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ブランジア人魔戦記  作者: 長村
chapter,01
8/104

ep,008 学術都市リヨール~廃村の道のり (2)

 ショーマは、地面に座り込んで川の様子をぼーっと見つめながら休んでいたセリアに声をかけた。

「よっ」

「あ、ショーマくん。……なんだかまたどきどきしてきちゃったよ」

「ああ、もう結構近くまで来てるんだもんな」

 今は確かに落ち着いて休めるはずの状況ではあったが、やはり敵の近くというのは、緊張してくるものだ。

「ショーマくんは、……怖くない?」

 戦うこと。命の保証が無いこと。……命は1つだ。もし何かのミスで落とすようなことがあれば、拾い直すことは出来ない。だが。

「俺は、うん。まあ、意外とリラックス出来ているよ」

「そっか……。私は、もっと真剣に勉強しておきたかったな。って思ってる……」


 セリアはこれまで修練を積んできた日々を思い返す。ショーマやメリルに出会えたこと。友達と一緒に頭を捻ったこと。その時は真剣で一生懸命だったと思っていたが、今考えたら、もっと脇目も振らずにいれば、もっともっと頑張れていたような気もする。

 じっとショーマの顔を見つめる。

「……ん、何?」

 でも、本当に脇目も振らずにいたら、この出会いは無かったかもしれない。そう思うと、気持ちが定まらない。

「……今回の結果がどうでも、私、ちゃんと帰れたら今まで以上に勉強、頑張ろうと思う」

 もっと自信を持ちたい。……今は、そう。余裕が無いのだ。もっと自分に自信を持てれば、脇目を振る余裕を持てるかもしれない。


「そっか。……俺もセリアが頑張るの、手伝いたいよ」

「……ぅえ?」

「だから、絶対無事に帰ろうな」

「あ、う、うん、……はい」

 そう伝えると、こちらに向けていた視線を、逸らすかのように川の方に戻してしまった。傍らに置いていた帽子もかぶって表情を隠してしまう。

(ちょっとクサかったかな……)

 そういう反応をされると、それはそれでこっちが恥ずかしくなる。

 そのまま特に会話らしい会話も無く、食事の準備が始まるまで、2人は川の流れる様子を見ていた。


 芋と野菜のシチューに、川で捕まえた魚という夕食を食べ終わる頃には、もう陽が暮れようかというところだった。

 一行は焚き火を囲んで今夜の予定を立てていた。

「2100時より明朝0500時までを睡眠時間としよう。早いかもしれないけどちゃんと眠っておくこと。1時間ごとに2名ずつ交代で火の番と結界の警戒をしよう。睡眠時間が半端になるけど、こういう遠征の時にはよくあることだろうから、これも経験だと思って」

 組分けとそれぞれの担当時間は小隊長2人が決める。随伴騎士の2人は、それぞれ4時間で交代して見張りに付き添うと言ってくれた。


   ※


 テントで眠るショーマの肩を揺さぶる誰かがいた。

「あ、あの……、起きて、ください……。あの、お願いします……」

「……んあ」

 本当に起こすつもりがあるのか疑うような、か細い声に反応する。

 フィオンだった。外はまだ暗いというのに女子1人で男4人の寝るテントにやって来るとは何事か。

「……って、ああ見張りか……」

 ショーマの見張りの担当時間は0300時からだった。その前がフィオンとローゼの担当だったので、交代を告げに来たのだろう。

「あ、えっと、あの」

「うん、起きる起きる」

 まだ少し眠気が残るが、ちゃんと布団から出る。

「あ、もう1人の方も……」

「ああ。おい、バムス……、君。起きてくれ」

 ショーマと一緒に見張りを行うのはバムスであった。正直彼に良い印象は無いので勘弁してほしかったが、小隊長のレウスが決めたのだから仕方が無い。

 他にレウスとデュランも寝ているので、大きい声を出さないよう肩を揺すって目を冷まそうとする。が、手が触れる直前、バムスはむくりと体を起こした。起きていたのだろうか。

