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不死鳥の担ぐ負の遺産  作者: 架宮瑠倶茄
第一章 ﹝能力の覚醒﹞
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第一話 ❲出会いは探し物から❳

            第一章

      第一話 ❲出逢いは探し物から❳

 

「はぁ……」


 もう高校三年にもなったのに関わらず、ニートのような生活をしている架宮珀亜はいつものように嘆息を洩らした。


「何か面白いおきねぇかなー。このままじゃ本当の鬱になっちまうよ……いっそ魔法ぶっぱなしてやりてぇ……不可能だけど」


 そんな絵空事に描いた空想を呟きながらハクアは眠りについた。


⌈……異世界なんてもんに行ってみたいな」


 現実逃避するハクアはまた今日と言う一日から逃げていった。


 しかしその時ハクアは気付いていなかった。まさか自分が異世界召喚されていると────


************************



「んん……実に気持ちいい居眠りだった──って何だここ!?」


 ハクアはそういって辺りを見渡した。見渡す限りに西洋溢れる建築物が建ち並んでいた。

──ここはどこなんだ

 横を見ればまるで現代人とは思えないような格好をした人や、亜人、さらにはご丁寧に騎士までもいた。

 この時ハクアは、初めて自分の置かれている状況を理解した。

ここは異世界だと。


「おいおい……嘘から出た誠ってヤツかよ」


 そんな後ろ向きな発言とは裏腹に、期待に薄気味の悪い笑顔を溢していた。


「面白ぇ……決めた、俺はこの世界で輝いて見せる!!」


 絵空事浮かべて一人で憂鬱に浸っているハクアであったが、この異世界召喚は一体何を意味するのかその時は理解しようともしていなかった。

 

 これはハクアにとって吉と出るのか凶と出るのかこのときはまだ誰も知る余地がなかった────


************************


 体力は自信のあったハクアだったが、今はその体力を使いきる寸前にいた。何故ならさっきから変な服装している奴だ、と周りから目線を浴び色々と途方に暮れていたからだ。

 しかし無理はない。異世界と日本との文化を大きく異なり、服装だってそれはもちろん違う。

──とはいったが、ハクアの服装はTシャツ一枚と、ジャージのズボンと言ったたまに公園などで見かける上半身裸の人と似たような変人ぶりだった。


「なんか周りからの目線キツいな…… ──おっ?」


 そういって嘆いていたハクアに不幸は幸か、何か探し物でもしているのか辺りをキョロキョロと見渡す少女を見かけた。


「──何か探してんのかな?」


 辺りの右往左往とキョロキョロしている少女がいる。ハクアはそういう子を見逃せないという良心を持っていた。


「あのー、君。何か探し物?」


「きゃっ!? びっくりしたぁ……う、うん、さっきから探してるんだけど見当たらなくて……」


 その少女はハクアの呼び掛けに、ビクッと小動物みたいに肩を震わせ驚いた。

 しかしその容姿は美しく、淡い桃色をしたショートカットと、その髪に少し紫色を足したような赤紫に近い色の瞳、そしてなんとも童顔に浮かべた表情がなんとも言えない可愛らしさを表現していた。

 だが、人はみなしも完全ではない。


「胸がない……」


「ん? なにか言った? 言った? 言ったよね!」


「い、言ってねぇよ…… それより探し物? 手伝うよ」


「絶対なにかいった!」


「言ってない言ってない……」


「さっき何て言ったか教えてよ!」


「な、何も言ってないって……」 


「教えないと手伝わせなーい!」


 少女は小悪魔のような笑みを浮かべ、手伝う権利を賭けてきた。

 しかし、ハクアは手伝わなければ良いものの、良心に心を支配され、とうとう口を開いた。


「……君ってぺったんこだなーって」


「っ!? 女の子相手に何てこと言うの!? 変態! 気にしてるのにぃ……」


 涙目になりながら少女は両手で自分の胸を再確認する。


「ど、どこがぺったんことは言ってねぇが!?」


「じゃあそれ以外どこって言うの!?」


 少女はそういってハクアを両手で可愛らしくぽかぽかと殴った。

 

「わ、悪かったよ…… でも教えてって言ったのはそっちだろ?」


「そうだけどぉ……」


「ほんとに悪かった。ごめん。約束どうり言ったから手伝わせもらいまーす!」


「……わかった。約束だもんね。でもこれで許したなんて甘い考えは持たないでね?」


「わ、わーぁったよ……ところで何探してんの?」


 なんやかんやで探し物を手伝うと大口を叩いていたハクアだったが、探し物が何かを知らずにいた。

 格好をつけようと見せた良心だか、実際に情報もなしに行うのは無計画すぎる。ハクアは心の中で自分の行いに反省した。それはいい意味でも悪い意味でも。

 すると少女は探し物について語り始めた。


「えーとね、黄緑色をした丸い宝石なんだけど……」


「宝石、ねぇ……」


 どこの世界にも宝石はあるんだ、とハクアは心の中で理解しながらその宝石について想像図をえがいていた。


⌈まあ任せな! 一瞬で見つけてやんよ! ところでどこら辺で無くしたとか心当たりねぇの?」


⌈んーとね、ない」


⌈ねぇのかよ!」


 探してあげると言った癖に少女に心当たりはないと告げられただけで激しいツッコミを入れた。


⌈まあ俺に期待してな! こう見えて探し物探すの得意だから!」


⌈……何か不安なんですけど」


 ありもしない得意をつくり、自分をアピールしたハクアだったが、あまりにもあからさまな嘘でかえって不安を生んだ。

 

⌈大丈夫だって! ──とにかく探し物の旅、しゅっぱぁつ!」


⌈今さらだけどほんとお人好しなひと。後変な格好してるし……」


⌈変な格好って言うな!」



────こうしてはハクアと少女の探し物の旅が始まった。



************************



 ハクアは少女と共に探し物をするため、大通りにでた。大通りはまるでイタリアやフランスの町中をイメージ感じである。

 そんな中、ハクアと少女は二人でのんびりと雑談を交わしなから探し物をしていた。


⌈そういや自己紹介してなかったな。俺は架宮珀亜! ピカピカの高校三年生! 生まれは日本!」


⌈にほん? 聞いたことない場所…… 私はミレア。よろしくねハクア」


⌈こちらこそミレア!」


⌈うん!」


⌈それより今は探すのが一番だけど── 手掛かりねぇのはちょいとハンデがでかいな……」


⌈そうだよね……そうだ、情報屋さんにいったら何かわかるかも!」


⌈そんなのあるなら早く言ってくれよ!」


⌈てへっ」


⌈てへっ、じゃねぇよ!」


 仲睦まじく会話交わす二人であったが、情報屋という存在を確認できたことによりハクアは安堵の息を吐いた。

 ──しかし情報屋は商売だ。もちろん金がなければ提供はしてくれないだろう。

 珀亜はいうまでもなく金なんて持ち合わせてないが、ミレアが持っているという感じでもない。 

 果して本当に大丈夫なのか。


 二人はしばらく歩き続けた────


⌈ついたよ!」


⌈ここが情報屋か……ってええ!?」


 ハクアが驚くのも無理はなかった。

 その情報屋は人が管理しているのでも、誰か教えてくれる人も、ましてや資料が置いてすらもない


────ただの大きい石で出来たオブジェだった。


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