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異世界のコラプス  作者: のこ
2章 エルフの里
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13話 転移と転生の謎

 修練所からターニャの家へと戻ったころ、ちょうど昼だったため昼食を食べた。


 その後、今日は特にやることがなかったためどうするか考えていたが、ターニャから昨日の続きの話をしないかと提案された。


 俺はそれに二つ返事で頷いた。


「最初にこちらから聞いてもいい?」


 テーブルの向かいに座ったターニャが切り出した。


 今日はまだ時間もあることだし、こちらの聞きたいことは後でもいいだろう。


「あぁ」


「それじゃあまず、あなたはいつこちらの世界に来たの?」


「正確には分からないが、昨日か一昨日か、とにかく最近だ」


 ダンジョン内では何度か気を失っていたせいで時間の感覚があまりない。


 それでも二日間くらいなはずだ。


「そう。あの場にいた全員は転生してこちらの世界に来たと思うんだけど、あなたはどうやってこちらの世界に来たの?」


「俺のギフトによるものだと思う」


 まだギフトの詳細について話したくはない。何が原因で窮地に陥るか分からない。ターニャが突然裏切るかもしれないからな。だから修練所でも全力の半分も力を使わずにいた。


「思うってことは他に何か要因があるってことかしら?」


「いや、十中八九ギフトによるものだ。だが、なぜあのダンジョン内だったのか、なぜ転生者とは十五年の誤差があったのかは分からない」


 確かに運魔法でこちらの世界に行くことにはなったが、詳細な場所の指定はしていない。


 今更だが、そもそもこちらの世界に行くことがデメリットの目に設置できたことが不思議だ。


 もしかしたら運魔法が適当にこちらの世界で俺にとってデメリットとなる場所を選んだのだろうか。


 それとも俺にとってこの世界に来ること自体がデメリットだったのか。


 転生者との十五年の誤差も謎だ。


 こちらの世界に来る方法の違いと言ったら転生者は神様に運んでもらい、俺は運魔法に運んでもらったくらいだ。


 そこに何かあるのだろうか。


「ダンジョンの中に転移させられるなんて危険なギフトなのね。それより、十五年の誤差は神様が直接送ったか、ギフトで送ったかの違いじゃない?」


 ターニャも俺と同じ考えだった。


 だが、転移か。


 転生と転移では世界を渡る際に何か手続きのようなものが違うのだろうか。


「俺も同じ考えだが、転生と転移の違いも一因かもしれない」


 ターニャが確かにと頷いた。


 そういえば、あのダンジョンは最近できていたと里長の家でターニャが言っていたな。最近というのは実際にどのくらい前なのだろうか。


「なぁ、あのダンジョンは正確にいつごろできたんだ?」


「あれは確か五年前……私がこの耳飾りを母からもらったときくらいだったわ」


 ターニャが昔を思い出すように俺へ向けていた視線を外したが、言い終えるあたりから目を斜めに伏せ、自分の耳に付けられている耳飾りをなでた。


 俺はその悲しげな表情を見ていると何とも言えない気持ちになり、返す言葉が出ない。


 無言が続いた。


「ふふっ、なんていうか、不器用ね。私のことなんて無視して聞きたいことを聞けばいいのに」


 ターニャの笑い声が沈黙を破った。


 こういう殺意や悪意のない場ではどうにも非情にはなれない。前とは変われたと思ったがそこは変わらないようだ。


「それで、ダンジョンのことで何かあるの?」


「あぁ、十五年前に転移が始まったとすると、なぜ五年前にできたばかりのダンジョンに転移できたのだろうか」


 あのダンジョンに行くことは俺にとってデメリットだったのは確かだろう。だが、運魔法が未来のことを踏まえたデメリットを設置できるとは思えない。


 実際に今、俺がこれからも回復するだろうHPをかけてもサイコロは創れなかった。


 今、この時間、この状態のこと以外は関与できないからだと思う。だから未来、過去、ともに運魔法のデメリットに設置することはできない。


 そのことを踏まえると、やはり俺がこの世界に来ること自体が俺にとってのデメリットということになる。


 この世界は俺にとって良くない世界なのだろう。


 果たしてそれは俺だけにとってのことなのか。


 それとも……。


「何思いつめたような顔をしているのよ」


 ターニャが心配そうにこちらを伺う。


「気のせいだ」


 こんなことを話したところでどうにもならないだろう。


 そう思って、それ以上聞かれないようににべもなく述べた。


「……そう」


 ターニャは不満そうにしながらも納得してくれた。


「まあダンジョンができていなかったら土の中に転移していたのかもしれないわね」


 ターニャはふふっと笑って意地悪い笑顔を見せた。


 果たしてそうだったのだろうか。それなら他のダンジョンに転移していたとも考えられる。どうなろうとダンジョンに転移させられる運命だったのかもしれない……。


「……冗談よ」


 自分で言っておきながら不安そうに言ってくる。


 俺が怒ったとでも思ったのだろうか。それなら冗談なんて言わなきゃいいのに。


「それより、転生と転移について何か知っていることはないか?」


 とりあえず無視して話を少し戻した。


 俺の言葉にターニャは考えるように腕を組んだ。


「転移について一つだけ知っていることがあるわ。その前に喉が渇いたからお茶を入れてくるわね」


 ターニャは組んでいた腕を解いて、立ち上がりそう言った。

お読みいただきありがとうございます。

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