世界管理機構
朝目が覚めて、さぁ起きようと思った矢先に、いきなり目の前にチャットウィンドウ。
【システム】こちらは、惑星 シュスベークアを中心とした亜空間世界を管理する、世界管理機構です。只今より10分間システムメンテナンスを行います。
なんなの~って思った。そして、続きはこうあった。
【システム】このアナウンスは、世界管理機構が必要と認めた時しか流しておりませんので、知っている方と知らない方がございます。毎度同じ説明になりますがご容赦ください。
【システム】この世界は亜空間に築かれています。これは、科学発展系惑星・魔法発展系惑星・魔法科学発展系惑星にて生活されている方々に於きまして、魂ベースの情報に問題や改修等が成されている場合に、各惑星の輪廻から外れそうな方々を、その死の直前にこちらにお連れして、相互のシステム上問題がないと判断したのち、当人に戻るか残るか選択していただいて、輪廻の輪を調整していくために作られた星系空間になります。
【システム】生きている間に「神かくしのようにこちらに来た」と勘違いされているかもしれませんので、説明いたしますが、そのまま元の惑星にいた場合、何らかの状況変化により即死する可能性が90%以上であるとした場合には強制転移を施しており、それ以下の場合には、当人の目前に当人しか見えないカタチで、次元転移穴をわかりやすく提示させて戴いたりしております。
【システム】通常の方の場合は、こちらのシステムが自動処理いたしますが、今回のみ特例の方が2名強制転移で来られました。
2名って私達だったりって思い、言おうとしても動けない。TT
【システム】なお、この2名の方は、神格待遇でこちらに来ておりますので、危害を加えると我々が関与しない程度に罰せられますので、ご注意ください。
【システム】今回来られた2名は「巫女神」様と「騎士神」様になります。なお、巫女神様は、「ベルスウィンド大陸」全土の土地管理権利書とシュスベークアの衛星「リンドガンド」ならびに、シュスベークアの近隣惑星「ルクセント」「アルモネカ」の惑星管理権利書をお持ちです。
【システム】これらの管理権利書は、譲渡・売買・盗難・汚染・破棄・燃焼等の防止機能がついておりますので略奪したりできません。仮に奪い取っても、悪事を働いた方とそれを指示した方すべての魂ベースの情報が抹消され、輪廻の輪に戻ることができなくなります。
【システム】この2名の来訪により、システムを調整しております。ご面倒をお掛けしますが、ご容赦くださいますようお願い申しあげます。
【システム】なお、この2名の神格者は、1週間ほど前に「ベルスウィンド大陸」へご光臨されており、ご自分たちで神殿も作られておるようです。拝礼をおすすめします。
【システム】それでは、お時間となりましたので。普段の生活にお戻りください。
以上、世界管理機構でした。
「やっと動けるよ。」ふーっと背筋を伸ばして緊張をほぐしていると、
「管理機構なんてあったんだね。それと、この家が神殿ねぇw」
「いろいろバラされちゃったよ。どーするキョーちゃん?」
「どうしようか。で、神格者が建てた家だから神殿ってうのはいいけど、今のアナウンスでわかったのはこの今いる土地での最高権力者は“ナミリア・アステリア・リカルード”、つまり、ナミ、君だってことだよ。」
「え、? わたし?わたしが最高権力者?ふぇ?」
どうやらホントのようだ。でもなんで?
「ナミさぁ、会社買ったんでしょ?会社名何だったか覚えてないでしょ?」
「おぼえてないねw」
「だと思って、一族会議でナミの暴走を管理するように言われて、会社名全て把握してるけどさぁ、ナミの持ってる管理権利書の大陸や惑星の名前ってその会社なんだよね。この一致が恐ろしい。それに、シュスベークアって名前の会社だけどね、最初から江波グループの会社だから買うことはできないから、うちの一族の繁栄の裏にある“忌み子”の存在がカギじゃないかとも思うんだよね。」
「え、もしかして、“今代の忌み子”である私がこの世界の命運を握りつつも、この世界そのものが、江波家と関わり合いがあるってことかな?」
ちっとはお利口なところを見せようと頑張って頭を回転させてみたらキョーちゃんは私の頭を撫でながら、「お、ナミ少しは頭良くなったみたいだね。」という。
「むぅ、バカにするなぁ~」ジタバタ暴れてみる
「はいはい、でね、さっきのアナウンスにさ、気になる点があったんだけど、ナニか分かる?」
「え、なんなの、わかんないよう。」
ふてくされながら、頬をフグのように膨らまして抗議した。
「さっきのアナウンスには、死に直面する直前にワープホールが開くか強制転移させるってあったでしょ?もしかしたら、ナミの家族もこっちに来てるかもよ。江波家が関わってることだろうし。」
「えっ、あっ、・・・・・」
突然の衝撃の発言に、パニックになりながらも、嬉しさのあまり涙がこぼれてきた。
「あぁ、ごめん、泣かすつもりじゃなかったんだけど。」
ぽろぽろ、ぽろぽろ、涙が落ちる。
「うぇぐ、だいじょぶ。 ・・・だいじょぶだから。・・・ おかーさんたちに会えると思ったら、涙が・・・止まらないよう。」
ぽろぽろ、ぽろぽろ。キョーちゃんが抱き寄せて背中をさすってくれた。
「はいはい、ごめんね。でもね、仮定のもしかしたらの話だから、安心しちゃわないでね。」
「うん。うん。」
「でも、会えるといいね。で、気持ちを切り替えて、明日から散策再開しようよ。で、今日は落ち着くまでのんびりしておこう?」
「うん。」
明日からにしようと決めた午後、互いの装備のなかでも特に気になっていた、私たちの額に巻いてある“千里眼の鉢巻”の性能を、鑑定で調べてみることにした。
すると、以下のような表を見ることができた。
****************************
アイテム名:千里眼の鉢巻
(目元で巻くと遠くが見える気がする:気配察知効果+10)
装備部位:頭・額
特徴:未強化の状態でも、装備者を中心とした半径100mまでの気配を察知することができる。
また、物の名称やその状態を調べることもできるが、効果範囲は半分となる。
*強化による違い*(単位:m)
レベル:距 離::レベル:距 離::レベル:距 離
+ 1: 300::+ 6:2000::+11:5000
+ 2: 600::+ 7:2500::+12:5900
+ 3: 900::+ 8:3000::+13:7000
+ 4:1200::+ 9:3500::+14:8100
+ 5:1500::+10:4000::+15:9500
備考:神格者・神獣・神職者などがコレを所持する場合は、通常の強化値の倍以上になる。誤差を含む。
[スキル:鑑定・監査・査定]を取得できる。
****************************
愕然とした瞬間だった。だって、私のアイテムは+10。
そして、私は神格者で上位得権限保持者でもある。
つまり、ほぼ半径10キロ圏内には誰もいない。魔物さえも。
もしかして、神格者が2人もいるから魔物も寄ってこないとか?はぁ。
脱力するしかなかったのである。
そして、キョーちゃんの顔は引きつり笑顔だった。




