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プロローグ
第一章
❲プロローグ❳
──あるものがない。
片腕は既に我が身を離れた。
──あるものがない。
勝利を掴むというビジョンが消えた。
──ないものがある。
あるはずのない片腕がある。
──ないものがある。
勝利見える、いや、確定した。
あったものがなくなったとしたら、それは傷口と不安。
珀亜は何かが体を蠢いてような気がした。
それは悪魔でも天使でもなく────
────不死鳥
何故かはわからない。しかし、不死鳥な気がした。
今は何をされても死にはしない、まるで不死鳥を連想させる感情は脳を過った。
その時珀亜は薄気味の悪い笑顔をごぼしていた。
「──勝ち誇るなよ、外道」
まるで自分の勝利を確定したかのようなヒーロー気取りなセリフが夜の空を駆け巡った────