「交代の時間か」

 声にも寝起き特有の淀みは無い。

「あ、ああ。呼びに来てくれたよ」

「そうか。では行くぞ」

 すっと立ち上がると、さっさとテントを出て行ってしまった。驚きながらショーマとフィオンもそれに続く。


「御苦労」

「おはようございますバムス様、ショーマ様。見張りの結果ですが、異常は特にありませんでした」

 焚き火のそばに立っていたローゼが引き継ぎを行った。

「わかった。後は任せろ」

「よろしくお願いいたします。それでは私は休息に戻らせていただきます」

「あ、そ、それじゃ私も。……あ、後は、よろしく、お願いします」

 ローゼとフィオンは自分達のテントに戻っていく。

「御苦労様だったね」

 随伴していた騎士ロックスも彼女らを見送る。

「それじゃあ君達、頑張るように。僕はいないものと思ってくれて結構だから」

「あ、はい。頑張ります」

 ショーマは軽く頭を下げる。


 ……とはいえ実際は見張りと言っても何かすることがあるわけでも無し。火の勢いを絶やさないよう、時々木の枝を放り入れる位だ。すぐに退屈になる。

 ……やはり、彼と少しは話でもしていた方が良いだろうか。

「良い機会だし少し話でもしないか。ショーマ・ウォーズカ」

 考えていたら、向こうから話しかけてきた。

「な、何か聞きたいことでも……?」

「ああ、ある。色々とな」

 挑戦的な目付きのバムスである。これは逃げられないなとショーマは覚悟を決める。

「噂に聞いている記憶喪失とやらは、まあどうでもいい。魔法の才覚とやらも、まあ事実は事実だ。俺が気にしているのはな。ショーマ。お前のその力を、お前はどう思っているか。ということさ。

 ……念のため1つ聞いておくが、お前、その『能力』とやらは自分で望んで得た物か?」

「違うよ」

「だろうな」

「今は『必要』だと思っているけどね」

「フ。自分の力をいらんなどと抜かしていたなら、話すことが無くなっていたところだ。

 ……まあいい。さて、お前も知っての通りだろうが、俺達の隊には無謀にも素人の身でありながら戦場に身をやつすことを望んでいる者が幾人かいるな」

「足手まといだ、って笑うのか?」

「笑いなどしないさ。……我がワグマン家ではな、自らを鍛える人の姿は『貴い』物だと教わってきた。大望を抱き、それに向けて切磋琢磨する姿は、例えそれが達せられなくとも、美しい物なのだと。

 そして我らワグマンはその姿を守るためにこそ強くあれ。ともな」

「頑張る姿が、貴い、か……。ならなんでデュランに突っかかるようなことしたんだ?」

「あの男は間違っている。貴さにはほど遠い」

「……どういうことだよ」

「ヤツの姿は何度か見たことがあるがな。見た所ヤツには抱くべき大望が無い。ヤツを突き動かすのは恐らく、外圧による強迫観念か何かだ。……自分はこうしなければいけないからこうしている。そう考え自分に鞭を打っているのだ。それは貴さでは無い。醜くもがいている無様なだけだ。そんな間違った努力では、実を結ぶことは無い。

 ……俺はそんな姿が、見るに耐えん」

 ただデュランが、未熟な者が嫌いで見下していたというわけでは無かったようだ。……口が悪いのは確かなようだが。

「その点あのセリアとかいうのはまだまだだが、十分に『貴い』と言えるな。あれはお前の女か」

「え!? い、いや別にそんなんじゃ……」

「フ、そうか。ならさっさと惚れさせてやると良い。好いた男のためにならどんなことだって出来る類いだぞ、あれは。お前が甘い言葉でもかけてやればすぐだろう」

「何を言い出すんだあんた……」

「ああいうのは好みでは無いか」

(何で真夜中の好きな女子談義みたいになりつつあるんだよ……)

「そういうのじゃ無くて……。そんな人の気持ちを利用するみたいな真似、良くないだろ……」

「既に意中の女でもいたか? だが1人くらい余計に受け入れるくらいの甲斐性を見せてみろよ」

「いや、だから……」

 なおも口答えを試みるが、何となく絶対引かないような気がしたので諦めた。

「まあ良いさ。話をお前の力に戻すぞ。

 単刀直入に言うが……。お前の力、俺の下で活かすつもりは無いか」

「…………は?」

 予想外の提案に間抜けな声を出してしまう。

「お前の能力は1つ間違えれば嫉妬を集め、諦めを誘う物だ。あんな才能の下では自分の努力などカスみたいな物だ、やるだけ無駄だ。諦めよう。という風にな。

 人の『貴さ』を、お前がお前の望まないところで潰してしまう。それは許されないことだと思わないか。

 ……だが俺の下につくならば、俺の指示でお前の能力を羨望の的にさせてやれる。お前に憧れ、お前のようになりたいと願い、お前を目指して己を磨く。多くの者に『貴さ』を抱かせてやれる。素晴らしいことだ」

