ep,083 教会騎士団騎士長カイゼルとの決闘 (3)
どうしていつもこう、間が悪いと言うか。
何かしら事が起きてから行動することばかりだった気がする。
メリルも、リノンさんも、セリアも。
悲しい思いをさせて、怖い思いをさせて、痛い思いをさせて。
そうなってようやく、それを解消させるために動き出す。
こんなのはもう嫌だと思いながら、繰り返す。
今朝だってそうだった。
偉そうなことを言っておきながら、早速だ。
あいつが、震えていた。
不安にさせてしまった。
俺は、また繰り返した。
けどせめて、その不安を取り除くことだけは失敗してはいけない。
でないと、
格好がつかないじゃないか。
※
(治れ、治れ治れ治れ……!)
ショーマは背中に走る強烈な痛みに向けて、魔力を流し込んでいく。
負けるわけにはいかないのだ。
こんなつまらない失敗で倒れている暇は無いのだ。
すぐに立ち上がって、再び立ち向かわなければ。
けれど、どうしても体が重い。立ち上がれない。
だから、少しの間でも良いから。
(俺の代わりに、戦ってくれ!)
それは言うなれば空想の具現化であった。
魔力で形成された炎が、人の形を成していく。
術式無しでの魔法の発動。と言うよりも、術式すら存在しなかった新たなる魔法の創造。ショーマはそれを行った。
自らの代わりに戦う騎士の召喚を。
ぼんやりとした強さの象徴として、まず鎧で身を固めた騎士のイメージを形にする。何も無い所から作り出すのは難しいので、剣のイメージから始めた。
ちょうどよく使っていた魔法『バーニングブレイド』があった。炎の剣を生み出す術式を土台に、その剣を操る騎士を生み出すために魔力を形作っていく。
そして生まれたものが、炎を騎士の形に具現化したものであった。
カイゼルも炎や氷が武器の形をとる魔法があることは知っている。
だがそれを手にして扱う存在を作る魔法までは知らなかった。
しかし目の前にいる存在は見間違いなどではない。
何故こんなものが作り出せたのかは理解が及ばないが、それでも決闘の相手が扱う『戦いの手段』ならば、正々堂々迎え撃つまでである。
揺らめく炎が形を持って、全身に甲冑を纏う騎士の姿を象っている。手にする剣は、大きさこそだいぶ小さくなっているが『バーニングブレイド』に良く似た形状をしている。
あれと同じ様な効果を持った剣、ということだろうか。となれば斬撃だけでなく投擲にも注意が必要だろう。爆発こそがあの魔法の最大の特徴だ。
「……む」
その炎の騎士が、ゆらりと正に陽炎の如く動いた。
腰をわずかに屈め、剣を引き、今にも斬りかからんとしているようだった。
懸命に治癒の魔法を発動しているショーマを、カイゼルは一瞬だけ見る。
ショーマにとっては炎の騎士が打ち破られるまでにどれだけ傷を癒せるか。それが戦いの行方を左右することになるだろう。
カイゼルにとっては、どれだけ早くこの得体の知れない存在を打ち破れるかということになるわけだ。
傷は致命傷とまではいかないものの、かなりの痛手のはず。まともに動けるようになるまでの時間を見積もりながら、カイゼルはその時間内に決められるよう炎の騎士への対策を練り上げていく。
(さあ。ではその悪あがき、どれほどのものか見せてもらうぞ!)
