2年後 まだ進展はなく・・・
ナミとキョーちゃんが転移して、丸2年が経とうとしていた。
2人がこの世界にやってきた当初は、「神が、神格者が2柱が光臨なされた。早速わが国に向かいいれて、わが国の力となってもらおう。」と各国は動きを見せていたのだが、見つからない。というよりも見つけることすらかなわなかった。
捜索に出るたびに敵国とばったり遭って、その場で陣取り合戦がはじまる始末。いつしか目的が「2柱の捜索」から「領土拡大」へと摩り替わっていったのだった。
すると、この世界の住人たちも、2柱が降り立った事すら忘れて、普段の生活を取り戻していく。たまに宿屋や酒場では、噂話程度に話が出ることもあるが、すべて根拠のない眉唾だったりする。
この2年間、ナミとキョーちゃんは何をしていたのか?それは、世界管理機構・シュスベークア管理局・記録事務官の情報から読み取ると、・・・・・いつもどうりの展開だったことが伺える。
なにが「いつもどうり」かというと、キョーちゃんが生活向上をうたい文句に、あれやこれやと作品を増やしていって、ナミがそれを吟味しながら良いモノは設置して、気にいらないものは周囲の森のそこらにポイ捨てしていくのである。
ちなみに、この2人は神格者であり、要は一般人から視れば「神」と同じように感じるわけで、その「神」が作りしモノが例え不良品であっても「神の意の篭ったモノ」であるがゆえに、神々しさを失うことなく存在する。それがその森にいくつもあるのだ。
そもそも、この森は元々神聖度の高い土地で、高貴な身分の者か高位の術者でなければ見つけて近づくことができないのである。そんな森にさらに、「神の意の篭ったモノ」が大量に転がっているばかりでなく、もっとも神聖度の高いところにこそ彼らが自前による知識と技術で神木だけを使って建てた『家』があるのだ。
そして、最近になって、ナミとキョーちゃんはある問題で悩み始めていた。
当初、家しかなかったころは、聖獣も魔獣も近くまで来ていたため、食事に困ることがなかったが、いつしか森のはずれに行かなければ、狩りができないくらい神聖度が高まってしまったのであった。当の本人たちは、この事実に気づいていない。元々渡来したときも神力らしき力を感知した獣たちが、そそくさと逃げていたからである。
加えて、当時よりも彼ら自体の神々しさは増している。衣服や装飾も作ってしまうからだというのは、後の祭り。そろそろ、旅立とうかと考える頃かも知れない。
時を同じくして、森の麓の村々では、魔獣の被害に悩まされていた。森の中には、湖のような小さな池や川もあるので、森に住む魔獣たちは比較的に見ても村を襲う必要がなかったのだ、1年と数ヶ月前までは。そのあるときから、村に魔獣たちや聖獣なども来るようになっていた。聖獣は村々を荒らすことなく、寧ろ田畑の豊穣に恩恵を残していってくれるありがたい存在だったのだが、魔獣は荒らしつつもさらに山を下っていった。そう、森に帰ることなく通り過ぎるのだ。丸で何かにおびえるように。
すると、次第にこのあたりの村々には、腕に自身のある冒険者が集まるようになって来て、村ではなく町と呼べるほどの賑わいを見せてきたのである。
そんなときである。一人の青年が、今まで誰もが考えたが問題にすらしなかったことを言い出した。
「なぁ、こんだけ森から出てくるんだから、もう森には魔獣いないんじゃねぇか?」
宿屋の親父が一蹴する。
「はぁ、ばかかぁ、この森は山の向こうの隣国まで続いてるんだ、居なくなるなんてありえねぇよ。」
「じゃぁ、魔獣たちが出てきた理由は、なんだと思うのさ?大きな魔獣が出て住処を追い出されたんじゃね?」
「それこそ、ちげぇよ。魔獣たちが来るようになる前から、定期的に森の監視を騎士様たちがしてるし、住んでる俺らも村を襲うというか通り過ぎていっちまう魔獣たち以外の咆哮は聞いてねぇ。だから、そげな大きな魔獣が居るこたぁねぇ。」
「じゃぁ、何が原因だって言うんだ?」
「俺はしらねぇよ。んなことは気にしたってしょうがねぇ。俺は宿屋をやっていくだけだしな。」
「はぁ、そか、悪い、呑み過ぎた様だ。」
「まぁ、いつものことさ」
そして青年は仲間のところへ戻って行く。
「ねぇ、龍ちゃん、どーだった?」
「あぁ、大きな魔獣とかは居ないらしいよ。ただ、原因は不明らしい」
「ってことは、何らかの脅威ってことだよね?」
「かもね。地震とか火山とかの類じゃないっぽいね。」
「で、どうするんじゃ?わしらの力量なら野宿でも問題ないじゃろうから、いまからいくか?」
「父さん、それはないよ。もしも、僕らが考えて居るとおり、この状況の原因がナミたち神格者の無自覚な威力の影響だとしても、準備は最低限しないとね。」
「そうね、それにあの子達どうせ食事に困って居るでしょうから。食料たっぷりと購入していきましょう。」
「さすがママね。気が効くぅ♪」
「静江様もどうかしら?」
「そうね、衣服も見繕って生きましょ?それに、恭一君のキャラって女の子でしたわよね?もしかしたらってこともあるから、用意してあげましょうね。」
「あはは、恭一君が女の子かぁ、忘れてたよ。さすが母さんだね。」
「来夏たち2人は、魔力か神力を抑える魔道具かアクセサリを探しておいてね。どっちの性別でも問題ないようなモノをね。」
「わーぃ、デートだぁ。いこ、龍ちゃん!」
来夏になかば強引連れて行かれる龍助であるが、その顔はまんざらでもない様子。
「で、わしらは・・・?」
「当然、これから呑みに・・・「荷物持ちに決まってるでしょうが!!」」
最強の美女2人に首根っこをつかまれ引き摺れて行く康介と銀丈だった。
で、その夜。
「アクセサリはいいの見つかったのかしら?」
「うん。すっごくかわいいの。いろいろ買って来ちゃった。」
来夏の買って来たアクセサリを吟味する靖美と静江。
ココには男衆はいない、風呂で一杯やって居るようだ。
「静江様、私はたしか、『どっちの性別でも問題ないようなモノ』って言ったはずよねぇ?」
「そぉですねぇ、たしかに靖美様はそのようにおっしゃって降りましたわ。」
「それが、なんですべて女性用なのでしょうかねぇ?来夏さん?!!」
「あ、あの、ね、それは・・・」
冷や汗を流しながら、後ずさる来夏を静江が背後から捕まえる。
「えっ?(^o^;;)」
「来夏ちゃん、逃がさないからね。たぶんうちの龍助のことだから、貴方の勢いに何も言えなかったのでしょうけど、私たちは違うわよ。それに、龍助はたぶんこうなることがわかってて康ちゃんと銀ちゃんを連れてお風呂に行ったんだと思うしね。」
まさにそのとおりであった。そして、来夏は日頃の事もあり、こってり絞られるのであった。
そして、男部屋と女部屋に別れた今回、3人部屋を2つ取ったのは龍助だったりする。
その夜、「龍ちゃんのばかぁ。」とベットの中で涙ながらに嘆く来夏なのであった。