「それは……」

 それもまた、ショーマの力の『使い道』だった。そんな風には考えたことが無かった。

 嫉妬しか集めないかもしれない。そんなのは嫌で、これまで隠すようにしていた。でももっと良いことに使えるかもしれないと、道を示された。

「どうだ? 待遇は決して悪くもしないぞ」

 だが……。

 脳裏に1人の少女の顔が浮かぶ。

「ごめん。……先約がいるんだ」

 ショーマはバムスの誘いを断った。

「そうか……」

 いつだって自信満々で高圧的なバムスが、ほんの少し表情を曇らせる。

「いや、いい。今はそう思うだけだ。気が変わったのならいつでも言え」

「うん……、ありがとう。バムス」

「ああ」

 そうしてショーマはまた1人、心の内に秘めた気高い信念を持つ者を知った。


 そのまま見張りは何事も起こらず、交代の時間となったので、次の当番をショーマが呼びに行かされる。次の……、最後の当番に当たるのはメリルとセリアだった。

(うーむ……)

 当然女子用のテントに行く必要がある。

(作戦! 作戦の一環だから!)

 誰にともなく言い訳をしてしまう。

「……おーい」

 念のためテントを開ける前に声をかけておく。が、反応無し。

「開けますよー……」

 小声で注意しつつ中の様子をうかがう。みんな眠っているようだ。

 メリルはすぐに見つかった。すうすうと寝息を立て、穏やかに眠っている。

 暗がりだがその美しい金髪や柔らかそうな肌ははっきりと分かり、ついじっと見てしまう。

(いやいやいや、落ち着け)

 余計な声を出さないため耳元に口を近づける。良い匂いが漂ってきて無駄に心臓が高鳴る。

「こ、交代の時間だぞー……」

「ん…………」

 メリルは艶かしい声を上げ、ゆっくりと目を開ける。すぐさま顔を耳元から離し何食わぬ顔をしておく。

「…………え、」

 ショーマがいることに気がつくと、驚き、顔を赤くする、声を上げそうになりかけたところでショーマはもう1度慌てて伝える。

「こ、交代、見張りの。呼びに来ただけ」

「あ、ああ……。そう、ね、見張り……」

 メリルもすぐに理解して、驚きの声を押し込めた。体を起こす。

「うん、すぐ、行くから。ちょっと外に出てて。セリアも起こすから……」

「う、うん。分かったよ」

 ショーマはそそくさとテントの外に出て待つ。

 ……無駄にため息が出た。

「…………びっくりした……」

 それを見送ってから、メリルは小さく呟いた。


「お待たせ」

「ああ、うん」

 メリルに続いてセリアもテントから出る。

「え? わ、びっくりした」

 セリアは外でショーマが待っていることを知らなかったのか驚いた様子だ。

「ああ、うん。おはようセリア」

「あ、あ、うううん。おおおはよう」

 慌てた様子で髪を手櫛で撫で付けている。

 その様子にショーマは、先程のバムスとのやりとりを思い出してしまう。

(あーいかんいかん……)

「それじゃ、行きましょうか」

「あ、そうだね」

「はい……」


「御苦労様。交代に来たわ」

「ああ。異常無しだ。見張りの引き継ぎを行う」

「ええ、確かに引き継ぎました」

 メリルとバムスが淡白なやり取りを交わす。

「あと1時間で起床時間なんだけど、これならいっそ起きてたほうが良いんじゃないか?」

「睡眠の調節など基本だ。俺は寝る」

「そ、そうか……」

 バムスの言う基本とは、あくまで彼の学んだテオ式格闘術における基本であって、ショーマの考えた夜営での基本というわけでは無いのだが、それは誰も知る由が無かった。

「まあ1時間くらいなら大差無いでしょうし、良いんじゃない?」

「じゃあ、騎士の方も入れて4人で見張り?」

「そういうことになるかな」

 3人が確認をする。

 そろそろ空が白んでくる頃だった。


「いよいよだな……」

「うん……」

 夜明けが近付き、緊張も高まってくる。

「あんまり気を張りすぎるのも良くないと思うけど」

 メリルは落ち着いた様子で言う。

「未だ知れないショーマの出身でも予想してみましょうか」

「え、なんで?」

 全然関係無い話を振ってくるメリル。

「何だかんだでもう結構経つでしょう? そろそろ名前以外にも何か思い出せないの?」

「いや……残念ながら」

「最近思ってたけど貴方、今の生活に満足して記憶のことちょっとどうでも良くなってきたりしてないでしょうね」

「お、思ってないよ」

 嘘だが。

 今の生活には充実感もあったし、具体的ではないが、ぼんやりと将来のことを考えてもいる。記憶も無いなら無いで、何とかなってしまっているのがいけないのかもしれない。

「あ、それなんだけどね。私もちょっと予想してたんだけど、……実は王家の隠し子で、すごい魔法の才能があったから混乱を起こさないよう内緒で育てられたけど、戦後のどさくさで記憶を消されて捨てられちゃった。って言うのはどうかな。その黒い髪は特殊な魔力による影響なの」