カイゼルが迎撃の構えを取る。
そして、
炎の剣と黒の神位剣が交錯した。
※
その戦いを視界に納めながら、ショーマは自身の傷を癒すことに集中していた。
体を大きく抉られたわけでもないので、治癒は比較的楽に行えると思えた。
だが実際はそうでもなかった。
自分が負った傷を癒すのは他人の傷を癒すのとは訳が違う。何しろ治癒を施す自分自身が痛みと戦いながらの作業になるからだ。
思いの外、集中が出来ない。痛みはひどいし、出血のせいで意識も朦朧としてくる。
それでも何とか気を奮い立たせて、背中の傷に魔力を込めていく。
「……ぐっ、」
治癒が始まり、ばっくりと裂かれた背中の傷がくっついていくのを感じる。肉がうごめき、断たれた細胞がみちみちと小さな音を立てて繋がっていく。
(気持ち悪い……)
耳に程近い場所で起きている再生だからよく聞こえるのだろうか。その音は不快感が凄まじかった。今まで何人かに治癒魔法を施したことはあるが、彼らもこんな気分だったのだろうか。何となく申し訳無くなってくる。
だが成果は確実に出ているようで、やがて痛みは収まっていき、心地よさにも似た感覚がやって来る。
そして意識も落ち着いていき、冷静に周囲の状況に気を払うことも出来るようになってきた。
そして、見た。
黒の騎士と、炎の騎士が剣を交えている様子を。
「……えぇ?」
自身が半ば無意識の内に作り出した存在に、ショーマはようやく気が付いた。
※
炎の騎士が振り下ろした剣を、カイゼルは身をよじって回避する。そしてすれ違い様、胴体を両断せんと神位剣ゼルグランドを思い切り振り上げた。
「……っ」
しかし相手は炎。その体が少しばかり揺らめいた程度で、斬撃は素通りしてしまうのだった。
(やはりか)
カイゼルは一旦距離を取り、構えを取り直す。ただの炎ならともかく、魔力で作られた炎ならば対応は出来る。そう、魔力には魔力だ。
自身の魔導エネルギーと周囲のマナエネルギーを練り合わせ、刀身に纏わせていく。これで魔力で構成される体を斬ることが出来るはずだ。
神位剣ゼルグランドの能力で残せる斬撃にも魔力を纏わせることは可能だが、その分の魔力も当然必要になる。カイゼルにはそれを作り出すための魔導エネルギー量があまり多くないため、この炎の騎士に対してはその能力を有効に使うことは難しいだろう。
(だがそれがどうした……!)
そう。その程度さして問題にはならない。相手が同じ剣の使い手であるならば、否、そうでなくとも、教会騎士長の名において勝利は必定なのだから。
炎の騎士が振り下ろした剣が地面に突き刺さり、比較的小さめの爆発が起きた。カイゼルは噴き上がる爆炎に隠れて回り込み、背後から斬りかかる。
しかし目でものを見ているわけではない炎の騎士に、不意討ちは何の意味も為さなかった。炎の騎士は後ろを見ることなく身をよじり、カイゼルの剣を浅く受けるに留めた。
魔力の込められた斬撃ゆえ体の一部は斬り裂かれてしまったものの、すぐさま再生が行われ傷は元通りになる。
痛みを感じた様な素振りも当然無く、炎の騎士は反撃に出る。カイゼルもまた、それを迎え撃った。
そんな2人の戦いを、ショーマは冷静に見つめていた。
炎の騎士は、ショーマの意思から離れ独自に戦闘を行なっている。ただその戦いぶりは、先程ショーマが望んだ様に足止めを重視しているような動きであった。
(よし……)
傷もだいぶ癒えてきた。もうすぐにでも動くことは出来そうだ。
だが未だ炎の騎士は健在である。せっかくだから上手く活用すべきだろう。カイゼルもショーマの傷がもう癒えたとは思っていないようであることだし。
あれはショーマ自身が放った魔法だ。2対1で卑怯だなんてことは言わせない。だから、最大限に活用する。
(行くか……!)
