第14話 私の幸せと彼の幸せ
◇
夜中まで誰かと喋ったり遊んだりするなんて経験は、中々あるものじゃない。
そして私は、それが修学旅行の夜みたいで大好きなのだ。
夜中とは特別な時間。みんながセンチメンタルになり、ポエマーになり、素直な言葉を連れてくる。
今は、風太くんと共に、人生ゲームを楽しんでいる。
「よし、私ゴルフ場経営しまーす」
「僕はマンション買収しますね」
端から聞けばぶっ飛んだ会話内容だ。人生ゲームは、少しだけ生きるのが楽しくなるゲームだと、私は思っている。
もはや、現実逃避ゲームに改名した方が良いくらいだ。
それにしても、私の部屋に高校生の男の子がいるというのも不思議な感じだ。東京都の条例うんぬんは知らないが、バレなければ問題ない。
一か月前までは、この場所にいるのは違う男だった。
平気で私の部屋で煙草を吸うし、お酒だって私以上に飲む。私よりすぐに寝ちゃうくせに、酔った時だけ好きと言ってくれた。
それが、今では役交代だ。私は、ここにいる相棒に、どうしようもなく想惹かれている。泊めたのだってそうだ。もっと彼のことを知りたかった。
もっと時間を共有したかった。誰にも取られたくなかった。
それでも、この感情が恋愛感情であるとは肯定しなかった。
私はただ、桔梗ちゃんみたいに、純粋な相手と普通に恋がしたかった。
彼にとって、私が迷惑なのは十分に承知している。
それでも、彼の素朴な、くしゃっとした笑顔が大好きで、その度に、もう少しだけわがままを許して、と思ってしまう。
目を瞑り、いつもより呼吸をゆっくりにした。
もしも神様がいるのなら、お願いです。
これ以上、私に幸せはいりません。もう十分すぎるくらいです。
その分、彼に、この優しくて真っ直ぐな彼に、あげてください。
だんだんとお酒が回ってきた。
嫌だ。まだ寝たくない。ずっと、このままずっと……
私の視界はだんだん闇に染まっていく。
次に目を開けた時、世界の何も変わっていないことを切に願い、私の意識は瞼に押し潰された。




