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冒険家になろう! スキルボードでダンジョン攻略(WEB版)  作者: 萩鵜アキ
6章 ダンジョンの悪意を倒しても、影の薄さは変わらない
156/166

ヴァンに斧を薦めよう!

「冒険家になろう!~スキルボードでダンジョン攻略~2」(コミックス)

8月30日に発売(予定


何卒、ご購入をお願いしますm(_ _)m

「後はマァトだが……」

「ピッ」


 羽根輪から顔を出したマァトが、体をもふっと膨らませながら目を細めた。

「くるしうない。好きに振って良いぞよ」とでも言うような態度である。


 そんな愛くるしいマァトの態度に晴輝は相好を崩す。

 酷い姫(自称)を見た後なので、とても癒やされた。



 マァト(??) 性別:女

 スキルポイント:17→21

 評価:癒裁精霊帝

 守護:最後の審判〈アカトリエル〉


-生命力〈-〉

 ├スタミナ:3

 └自然回復:2


-筋力〈-〉

 ├筋力:1

 └被損軽減:2


-気力〈-〉

 ├気力2

 ├気量3

 └気力操作5


-魔力〈-〉

 ├魔力:7

 ├魔術適正:5

 └魔力操作:8

  └変化〈癒〉:4


-敏捷力〈-〉

 ├瞬発力:3

 └器用さ:4


-技術〈-〉

 └武具習熟

  └羽根:3


-直感〈-〉

 └探知:6


-特殊

 ├守護:MAX

 └秤:Non



「うーん」


 自由に振って良いとはいえ、マァトのツリーは現時点で振る必要がないほどレベルが高い。

 無理に振れば、現在のスキルバランスを壊しかねない不安もあった。


 どうするかしばし考え、晴輝は意を決してスキルをタップした。



 スキルポイント:21→0

 評価:癒裁精霊帝

 守護:最後の審判〈アカトリエル〉


-生命力〈-〉

 ├スタミナ:3→5

 └自然回復:2→3


-筋力〈-〉

 ├筋力:1→3

 └被損軽減:2→7


-気力〈-〉→〈+1〉

 ├気力2→3

 ├気量3→5

 └気力操作5→6


-魔力〈-〉→〈+1〉

 ├魔力:7

 ├魔術適正:5

 └魔力操作:8

  └変化〈癒〉:4→MAX


-敏捷力〈-〉

 ├瞬発力:3

 └器用さ:4


-技術〈-〉

 └武具習熟

  └羽根:3


-直感〈-〉

 └探知:6


-特殊

 ├守護:MAX

 └秤:Non



 被ダメージを抑えつつ、メインスキルを全体的に底上げした。


 スキルの平均値だけをみれば、カゲミツと同じレベルになっている。

 これだけあれば、相当先の階までスキルを振らなくても問題は起きないだろう。


          *


 ついに、それは来た。

 待ちに待った器が、やっと彼らの望みの階まで到達した。


 実力は十分。

 にもかかわらず、その器はまっすぐその階には向かわず寄り道を続けていた。


 遙かなる頂にのみ目が向いている彼らには、一切理解出来ない迂回であった。


「こうなれば、もっと早く彼を引きよせていれば……」

「いやいや。近くにかの精霊がいる」

「精霊を用いても彼に誘導術は効かなかったではないか!」

「実に厄介な」

「しかし、やっとだ」

「我々はやっと――」


 第二段階目を成就させることが出来る。

 そう、彼らは口を揃えた。


 それは彼らにとっての悲願。

 人類を導く目標点であり、通過点でもある。


 これは生物の、文化の、技術の――。

 生命の袋小路から抜け出すために、決してなくてはならない試練だった。


 故に彼らは、この日のために万全を尽くし、試練を用意した。

 頂に届く「器」を持つ者のための試練を……。


 彼らの準備は整った。

 あとは、実行の声を上げるのみ。


 彼らは、大器を持つ者が失敗するとは、少しも思っていなかった。

 ただその者が試練を乗り越える瞬間を、いまかいまかと待ちわびていた。


「真なる英雄の器よ」

「大いなる英雄よ!」

「力を示せ」


「英雄たる力を」

「大いなる力を!」

「さすれば道は拓かれん」


「では――」


 この世界のどこにもない、空間すらあやふやな場所で。

 彼らは、厳かに試練の開始を告げたのだった。


          *


 19階に入って2日が経った頃、ヴァンの木材収集が終わりを迎えた。

 晴輝はヴァンが集めた木材を受け取った。

 その際にヴァンは、戦斧も返そうしたが、晴輝はこれを受け取らなかった。


「もう少し使っていてください。すぐに売り払いたいわけではありませんから」

「う……む、しかし――」

「それに斧を使って戦えば、なにか閃くかもしれませんよ?」


 彼のメイン武器は大剣なのだが、何故か斧も育っている。

 それもスキルレベルが3と、(育成してないにしては)結構高いのだ。


 だから晴輝は、もしかしたらヴァンの適性は大剣ではなく斧にあるのではないか? と考えていた。


 本当は斧に適性があるかもしれない。それを知ってか知らずか、ヴァンは攻略上最も使い勝手が良いからと大剣を装備した、と。十分ありえる話である。


 故に晴輝は、そう提案してみた。

 この発言が、ヴァンが壁を突破する一助となればと願って。


「別の武器を使えば見えてくるものがあるかもしれませんしね。実際俺は学生の頃、陸上部に所属してたんですけど、そこでは週に1度、別のスポーツの練習を真剣にしてたんですよ。

 野球とかサッカーとか、バスケにバレーにバドミントン、卓球もやりました。

 そうやって別のスポーツを練習することで、走るだけじゃ不足してしまう筋肉と感覚を、バランス良く鍛えていったんです」


「……なるほど」

「だから、ヴァンさんも斧を使うことでもしかしたら……と思ったんですけど」


 一般人からすればもっともらしい提案だ。

 だが冒険家視点では――メイン武器の熟練を鍛えず、サブ武器の熟練を育てることは、少々スタンダードからはかけ離れている。


 冒険家は武器に命を預けるものだ。長年使った武器を置いて、別の武器を装備するのは並大抵のことではない。


 しかし、さすがに本音――スキルボードを見て斧のスキルレベルが高かったから――は口に出来ない。

 なので晴輝は遠回しに、斧の装備をヴァンに薦めた。


「……」

「……」


 さすがに上級冒険家に武器の変更を進めるのは無謀だったか……。

 そう、諦め掛けた晴輝だったが、


「……わかった。試してみよう」


 晴輝の言葉になにか感じるものがあったか。

 ヴァンは睨み付けるように戦斧を見て、決意するように顎を引いたのだった。



 大剣ではなく戦斧を装備したヴァンとともに、晴輝らは19階を目指す。

 ヴァンも今日からダンジョン攻略を行う予定である。


(……さて)


 晴輝らはヴァンとは別行動となる。

 だが、共に同じ階で戦えば、いつか必ず戦っている姿を目撃されるだろう。


 火蓮が魔法を使っているところを、目撃される。


 先んじて「戦っている姿を見ても誰にも言わないで」とお願いしてはいるが、もし見られたらその時にも改めてお願いせねばなるまい。


 その時のことを脳内でシミュレーションしながら、晴輝はゲートからフロアに足を踏み出した。


 その瞬間、


「――ッ!?」

「――んっ?」

「――えっ?」


 なんの前触れもなく、突如として晴輝の視界が変化した。


すみません。

物語の流れ的に、今回は短めです。

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新作「『√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道』 を宜しくお願いいたします!
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