息を1つ吐いて覚悟を決めると、ショーマはクリスセイバーを構える手に力を込めた。
また傷を、痛みを負うかもしれないという恐怖。
ショーマの心にも確かにそれは芽生えてはいた。
けれどそれに潰されることなく、再び脚を踏み出した。
守りたいものが、あったから。
「何ッ!?」
カイゼルの左右に『バーニングブレイド』が突如出現した。左右からの挟撃に加え、正面からは炎の騎士が迫る。
それ以上に、この魔法が放たれたこと……、つまり、ショーマがこんなにも早く再起したことこそが最も大きな驚きであった。
……規格外の存在であることは重々承知していた筈だというのに。
あんな単純な罠に引っ掛かったことで、その程度なのかとどこかで油断してしまったのだろうか。
(不覚……ッ!)
自らの行為を深く恥じ入るのも一瞬のこと。まずは周囲に迫る脅威を迎え撃つ。
魔力を纏わせた斬撃を飛ばし、素早く2つの『バーニングブレイド』を破壊する。その際生まれた隙を狙って、爆発の衝撃に紛れ攻撃してくるであろうショーマと炎の騎士を、敢えて誘い込む。
「……ふん!!」
そして案の定、炎の騎士が爆炎の中から斬りかかってきた。予測済みの攻撃を難無く受け止める。
ショーマは爆炎で視界を遮り、炎の騎士を囮にし、その隙にどこからかまた魔法の攻撃を放ってくるだろうと更に予測する。
だがそのために魔力を練り上げれば、その気配で位置は特定出来てしまう。そうなれば不意打ちにはならない。
(結局そんなものなのか……!?)
その浅知恵に心のどこかで失望しながら……、しかし即座にその考えは捨てた。
「うおおおッ!!」
「ッ!?」
真正面、鍔迫り合う炎の騎士の向こうから、勇ましく叫ぶ声が聞こえたからだ。
ショーマは炎の騎士の背後に回り込み、炎の騎士もろともカイゼルに斬りかかった。
クリスセイバーが炎の騎士を斬り裂くと同時、魔力が分解され取り込まれていく。
魔力で形成された刀身は再び巨大化し、カイゼルに迫った。
炎の騎士の剣を受け止めていた神位剣ゼルグランドが、そのままそれを受け止める。
「……!!」
爆ぜる極彩色の火花の向こうで、2人の視線が交錯した。
何が何でも勝つという意志が、ぶつかる。
「だああああッ!!」
強大な魔力が込められたクリスセイバーに、神位剣ゼルグランドが押し込まれていく。そこへ、
「ぐッ!」
両足を強く踏みしめそれを受けていたカイゼルが僅かに苦悶の表情を浮かべた。ショーマが放った『アイススピア』が背中に突き立ったからだ。
対魔のマントと鎧によって守られてはいたが、至近距離からの攻撃は流石に威力がはあった。と言っても多少足元が揺らいだ程度だったが。
だがそれでも十分であった。
僅かな揺らぎで、保たれていた均衡が崩れる。
(まだまだ!!)
ショーマは『アイススピア』の追撃を放つ。クリスセイバーの刀身は削られるが、それでも放つ。
これが最後の勝機だ。炎の騎士を再び作り出せるかわからない。炎の騎士抜きではまた先程のようにじり貧になるだけだろう。
だからこの機を逃さない。攻めきるしかない。
想いを込めて、クリスセイバーを強く押し込んだ。
おい。
あんたはずっとそばにいて、わからなかったのか。
あいつの心を。
そんなことする奴じゃないって、わかってやれなかったのかよ。
なあ。
違うよな?
だって、あいつは……。
「だあああッ!」
あと僅かで、届く。
カイゼルの神位剣ゼルグランドを叩き伏せて、その返す刃で首元に剣を添えれば勝利だ。
ステアを、助けられる。
(この闘気は……ッ!)
一方のカイゼルは、迫るショーマから迸る闘気に驚愕していた。
強大な魔導の力に、悪くない戦闘技能。恐れを知らない勇猛さ。
そして、この土壇場で沸き上がってきた闘気。
絶対に勝つというその意志が、力になる。
そう。今この少年は……。
(だが俺とて、それは同じだ!!)
