6-1 3年後のエクトネーゼに僕はいた
第二部 NEO雑貨店編です。
「いらっしゃいませ。」
店に入ると少し眠そうな少年が一人店の奥から出てきた。
「今日は何かいいものあるかね?」
中に入った髭の檀勢はここに時々来る常連さんだ。ここは珍しい物も置いてあるからね。
「エルフ醤油とかいかがです?味噌も手に入りましたよ。」
少年は棚の一部を刺す、最近値下がりして庶民の手に入るようになったというちょっとお買い得な一品だ、製法自体はでも商業ギルドでも公開されるようになり、手前味噌ブームが来ている。
「うーんそれは先週買って行ったんだけどねぇ…。」
「だとすると、こちら、生鮮食品はいかがですか?」
指さした先には仕入れた食品のリストがある。但し保管庫は別なので、紙のリストに書いてある。
「このブランブルカウの乳か…。旨いのかね?」
「最近エクトネーゼの北、開拓村のファーマソンであるやつで、どうも獣飼ってきてそれで作るらしいんですよ。結構産後ででない乳の代わりとして貴重らしいんですよ、ただそれ腐りやすいでしょ。
だから、冷凍の魔道具がある家で、余ったの貰ってくるんですよ。」
「ほう?」
「奥さんの産後の肥立ちがいいらしくて、どうです?買って行きます?奥さん喜びますよ。」
そう言うと、おじさんの顔は緩む。
「では一本貰おうかな。」
「はい、お待ちください。」
そう言うと少年は奥に向かい、そして一本の少し大きめの陶器の瓶を持ってくる。
「後日回収に向かいますが、ここに持って来てくれれば瓶は銅貨二枚出します。で…価格は銀貨4枚です。」
「あいよ。」
そう言うとおじさんは銀貨4枚をカウンターに置く、そして僕は…やっぱりちょっと重い。
「手伝いますよ。」
そう言うと少女が瓶の底を支え、カウンターの上に乳の入った瓶を置いた。
「ありがとうね。じゃ、また来るからね…。」
そう言うとおじさんはそれを片手で持って…店を去っていった。
「ありがとうね、ハーリス。」
「いえいえ。ナオ。こうしたゆっくりした日々も悪くないですね。」
「確かにね、本来はこっちが望みだったはずだもんね。」
あの会合と魔王軍設立から3年が経ち僕たちはここエクトネーゼ近郊の都市で雑貨屋を営んでいた。まあ、実はあの会合を気に僕たちの人生は大きく変わった。まず魔王城がなくなった。で魔王城は現在固定型となり今も魔の森の奥の山の中腹にある。そして、そこでは魔王軍を滅ぼそうとする勇者たちに時々襲われていた。まあ、うん差がひどくて、こっちがほぼ瞬殺してる。魔界を事実上僕”は”失った。というのも会合の後神様が来て。
「しばらくジオフロントは調整することになった。だから魔界のゲートはあなたのネルの園の後に設置するから。給料支払いには当てて。後は防衛機構別に作ってね。じゃ、後は頑張ってね。」
そう一方的に言い残すと、神様はダンジョンを去り、そして配置上ネルの園の後ろにしかジオフロントが配置できなくなった。で、これに伴い僕は考えて、ネルの園をサブダンジョンとして独立、
エルシュウッドに置き基本的にネルの園はネルが管理するものとした、収支は独立。これに伴いネルはサブマスターとなり、ネルの園も僕の手元から離れた。ついでにコアに肉体をつけプライマルコア
にしたので、ネルのダンジョンと、シーアのダンジョンにはお互いサポートが付くこととなった。見かけ上は独立ダンジョンだった。が、ここで神様からちょっかいが入った。
「せっかくだから、独立収支なら、本当に独立させておくわよ。その方が後々楽でしょ?で、その子たちに経験を積ませるべくダンジョンの管理任せるから。後、彼女たちは魔王軍所属のダンマス
になって貰うから。後、彼女たちに試練って事で、君はしばらく魔王軍から独立させてもらう。」
そしてすべてを失った僕は少し貯金した45兆DPを基にここエクトネーゼに店を開くこととなった。と言ってもエルシュウッドから歩いてきてそして、近くの家を買っただけだ。王に迷惑はかけれない。後、この事は魔王軍最高機密として情報漏洩禁止及びハーリス以外は基本。捜索不可とした。そして、なぜか僕のリストからフレンドが消滅した。というより元々誰ともやってはいないが、魔王城幹部の分も消えた。ついでにギルトカードはハーリス頼んで偽装白枠カードを作ってもらい、それを使っていた。資金はある、まあ部下たちも実際シーアは初心者ダンジョン、ネルは別ダンジョン、エレノアは現在魔界の調整で管理してるし、ヨミは今も各地を飛んで、情勢をにらんでる、まだモートリアの動きが怪しい。ミーアはネルについていき基本ガードを担当してる。あの子はあそこのアトリエで物を作るのが得意でそっちをメインにしてもらう予定だ。ユーは当然エルフの里のガード。ケイお姉ちゃんはは今冒険者としてきっと活躍してるはずだ。そう思ったのは時折噂で…。
『鎧騎士って人がいて、無口なんだけどかっこいいんだけど―。』
という会話を聞いていた。時々金カードの冒険者”ケイ”がらしき…鎧騎士が街のうわさに立っている。現在勇者も召喚が安定し、時々召喚されては各地の魔王やらダンジョンを攻略する話となっているが実際は戦士も多いらしく、やっぱりギルドだねって話も多くなってきた。実際王家に入ってもこのエクトネーゼではせめて銀級になるまでは魔王討伐はさせず条件である”偉業3個達成”を満たすべく勇者も普通のダンジョンモンスターを狩るようになってきた。ダンジョンのほうも。やっと40を超えるダンジョンマスターが出てきてSNSもにぎわってきた。トレードも活発で、僕のほうはリスト充足に重点を置いて買って行った。ただ他の同盟もできるようになっていく中なぜか自動で増える設定のはずの魔王軍のダンマスが一切増えていないのだ。そしてSNSは活況を帯び、
『リーメ君観察スレ 1鬼目』
という専属スレが断つレベルでリーメちゃんはあれからも勇者部隊にいてそれなりにファンクラブができダンジョンもモートリアから溢れ、スタンビートを起こしたので、救助する代わりに今は
ギルド管轄の”魔石鉱山”として活躍している、ついでにエクトネーゼ王の助言で”鉱物”も取れるようになり、それを目指す、まさに石のパラダイスとなった。命がけ?冒険者でしょ?まあ実際各
王国にダンジョンがいくつもでき、実際選べるようになったので勇者たちも満足してくれるだろう。すっかり本当の異世界になったのだ。そしてリューネ等の金級冒険者の話もちらほら聞こえるよう
なっていった。あの時の勇者の古手川キラリは結局この世界に残り”光の勇者”となった。ミーアに作ってもらった”魔法少女”コスがお気に入りだ。そして南は次の日の夜に消失していた。大方神様
の宣告で願いをかなえたのだろうって事になった。




