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不死鳥の担ぐ負の遺産  作者: 架宮瑠倶茄
第一章 ﹝能力の覚醒﹞
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第二話 ❲まさかの魔術❳


        第二話 ❲まさかの魔術❳



⌈これが情報屋!? 誰もいねぇじゃねぇか!! まず第一店ですらねぇ!?」


 珀亜は荒げた声を上げて驚きを隠せずにいた。

 まあ無理はない。

 いきなり何に使えるかも不明なただ巨大なオブジェを見せ付けられ、さらにそれを情報屋と言い張るミレアには二度の驚きを喰らわされた。

 

 しかしミレアそんな珀亜を見て、首を傾げ困った表情をしたいた。


⌈そんな事言われても……情報屋さんはこれ以外に何もないよ?」


⌈……ふっ、ふはははっ………そうだ、ここは異世界だったな……概念に囚われるなよ、俺」


⌈大丈夫? さっきから独り言ぶつぶつ言って」


⌈大丈夫だ、問題ない」


 どこかで聞いたことのある台詞を吐いて珀亜は正気を取り戻した。


⌈ところでこれどうやって使うんだ?」


⌈こうやって使うんだよっ!」


 そういうってミレアは集中して力を溜め始めた。

 すると、彼女の周りには淡い光が煌めきだした。

 ミレアはそっとそのオブジェ、いや情報屋手を置いた。

 その溜めていた光が手を伝って流れ込んでいくのが見えた。

 

 しばらくすると、ミレアは手を離し珀亜にやってやったといわんばなりの表情で顔を向けた。


⌈どう! すごいでしょ!!」


⌈……あぁ、これには感動した」


⌈でしょでしょ! んん~っ! やっぱり私ってすごいかも!!」


⌈……前言撤回」


⌈なんでーー!?」


 そんなほのぼのした会話の中、珀亜は色々な考え事をしていた。

 まず魔法の存在。

 今の行動は元いた世界、即ち地球では魔法といわれるものに相違はないと珀亜は踏んだ。

 しかし、前の世界では魔法など使える人は誰一人として存在しない。当たり前だ。空想の中での話なのだから。

 だか、こんな漫画などで見るような非科学的過ぎるものは誰が見たとて魔法というに違いない。

 次に彼女が魔法を使えるということ。

 それが意味することは、彼女は何らかの魔法に関する経由があるということだ。


⌈ミレア、今のはなんだ? どうやったんだ?」


⌈これはね……わたしもいまいちわからないの。あるときにこんな感じのことをしている人いて、そしてその人に教えてもらったの。そう言えばその人はこれのこと魔術って言ってた気がする……」


 これは魔法、このはっきりした答えは十分な情報だと珀亜は受け取った。


⌈使い方とはどうするんだ?」


⌈集中していると体の中を流れる血液と似たようなものを感じとれ。そうしたらそれをうまく操るのだ、って教えてくれた人はいってたよ!」


⌈なるほどな……わかるか!」


⌈わたしは一瞬でわかったよ!」


 ミレアはそう言うと珀亜にどうだどうだと言わんばかりの目線を向けた。


⌈はいはい、スゴイデスネー。ところでそれを教えてくれた人の名前とかわかるか?」


⌈んー……忘れちゃった……」


⌈……まあいいや。本題に戻すがどこにあるのかわかったのか?」


 魔法に興味が行き過ぎてすっかり趣旨を見失っていたが、返ってきた結果は良いものではなかった。


⌈それがね……誰かが持ってっちゃったみたい……」


⌈嘘だろ!? ほんとにその情報屋とか信じていいのか?」


⌈情報屋さんは嘘つかないもん! 本当の名前は『全智石』っていってこの世界の全てを見通す事のできるすごい情報屋さんなんだよ!」


 名前の通り、世界の全てを知るものがこの巨大なオブジェ、『全智石』。

 聞いている限りではこれは世界の記憶と言っても過言ではない代物ということがはっきりした。


⌈しかもこの情報屋さんを使える人は世界にわかしを含めて五人しかいないんだよ! どお! すごいでしょ!」


⌈じゃあ一つ聞いていいか?」


⌈うんうん言ってみて!」


⌈そのお前を含め五人しか使えないっていうのは魔術を使える人が五人なのか? それともただその全智石を使えるの五人なのか?」


⌈情報屋さんを使える人が五人ってことだよ。……それでもすごいんだからね?」


⌈はいはい……それじゃあ俺でも魔術は使えるのか?」


⌈わかんない」


⌈ありがとうございましたっ」


 珀亜はふてくされてながらそういった。

 しかし例の石は誰かの手元にある。


⌈それじゃあ石を貰いにいこー!」


⌈あいよ……」


 二人は石の持ち主の元へと向かうのであった────


************************


⌈……ここみたいだね」


⌈マジでいってんのか……?」


⌈ま、間違いないはずだよ?」


 そこは明らかに廃墟と化したいかにも幽霊屋敷みたいなところだった。

 森の奥にありそうな感じの二階建てで人気はまるで感じられない。

 まるでよく漫画などでいう敵キャラがアジトにするような風体であった。


⌈い、行ってみるか……」


 おそるおそる足を忍ばせ中に入ると、今まで点いていた炎が突如消え、辺りは闇に包まれた。


⌈なんだ!?」


⌈は、ハクア……ど、どうしよう……」


⌈き、きっと大丈夫だ。安心しろ……」


 自分も怯えているのに人の心配をするハクアだったが、流石に動揺を隠せずにいた。

 しかし、横でしがみついて肩を震わせているいるミレアをみると守らなければという正義感に駆られ、辺りを警戒していた。


 しばらくすると階段から誰か降りてくる物音が聞こえた。


⌈ッ!? 誰だ!?」


 次第に近づいてくる人影を見て、やったと人だと理解した。


⌈おやぁ? 人の家に勝手入っといてそれはないんじゃないかねぇ?」


 はっきりしたその人物像を見ると、長身で、黄色い瞳をした鋭い目を持っており、髪は暗闇と同じ黒色だった。

 年齢は三十代といったところか。

 

⌈そ、それはすまなかった。ところで石を拾わなかったか?」


⌈……敵意はないようだねぇ。」


 そう言うと消えた火がパチンと指を鳴らすと同時に明かりを放ち出した。


⌈……魔術か? ──それにしても物分かりが良くて助かるぜ」


⌈それはどうも。さっき言っていた石とはどんな物なんだい?」


⌈黄緑色の丸い石だよっ!」


 さっきまで怯えていたミレアが掌を返したかのように笑顔でそう言った。


⌈そういえば拾ったねぇ。けれどさっきその石が欲しいといった三人組がきて渡してしまったねぇ」


⌈ちっ、また人探しか……」


 珀亜は深く溜め息をつき、面倒臭そうな表情をした。


⌈ありがとうおじさん! 助かりました!」


 しかしミレアは前向きな表情をしてお礼をした。


⌈──んじゃその三人組を探すか。おっさんどんな奴等か覚えてるか?」


⌈そうだねぇ、小柄なのが一人、腹が出ていたのが一人、そして……熊みたいな大荒者が一人だったかねぇ。まだこの辺りにいると思うけどねぇ」


⌈ありがとよおっさん。そんじゃあいくかミレア」


⌈レッツゴーなのだー!」


⌈……お前一体何歳なんだ」


⌈? 十一才だよ?」


⌈ま、まだ小学生だと!?」

 

 無駄な驚きを隠せずに珀亜達は探しに向かった。


⌈──ちょっと尾行させてもらうかねぇ」


************************


 



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