カイゼルにも強い意志はあった。
それは厳格なる正義。
それを貫くために、カイゼルにあってショーマに無いものを見せつける。
たゆまぬ鍛錬によって磨かれた、時間を重ねることでしか身につかない、技巧を。
「!」
ぎりぎりの拮抗の最中、突如カイゼルの手首が捻られた。
瞬間、巧みな剣裁きによってクリスセイバーの切っ先の向きが変わり、今度はショーマの体勢が崩される。
ここぞという所での一手により、ショーマは窮地に追い込まれた。
(……まだだ!)
それでも、何度窮地に立たされようと諦めない。
一旦後ろに跳んで、神位剣ゼルグランドの間合いから離れる。だが強引な跳躍は無理な姿勢での着地を余儀なくされる。
「でああッ!」
それでも、そこから巨大化したクリスセイバーの過剰な魔力を全て後方へ噴射、強引に突撃へと転化させる。
今度こそ最後の攻撃になるだろう。カイゼルの迎撃が速いか、ショーマの突撃が速いか。
突撃と共に突き出されるクリスセイバーの刀身が光り輝いた。
光を撒き散らしながらの突撃は、さながら流星のようであった。
「……!!」
カイゼルもまた、迎え撃つために黒き剣を構えた。
雄叫びと共に、光が弾ける。
※
静寂。
光が弾けると共に舞い上がった砂が、ゆっくりと晴れていく。
メリルや教会騎士達が見つめるその先に、決着の光景が広がっていた。
神位剣ゼルグランドを手にそっと佇むカイゼルと、
そこからだいぶ離れた場所に倒れ込んでいるショーマの姿が。
「…………」
カイゼルはじっと、自分の左手を見つめていた。
その手に神位剣ゼルグランドはない。今は右の手に柔らかく握られているのみだ。
「……?」
対してショーマは、暫し何が起きたのかを理解出来ずにいた。
胸のあたりに鈍い痛みがあるが、さほど苦しくはない。
慌てて起き上がりクリスセイバーを構え、その間に先程の出来事を思い出す。
あの時、そう。クリスセイバーがカイゼルの喉元に届こうとしたその瞬間、事は起きた。
(……あいつ!)
一瞬の交錯。その全てを理解した瞬間、ショーマは声を張り上げようとした。
だがそれはカイゼルの行動によって妨げられる。
神位剣ゼルグランドを右手から離し、地面に放り捨てたのだ。
「な……」
ショーマだけでなく、観衆の誰もが言葉を失う。
それはカイゼルの、自らの敗北を認める行為だったから。
静寂はやがて消え去り、観衆の教会騎士達からざわめきが起こり、それはまたたく間に広がっていく。
教会騎士長カイゼルの敗北。
しかも、自分からの降伏。
彼らにとってはとても信じられないものであった。
「……さ、行くわよ」
「え? あ、あ、うん!」
決闘の終了と共に、広場を覆う魔導障壁が解除された。それを感じるなりメリルはすぐさまセリアとステアを呼びつけ、ショーマの元へ駆け出した。
「……あ」
しかしステアはその2人に続けない。まだこの決着に納得……、と言うより、理解が及んでいなかったからだ。
「……何してるんだ。行けよ」
「え」
近くで観戦していた教会騎士の誰かがそう言った。
「行って良いんだよ。お前は」
「…………」
彼もまたかつて、ステアの能力による被害を受けた者の1人であった。
少なからず負の感情はあったであろうに。
「……ありがとう、ごさいます」
ステアはそう小さく呟くように告げると、おぼつかない調子でゆっくりと足を進めはじめた。
「……けっ」
彼らに背を向け進んだその先には、2人の少女に肩を支えられる少年がいた。
普通に見れば、少々みっともない姿であった。
けれど何故だか、とてもそうは見えなかった。
その姿は、まるで……。
※
