かに…。」
エレノアが動かなくなり、シーアが揺らす展開に。
「みんな…。」
と他の幹部も頭を抱えるまでになっていた。
「思うのだがね、これは神のほうの陰謀だと思うが…ただ…」
「何!教授!」
「彼はずっとここでモンスターを作って・・・で閉じこもっていたのだろう?むしろこれは彼に幸運ではなかろうか?」
その言葉に答えるように教授の横には元凶の女性がいた。
「ま、そういう事だからよろしく頼むよ。」
「お前!」
全員の声がハモる中、女神は一人自分で用意した茶菓子をつまんでいた。
「今回はナオ君にしかできない依頼がある、なので、それが終わるまで、そちらに行ってもらった。」
「は?」
「一応みんなは魔王軍ないと困るから、この魔界という訓練施設。みんな使いたいって言ったでしょ?だから頑張っちゃった。」
「はあ?」
ケイが女神にしがみつく様ににらむ。
「君は他のダンジョンマスターからナオの家であるこの魔王城を守らなくちゃいけない。わかる?」
「けど!」
「無論私は単純にみんなには期待してる、分かる?ナオ君がいなくても立派に魔王業とか魔王軍ができる…そうでしょ?」
「クックック、元々どんなルート使ってでも動かしたくせに…。」
教授はまた何か分かってる感じだった。
「ナオ君を探すのは構わないわ。鬼じゃないから。見つけれるといいわね。但し探せるものなら探しなさい。但し私はちょっと本気で認識阻害をナオ君達にかける、私から言わせれば彼の事が
終わるまで。あなたたちはその城を守るだけでいい。」
そう言うと女神はそのまま消えていった。その直後地面をたたくリューネの顔が…この世の終わりに見えた。
「私なんて来なきゃよかった。」
「いや、師匠。」
キラリたちは取り繕うとするものの、その鬼気迫る様に誰も手は出せなかった。
「ううん。私たちがもっと真面目にしてればよかった。」
「それは私たちが…。」
「魔王軍はどうするのかね?」
「維持する。当然。だけどナオを探す。マスターいないダンジョン。何もないダンジョン。私がマスターになろうと、私のマスターはナオだけ。みんなそれでいい?」
「おう!」
全員が答える中、一人教授のは深く考え込んでいた。
「あの女神はナオに何をさせるんだ?全員が気が付いていないが。認識阻害がかかってるという事は敵対もありうるか。ふと思ったのだがネル君。このダンジョンの管理はいままで誰がやっていた
のだね?」
「ナオとハーリス。その他の幹部はは基本何もしてない、私はエルフの管理。ダンジョンの構成は全部ナオがしてた。」
「それは別の意味でダンジョン崩壊の危機ではないか?一応コアはあるので維持はできるが、それだと防衛ラインを増築できない可能性ある。厄介になったな…。」




