第2話.俺に王道展開はやってこない
神のみぞ知る…
今までそんなもの信じていなかった。というか神様なんていないと思っていた。
だが、今は違う。なぜなら今、俺の目の前に本物の神様がいるのだから。
「もう一度聞きます。あなたはハーレムが好きですか?」
「え、えぇ…?!」
ストレートに聞いてくるなこの神様。
非常に恥ずかしいが、さっきの独り言を聞かれてしまっている以上、しらばっくれても無駄だろう。
だったらこっちもストレートに…
「ハイ!!大好きです!!!!」
沈黙。
神様は、「う、うわぁ…」みたいな顔で俺を見ている。やだ、そんな目で見ないで…。
「そ、それで…」
俺はこの沈黙をなんとかしようと思い、切り出した。
「俺はこれから…どうなるんでしょうか…」
すると神様は、何かを思い出したように手を叩いた。
ぱん、という乾いた音が何もない空間に響く。
「そ、そうでした!一番大事なことを言い忘れていました…あぶないあぶない…。」
神様は懐から小さく折り畳まれた紙を取り出し、広げて俺に見せてきた。
なんだ…これ…?
見ると、文字がたくさん書かれている。
難しい言葉ばかりで読む気が失せたが、かろうじて一箇所だけ読むことができた。
『第134回 理想の世界大抽選会!!』
な、なんだこれは…意味がわからない。理想の…世界?
「えっと、これはですね…」
神様が話し始めた。どうやら説明してくれるらしい。ありがたい。
「最近始めたイベントなんですが…文字通り抽選をし、見事当選した方を理想の世界にご招待する、というものでして…」
なるほど。よくわかってないけど。
「そしてあなたは、このイベントで見事、当選しました!!おめでとうございます!」
「は…?」
つ、つまりあれだ。
『俺は選ばれし者だった!』という王道展開…なのか?
「なので今から、あなたを理想の世界にご招待します!」
王道展開キタコレ!
「まぁぁじかよおぉぉぉ!!!!!!!やったぜヒャッホウ!!」
思わず喜びが声に出てしまう。そのくらい嬉しい。
理想…そんなの学園ハーレムに決まってんだろぉ!!?ついに俺も学園ハーレムの主人公に…!!
「学園ハーレムな世界に行きたいです!!」
俺は食い気味に叫んだ。
神様は笑顔で、
「いいでしょう。その願い、叶えてあげます…!」
と言った。
辺りが、さらに白く神々しい光と静寂に包まれた……その時、
「ふぇっ…ふぇっ……ふぇくちっ!!」
その静寂を破るように、神様が非常にかわいらしいくしゃみをした。
「あ…やっちゃった…」
突如神々しい光は点滅し始め、俺の足下には大きな穴が開いた。
「えっ」
俺の目の前が暗転した。穴に落ちたのだろう。
下に吸い込まれていく感覚。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
体がどんどん落ちていく。一体なんなんだ、これは。
どうなるんだ…俺の学園ハーレム生活は……!!
切り上げるタイミングを見失いました。竹神です。
統一したいと思ってはいるんですがね…
評価を頂き、とても励みになっております…!
これからもお楽しみに!!