無一文
初めまして。猫屋敷です。
(下の名前はカナエ、ではなくキョウです)
初投稿ということで誤字脱字があったり、話に入り込めない文章だったりするかもしれませんが、温かい目で見守ってください。
「お金を…恵んでくだ…さい」
≪ホームレス≫
都会に住んでいる人々なら一度は見たことがあるんじゃないか?
家をなくし、無一文のためそこら辺に落ちていた段ボールをかき集めて家を作り生活。
そしてお金は空き缶を必死に集めて金に換える。
勿論風呂に入れるようなお金なんかないから、小汚い恰好をしている。
一部の人間は思っているだろう、人間の底辺だって。
そんな人間でも生きるためには金が必要だ。
空き缶集め程度じゃ生活ができない、その為に俺は夜に人通りの多い表通りに出てはこうやって通りがかる人々に金をせびる。
こうしてるとたまにくれるイイ人がいるんだよ。
そうだな、コツとしては「死にかけているような声で必死に嘆く」ように言うことかな?
そうこうしているうちに30歳くらいの高級そうなスーツを着こなした男性が俺の前で立ち止まった。
これは金額に期待できそうだ。
「僕、歳はいくつ?ご両親は?」
カラの銭回収ボックスを首からぶら下げて突っ立ってる俺に目線を合わせるかのように膝を曲げて話しかけてくる男。
「あー…歳は…。じゅ、10歳。両親はー…、強盗犯に殺られちゃったの」
「そうかい…だからこうやって必死にお金を集めようと頑張っているんだね。可哀想に。…少ないが受け取ってくれ。これで美味しいものを買うといい」
男はそういってボックスにお札を入れる。
「ありがとう!」
俺はお辞儀しつつボックスの中身を確認する。
『ゲッ!たった2000円かよ!ケチってんなぁ、高級なスーツは見掛け倒しかよ』
男からもらったお金にイライラしていると、男はスッと俺の隣にいた別のホームレスの前に移動した。
そのホームレスは30歳くらいの「ホームレス代表です!」と言わんばかりに汚らしい恰好をしていた。
肩まで伸びた髪の毛、ボーボーに生えた髭、そして極めつけにホームレスの癖に腹はポヨンとしている。
「おいオッサン!こんなことしていて恥ずかしくないのか!」
「お、お願いします!助けてください!」
ホームレスは、男の脚にすがるかのようにしがみつく。
「その汚い手を離せ!お金がほしいならこんなことをせず仕事を探したらどうだ?よっぽど時間が有効活用できるだろうに!」
男は捕まれていない脚でホームレスの男の頭を踏みつける。
しかしそれでもホームレスの男は足を離さないでいる。
「違う!違うんだよ!僕は、僕はこんなオッサンじゃない!」
「何言ってんだ!よく顔を見て来いよ!あと、イイ歳して僕とか使ってんじゃねーぞ!」
男はホームレスの男の腹の蹴り上げた。
よっぽど痛かったのだろう、ホームレスの男は腹を抱え込んで丸くなる。
「とっとと仕事探しでもするんだな!」と捨て台詞を言って男はスタスタと人ごみに紛れ、消えていった。
「うわあぁぁぁん…。パパァ…、ママァ…! 僕、おうちに帰りたいよぅ…!」
蹴られた腹を抑えながら嘆くホームレスの男。
「プッ…」
つい笑ってしまった。
なんとも滑稽な姿をしているんだ。
まあその≪身体≫、俺のなんだけど。
信じ難いかもしれないが、俺は生まれつきの≪超能力者≫だ。
そして俺の能力は、≪相手の人格と入れ替わることができる≫というなんとも地味な能力だ。
しかも30分しか入れ替わることができないという制限時間付きだ。
でもそのお陰で無職になった今、生活費が稼げている訳だ。
そう…そこら辺を一人でうろついていたガキの身体を使ってな。
『…にしても、何とも言えない光景だ』
ここ二週間、色んなガキの身体を借りてはきたが、このガキみたいに俺の身体でメソメソ泣き続ける奴はいなかったせいだろう。
自分が隣でずっと情けない声で鳴き続けているのは…言葉では表せない心境になる。
俺はスッと立ち上がり、俺の身体の前に立つ。
「おいガキ。俺の身体でメソメソ泣き続けてるんじゃねーぞ!」
「うぅ…ッ、返してよ…。僕の身体、返してよ…!」
すると俺の身体を使って俺にのしかかってきた。
体格差がやばい…俺の身体は約体重80㌔の183㎝だぞ!?
150㎝も満たないようなこんなガキの身体とじゃ敵うわけがない!
「お、落ち着けって!今、そう今!この身体を返そうと思っていたんだ!だからな?落ち着くんだ!」
「…ホント?」
「ホントホント!だから、なっ?俺の上から降りてくれない?…それとも、自分の身体を傷つけたい?そんな事したら戻った時に痛いだろうなぁ~!」
「!」
こう言っとけば大体のガキは言うことを聞いて俺に乱暴はしない。
約20人のガキと入れ替わってきた俺だぞ?もう手慣れたもんだ。
ガキは素直に俺の上から降り、俺はスッと目を閉じ心の中で「解除」と念じた。
「…あれ、僕の身体!僕の身体に戻ってる!これでおうちに帰れる!」
嬉しそうにはしゃぎながら走って帰っていくガキ。
「あっ!待て!俺の今日の収にゅッ…。イタタタ…あの男に蹴られた痛みが…」
結構強く蹴ったなアイツ、痛みが引くまで休むか…。
そう思っていた矢先だった。
「貴方ね?異能力を糞みたいな使い方してる糞野郎は」
「…は?」
ガキのせいか?全く気付かないうちに制服を着た女が俺の隣に立っていた。
第一話からかなり長くなってしまいましたね…。
どこで切るべきかわからず、ありきたりな感じで切ろうと思ってここまで書きましたがまさかこんなに長くなるとは私自身思ってもいませんでした。
読むのが大変だったとは思いますが、ここまで読んでいただき有難う御座いました(';')
また次回、お会いしましょう。