メリル達に担がれて広場を後にしたショーマ達は、途中からみっともないその様子を見るに見かねた教会騎士の1人に担ぎ直され、ようやく昨夜与えられた部屋に戻って来た。
「治療は本当にいらないんだな?」
「ええ。自分達で出来ますので」
「そうか。……なあ、」
「はい?」
部屋から立ち去ろうとした教会騎士が、もう1度振り返って何かを言いかけた。
「……いや、やっぱいい。お大事にな」
「そうですか。……運んで頂き、ありがとうございました」
だが結局何も言わず、そのまま立ち去ってしまうのだった。
「……何言おうとしたのかな」
「さあね」
セリアの問いに、メリルはちらりとステアに視線を向けながらとぼけた。
「……で、具合はどう?」
背中の傷を痛めないよう、ベッドでうつ伏せになって寝ているショーマにメリルが問いかけた。セリアとステアも近くでその様子を見守っている。
「ん……。傷はもう平気。でもちょっと、疲れたかな……」
「そう?」
「うん……」
「ふうん」
ぼんやりとした様子で答えるショーマ。メリルはその様子から、やはり先程の決着に彼も少なからず不満を抱いていることを察した。
「なら今はゆっくりと休んでいると良いわ。私達は隣にいるから。……さ、行きましょう」
「え、うん……。ショーマくん、本当に平気?」
「大丈夫だよ。心配かけちゃったよな、ごめん」
「あ、う、うん……。えっと、じゃあまた後でね」
名残惜しそうにしつつも、セリアもメリルと共に部屋の外へ出ていった。
「…………」
部屋にはショーマとステアが残り、暫しの間沈黙が続いた。
「……あれ? ……あー、えっと。私も、それじゃあ……」
「うん」
2人にだいぶ遅れてステアも立ち上がる。
決闘が終わってからずっと、ステアの頭の中は夢の中にいたような感覚で、今もこうしてようやく既にメリルとセリアが退室していたことに気付いたほどであった。
「ステア」
「!」
そしてショーマも、考え事をしていたせいで気にする事が出来ずにいたステアにようやく言葉をかけた。
「……その、なんだ」
「は、はい?」
「俺はお前に、生きていてほしい」
「…………っ」
「何かすっきりしない勝ち方だったけどさ、それでも……、勝ちは勝ちだ。お前を守れて、良かったって思ってる」
ショーマは目を閉じて、照れを隠すようにしながら言った。
「……はい。……私も、」
「うん」
そしてステアも、その言葉に素直な気持ちを返した。
「あなたとまだ一緒にいられることが、嬉しいです」
「……うん」
※
結局何だかんだと理由をつけて部屋に残ってしまったステアがうたた寝し始めた頃。
外はもう既に暗くなりつつあった。ショーマはベッドから体を起こすと、そっとステアの白い髪を撫でた。そうしていると、色々彼女との思い出が浮かんでくる。
そんな時、ふと扉の向こうに人の気配を感じた。
「……邪魔をするぞ」
「どうぞ」
扉を開き、カイゼルが姿を見せた。扉より背が高いので、ぶつからないよう少し屈みながら部屋に入ってくる。
ショーマも彼が来訪するのは何となくわかっていた。お互いにあの決着には思う所があっただろうから。
「眠っているのか」
カイゼルがステアの様子を見て聞いた。
「ああ」
「なら都合が良い」
カイゼルは少し考えたような素振りを見せながら、そっと語り始めた。
「決闘はお前の勝ちだ。望み通り、そいつの身柄は預ける」
「遠慮なくそうさせてもらうよ。……あんたは、真面目にやってなかったみたいだけどさ」
「…………」
「何でそんなことしたのか、話してくれるよな」
ショーマは問い詰める。と言っても、その表情は穏やかだ。
「ああ。……まあ、何と言う程の理由があるわけでもないのだかな」
カイゼルは視線をステアからショーマに移すと、静かに語り始めるのだった。