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冒険家になろう! スキルボードでダンジョン攻略(WEB版)  作者: 萩鵜アキ
1章 スキルツリーを駆使しても、影の薄さは治らない
27/166

明日に向かって歩いていこう!

 芝崎の説教が終わってヘトヘトになりながらも、晴輝は魔物の死体を朱音に託した。


「どこからどこまで使えるかわからないから、解体を頼む」

「いいけど、お金は取るわよ?」

「いいぞ」


 料金が発生するのは予測済みだ。

 晴輝は顎を引いた。


 解体費用をケチって無理に自分が解体を行って、折角の貴重な部位に傷が付いたらもったいない。


 たとえ人類の敵であろうとも、命を奪った以上は、奪った命の分だけ大切に使わなければいけない。


 もちろん、晴輝は解体をただ見守るつもりはない。

 朱音が解体する横で、晴輝は狼の解体方法を見て盗んでいく。

 将来、亜人系の魔物に出会っても一人で解体が出来るように。


 ワーウルフからは牙、それに毛皮が取れた。

 牙は鍛えれば、朱音から初めて購入した黒い短剣よりも強い武器が作れるという話だ。なので晴輝は、2本あるうち1本を短剣のオーダーに回した。


 もう1本の牙は販売。


 毛皮は火蓮用のローブに仕立ててもらう。


 とはいえおそらく、火蓮はまだワーウルフの毛皮を装備出来ない。

 晴輝もきっと、ワーウルフの短剣はまだ装備出来ないだろうと踏んでいる。


 オーダーメイドが仕上がるまでに、より一層レベリングに力を入れなければいけない。


「オーダーしてもらっちゃってありがとね! ふひひ! いやーこれでアタシの店も安泰だわー!」


 ワーウルフの短剣は札幌の店頭販売価格で100万円だった。だが今回はワーウルフの素材はあるので加工費のみ。それでも40万円。

 火蓮用のローブも、30万円となった。


 晴輝はオーダー費用を一括で先払いした。

 おかげで懐が一気に寂しくなってしまった。


「あー可哀想な空気さん。所持金は? ねえ所持金はいくらなのかしらぁ? ふひひ! ま、頑張ってお金を稼いでね。じゃないとアタシの店の商品が売れなくなっちゃうからーあーはっはっはっは!」


 ピキ、と晴輝は青筋を立てる。


 よろしい、ならば戦争だ。


 晴輝はバリケードの修復が終わったダンジョンに向けて素早く移動を開始。

 その1時間後。


「う、嘘でしょ空気ィ? ね、嘘だって言ってよ! これなによ? この素材の数は何なのよ!? アハーッハハァーン! 空気にアタシのお金を奪われるぅぅぅぅ!」


 朱音が大声を上げて泣きながらジャバジャバ涙を流す。


「人聞きが悪いな。奪ってない。素材を買い取ってもらっただけだ」


 朱音に渡したのは、スタンピード中に倒したシルバーウルフとブラックラクーン、ゲジゲジから剥ぎ取った素材。

 ダンジョンに吸収されず残っていた死体を素早く解体し、店に運び込んで朱音の横っ面をひっぱたいてやっただけである。


 オーダーメイドの加工費用が70万円。

 晴輝が持ち込んだ大量の素材の販売価格が約135万円。

 さらに――。


「だ、ダメよ。それだけはダメなんだからね!?」

「すぅ……『冒険家になろう』を見ましたぁぁぁぁ!!」

「いやぁぁぁぁぁ!!」


 買い取り査定5%アップ!

