2.しかし俺が主人公だ!誰がなんと言おうとも!
「うし、やるか」
キャラクターメイキング。このキャラクターメイキングが楽しくてゲームをやる人もいるだろう。今回のゲームで出来るのは、名前、性別、種族、職業、スキルの選択だ。ああ、もちろんアバターも多少変えることが出来る。……ちなみに、俺はもう、どうするか決めてある。そして、そのアバターが、少し厨二臭いこともわかっている。が!男として、というか、ゲームの中ぐらい趣味前回だっていいと思う!
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目を開けるとそこには、にこやかに微笑む銀髪の天使が。この人が兄の女神か。本当に加護もらえそう。
「お名前をどうぞ」
うわ、すげー美人。声も綺麗だな。
「シュウ、でお願いします」
本名だけど、ゲーム内で使いやすいから気に入ってる。
「さっきの方の弟さんでいらっしゃいますか?」
突然話しかけられて驚いたけど、冷静を装った。驚いたように、見えてないといいんだが。
「あ、はい。あの主人公みたいなのの弟です。よくわかりましたね?それに覚えられちゃうほど印象的でしたか?」
彼女は頬を微かに染め、頷く。……おい兄よ、お前の主人公具合すごいな、何したんだ。でもまあ、あれだけ凄い引きしてれば覚えも良いか。
「お顔が似ていらしたので。彼……凄かったです。色々と。」
「色々と?!なにかされましたか?」
彼女は更に赤くなって、それはもう可愛かった。……なぁ、兄よ。お前本当に何したんだ。
「いえ、あの。引き止めちゃってごめんなさい、えと、アバター設定に入ってください」
ちょっと強引にはぐらかされたけどそれは兄さんに聞くから良い。それよりも、作り込むよ?ゲーム開始ぎりぎりまでずっと。なにしろ俺の理想の体だからな!
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揺れるふさふさの尻尾、ピンと立った耳、鋭い牙……犬ではない。瞳は黄金。……自分でも厨二臭い容姿であるのはわかっている!俺は、モフモフが好きなんだよ!だって!カッコイイしかわいいとか!なんで人類には耳と尻尾がついていないのか!!……とまあ、一人ツッコミしなければならないほどにテンションと羞恥心がMAXではあるのだが。後悔はしていない。一応、兄と話した通り作り直しもできるがやらないし。これで俺は立派な人狼になったわけだ!ぅわっはーい!
ちなみに、職業は戦士。スキルに狂化を入れたので、派生して狂戦士になること間違いなしだ!……そうであってくれ。バーサク状態とか、楽しそうだし、力で押すタイプの俺にはピッタリな筈だ。初期装備は大剣。ブン回したい。大剣スキルも入れた。このゲームではステータスというものがHP、MP、隠しステータス以外にないので、基本全てスキルや装備依存だ。だけど、そのシステムだからいいんだ。多分ゲーム内で毎日筋トレとかしてたらわかりやすく隠しステータスとして筋力値が上がるんだろうけど、毎日戦闘で大剣使っても上がると俺は見ている。だって、このゲームは
「リアルで自由がコンセプト!!」
が売り文句だからな。ありきたりだけど、それがいい。だから、剣振って筋力がつかない、なんてことは多分ない。あったらリアルじゃないからな。痛みとかは軽減されるらしいけど、設定で80%までは痛みを感じることが出来るらしい。……ああ、早くやりたい。
「アバター設定、及び職業、スキルの選択が完了しました。なにかご質問などはありますか?」
「いや、特には……あ、多分兄は色々と派手なので、また会う機会、あると思いますよ」
「へ?!」
あー、うん、反応可愛いね。恋する乙女って感じだろうか。
「じゃあ機会があればまた何処かで」
「!ええ」
ふわりと笑った彼女は、やはり女神か天使のようだった。