ニアミスなんて・・・信じない!
準備を整えた龍助たち6人は、森の中へと歩み始めた。
時折、木々の間から薬草や茸類を採取したり、魔獣を狩ったりしながら、奥へ上へと進んで行く。すると、進行方向から降りてくる番の獣が現れた。
白い体に三つのフサフサな尾を持った狐である。なんとなくだが神々しくも感じるが、捕まえて見ればわかるだろうと、いつもどうり狩りをしようとしたのだが、「待つのじゃ。」と声をかけられた。
「せっかちじゃのう。おぬしら、あの神共の知り合いか?なんとなくだが同じようなニオイがするのじゃが。」
と、頭に直接響くような感じの声が聞こえてきたのである。
「あなた様は、聖獣さまでしょうか?」と龍助は尋ねだした。
「如何も、ワシは白緒三狐という種族の聖獣じゃ。名は教えんぞ。」
「え?、ファ○コン? ゲーム機みたいだなぁ」と来夏がぼそっとつぶやくと、・・・
「白緒三狐だ。ハ・オ・ミ・コ・ン。ケンカうっとるのか?もしそうならタイマンでなら買うぞ、活きのいい娘よ。」
「す、すみません。似たような名前を以前聞いたことがあったのです。ごめんなさい。」
昨晩、最強女神2人にこってり絞られた来夏は、危うくボコられるかもしれない状況を素直に謝って難を逃れた。
「ほう、素直に謝るとは、後ろの者達のしつけが良いと見える。」
実際そうであるかどうかは、別の話。
「あのう、上の方には、神がおられるのでしょうか?」
「なんじゃ、知らずに上っておるのか?てっきり関係者かと思ったぞ。何よりおぬしらと上の二人のうちの強い方とがまさしく同じニオイと確信できるほどじゃ。」
「なるほど、ニオイですか。もしかしたら生き別れた娘かもしれないと、いま懸命に捜索していたところです。」
「ほう。主らの娘とな。なら、頼みがあるのじゃが、聞けぬとは言わせんぞ。なにせ、あやつらのおかげで、ワシらやほかの獣たちがすむ場所を追われて移動しておるのだからな。」
「そうですか。で、頼みとはどのようなものでしょうか?差し支えなければ詳しくお聞かせ願えますか?」真摯な態度で龍助は情報を収集していく。その後ろで来夏は静江らに正座をさせられていた。
「なに、森を片付けて、ワシらの住む場所を確保させれば良い。それだけのことじゃ。ただし、ただ単に出て行くだけでは詰まらんぞ。あやつらが何かしらのモノを森のあちこちに巻き散らかしておるせいで、力無きモノや魔獣たちが近寄れなくなって困っておるのだからな。」
「わかりました。しっかりと対応させていただきますが、なにとぞ猶予をいただきたいと思います。できるかぎり早急に対応し、聖獣さまたちが暮らせる森にしたいと思いますので、その者たちのいる方向をとどのくらいの距離かを教えていただけないでしょうか?」
「うむ、わかった。そなたの真摯な態度に免じて、しばし待つとしよう。されど期限は設けるぞ。ニンゲンどもの暦で言う半年をメドにして片付けよ。それ以上は待てないぞ」
「はい。善処させていただきます。」
「ふむ。では、ばしょであったな。あやつらがいるのは、おぬしらから見て右手にある草原沿いに山を登れば良い。しばらく進めば森やら草原やらにわけのわからぬものが転がっておるわい。その先にこの辺の神木で作られた社らしきものが見えてくるはずじゃ。まぁ、おぬしらなら問題ないじゃろうが、時折瘴気の出ているところもあるので気をつけることだな。では、期待しておくぞ。」
そういうと、白緒三狐は、霧が晴れるように姿を消していった。
聖獣殿と分かれて3日。やっと草原に出ることができた。
「もう、ドンだけ広いのよ~!」と来夏が嘆くほどの広さである。約230kmくらいだろうか。ゲーム時代のスペックの身体である彼らは、その能力を生かしてただがむしゃらに狩りをしながら、ひたすら歩き続けていた。途中野宿はしている。
それからさらに10日が経ってやっとガラクタが出てきた。たしかに「おかしなモノ」もある。タイヤらしき部分が六角形の自転車で、タイヤのゴムやチェーンがないことから、作れなかったものと推測。しばらく歩くと、四角形のタイヤとかが出てきた。まぁ、恭一君はがんばっているのだろうが、チェーンが無い自転車と言うことは自家こぎ式ともいえるものなので、ナミにはきついだろうと一同納得しながら拾いあるいていく。
そして、拾い歩くこと1週間。やっと、家を見つけた。しかし、近づくにつれてその大きさに下を巻くのであった。こんな広さが必要なのかと。貴族の屋敷なのかと。
ちなみに、本来ならどこぞの王家か高位の術者とかでも近づけないようなところに、なぜ龍助たち6人がいけるのかと言うと、称号に理由があった。
「もしかしたら、ココにこれるの僕たちだけかもね。」
「なんで、龍ちゃん教えて?」
「僕らの称号に共通してるのがあるのはわかるよね?そのなかでも「異界の来訪者」の方じゃなくて「創世神の眷属」ってあるでしょ。たぶんコレの効果だと思うんだよね。」
「じゃぁ、これのおかげで私たちはナミの「親族」というよりも「神族」としてこれるってわけね。」
「だと思うよ。それ以外にこれる理由は無いだろうし。じゃぁ、ぼちぼちあの子達を見つけて、お説教タイムと行きましょうか?」
「「「「「おー!」」」」」盛り上がる保護者たちであった。
しかし、当人たちはたまたま食料探しのために、山を越えていた為、戻ってきたのはさらに10日後であったと言う。
ちなみに、白緒三狐は元々山頂付近で暮らしていたのだったりするのと、龍助たちとあったのが、その住処の近くであったことなどを考えると、龍助たちはニアミスしていたようである。そんなことは当人たちにはわからないが、その辺の背景情報までもキチンと仕事をこなす管理局の記録事務員だった。