 合計1,417,500円。


「倍返しだ!」

「アハーッハハァーン!」


 無闇に戦争など仕掛けるからこういう目に遭うのだ。

 戦争をするならば、絶対に負けない状況で仕掛けるべきである。


「というか、素材を買い取ってもそっちで加工して販売するんだろ? お店としてマイナスにはならないんじゃないのか?」


 もし赤字であれば、そもそも買取店など経営出来ない。

『冒険家になろう』に広告を載せて、買取数を上げることも無駄になる。


「ほら、アタシって美女じゃない?」

「殴っていいか?」

「暴力反対!」


 朱音が素早く頭を抱える。

 怖がるならはじめからヘイト上げるような言葉を口にするな。


「ここに来る前に買取店の支店長ともめて、素材を販売するツテが減ってるのよ」

「自業自得だな」

「うぐ……」


 なるほど札幌にある買取店の店長と仲違いしていたのか。

 しかし買取店も販売店も、同じ大企業の系列会社だ。嫌がらせで販売ルートを遮るなど、企業として忌々(ゆゆ)しき事態だ。


 ……いや、きっとこいつのことだ。

 その支店長は、朱音の態度がよほど腹に据えかねていたのだろう。


「上手くやれよ支店長さん」

「えぇえー助けてよぉー」

「お前、辣腕なんだろ? 自分でなんとかしろ」

「ぶー!」


 子供みたいにぶー垂れた。


 余談だが、警察や消防が倒した魔物はすこぶる状態が悪かったため、素材を剥ぎ取っても販売出来なかった。


 またブラックラクーンは一切処理をしてないため、肉として食すことも出来ない。


 バリケードを修復した自衛団は、晴輝と朱音の戦争が終わってもまだ、魔物の死体をダンジョンに運び込む作業を続けていた。


 魔物の血にまみれることも厭わず、黙々と死体を運び入れる彼らの姿に、晴輝はただただ頭が下がる思いで一杯だった。


 戦後処理って、大変なんだな……。


          *


【気づかれる存在感への道】


『スタンピードを終えて』


 どうも空気です(^o^)


 今日は各地でスタンピードが発生したようですね。

 僕の町でもスタンピードが発生しました。


 そう、僕の家の目の前です!ヽ(´Д`;)ノハワワ


 でもこの前見つけた、使い物にならなくなっちゃった魔導具を上手く使って魔物を撃退!


 そんな中でワーウルフなんて魔物に出会ってしまいました。(>_<)

 スタンピードのボスです!


 怖かった!

 超怖かった!


 けど頑張って倒しました!(^ ^)v



 今回のスタンピードで、多くの人達が辛い目に遭われたと思います。

 昨日に戻って欲しいと、切に願うほどに。


 あなたは深い悲しみの中で、膝を抱え込んでいませんか?

 涙を流していませんか?

 苦しんでいませんか?


 もし、悲しみの中に沈んでいるのだとすれば、ごめんなさい。

 僕たちの、冒険家の力不足です。


 生き残った冒険家は次に備えて、力を蓄えます。

 もちろん僕も、もっともっと強くなる。


 次は絶対に、被害をゼロに出来るように。

 今日を未来に繋げるために。


 膝を抱えて涙を流して苦しんでいるあなた方が、やがて顔を上げて、胸いっぱい空気を吸い込む。

 そんな未来を、守るために・・・。


          *


【全力】スタンピード反省会会場 13【土下座】


984 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 ボス討伐でスタンピードを抑えられるって話は絶対次に生かすべきだよな


985 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 でもどうやるよ?

 ダンジョンの中でモンパレ特攻はさすがに厳しいぞ?


986 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 少しずつ考えていけばいいだろ?

 高価だが手榴弾を使うとかよぉ


987 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 それでダンジョンが怒らなきゃいいけどな

 ダンジョンへの攻撃と見なされて魔物がパワーアップとかシャレにならん


988 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 確かにそうかもしれんがな

 だがどうする?

 外で待つだけだと被害が拡大するだろ


989 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 流れ豚斬ってすまん

 気になることがひとつあるんだがいいか?


990 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 おういえ

 なによ?


991 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 つい先月くらいにゲジゲジ相手に苦戦してた奴が

 ワーウルフを倒せると思うか?


992 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 夢なら出来る!

 そう、夢ならね


993 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 いや夢じゃねーんだなこれが

 とあるブログ記事にあったんだけどよ

 嘘かと思って


994 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 やばい嘘なら通報すればいいだろ?

 てかスタンピードに便乗か? クソだな

 ただのかまちょちゃんなら放置しろ


995 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 うんだがまあそいつモンパレ越えてボス倒してゴール決めてんだよ

 参考にならんかと思ってな


996 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 まあマジレスすると

 ゲジゲジに手こずるって言うと初心者スタートか

 ならワーウルフ倒すのに1年くらいかかるんじゃね?


 毎日10時間くらいダンジョン籠もれば半年くらい

 狩り場を独占出来るならもっと短く出来るかも?


 ただまああいつら戦闘スタイルが個体ごとに違う厄介な魔物だからな

 勝率についてはなんとも言えん


 ここまで書いてなんだが

 参考にすんな

 マジでやったんだったらそりゃ人外だ


997 万全を期すなら修行期間1年がベター

 うーん

 やっぱ嘘の可能性が高いか

 普通じゃありえねーもんなー


998 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 冷静に考えればあり得ないな

 ちょっと真に受けてすげぇって思っちゃったのが悔しい(ビクンビクン


999 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 わるい

 そいや新宿方面どうなったよ?


1000 名前:最上級の土下座をキメる名無し

 >>999

 ちゃんと全部読め


 新宿は壊滅したぞ


1001 名前:最上級の土下座をキメる名無し


 この冒険の書はこれ以上書き込めません。

 次の冒険の書に移動してください。

これで1章が終了です。

2章からの更新は活動報告にて。

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新作「『√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道』 を宜しくお願いいたします!
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