「無理があるよ……」

 セリアが変なことを言い出した。

「じゃあお国の跡取り問題をめぐる壮絶な争いから逃げるため、西の海の向こうから命からがらやって来たけど長旅の疲れと混乱で記憶が消えちゃった、とか」

「突飛すぎる……」

「それならまだ私の考えていた違法魔導研究者に人体改造されたけど命からがら逃げ出した、とかの方が説得力あると思うわ」

「怖いこと言わないでくれよ……」

 メリルまで変なことを言い出す。

「でも王子様との素敵な出逢いは外せないんじゃないかなと思うの」

「巨大な陰謀に共に力を合わせて立ち向かっていく方が良いじゃないの」

「何の話……?」

 本当に何の話しをしているんだかわからなくなってきた。

 結局、最後までそんな弛緩した空気は続いた。


 0450時。まもなく起床の時間だ。しかし皆、見張りをしていた4人が号令をかけるまでもなく、自然と起き出していた。

「おはよう、皆。見張りお疲れさま。疲れは無い?」

 レウスが焚き火のもとへやって来る。

「ああ、うん。大丈夫大丈夫……」

「ん? 何かあるなら言ってくれないと困るけど」

「いや、ちょっと小1時間変な話を聞かされたくらいで」

「変な話って何よ」

「そーだそーだ」

 口答えされたが無視した。

「はは。……あ、そろそろだよ」

「ん? あ……」

 遠くに見える山の向こうから、1日の始まりを告げる陽が登り始めた。


 朝食を食べ終えると、いよいよ目的の魔族拠点への進行が再開される。第2小隊はこのまま待機し、この拠点を守る。

 第1小隊は現在武装の最終確認を行っていた。

「よし。じゃあそろそろ行こうか」

「……了解」

 準備を整えた8人が立ち上がる。

「それでは、第1小隊、出立します」

「了解。ご武運を祈ります」

 小隊長同士が挨拶を交わし、第1小隊は進行を再開。騎士ルーシェがその後に続いた。


   ※


 馬車を引かないため、悪路でも比較的ペースを落とさずに進むことが出来た。

 獣道を行き、時間は0830時。……かつて村があった場所へ到達する。

「思っていた以上にボロボロだな」

「都心部の発展と、その後の戦争で若い人はどんどん出ていってしまった時期があったんだ。小さな村には老人だけが残され、最後には誰もいなくなった。そういう廃村は、結構多いみたいだ。

 ……さあ、我々の目標は南方向にある風車塔だ。行くよ。魔物が隠れられそうな場所が多い。警戒は怠らないように」

「了解」

 かつては人の通りがあったであろう道。そこは今では草が生い茂っていた。獣達が踏みしめ出来た獣道を頼りに、さらに進んでいく。


 先を進むが風車塔は中々見えてこない。方向を確認するが、間違ってはいないはずだ。

「どういうことだ」

「……。ああいうことみたいだよ」

 少し進むと崖に行き当たった。そしてその下には土砂崩れにより崩れ落ち、斜めに傾いた元・風車塔が突き立っていた。

「……なるほど」

 周囲を見下ろす。ちょうどここから回り込むように進めば下に降りられそうだ。木の板で作られた階段の形跡がある。

「よし。じゃあ魔法担当のメリルはここで待機。あの風車塔を建物ごと攻撃する。狙撃担当のローゼと護衛のセリアは……、あそこに見える小屋の屋根の上が良さそうだ。あの位置じゃあ、狙われる可能性も少し上がりそうだから、フィオンもあそこに待機してもらう。残りのメンバーはここから下まで降りて、足下の安全を確保できる地点で待機しよう。土砂崩れした地面は緩いからね」

「ちょっと待って。あんな風に建物が斜めになってると、少し面倒だわ」

 レウスの提案にメリルが異を唱える。

「ショーマをこっちに回してもらえる? まず私が『アイススピア』を斜め上方から叩き込んで、完全に横倒しにしましょう。でもこれだけだと威力が足りなさそうだから、ショーマの『サンダーストーム』で追撃をかける。これでちょうど良い具合になると思うわ」

「そうか……うん。横倒しにした衝撃でもいくらか仕留められるかもね。ただこれだと近接班に回復役がいなくなるな」

「魔法を放ったらすぐに向かってこさせれば良い。その程度の時間でやられはすまい」

「ああ、問題無いさ」

 レウスの不安をバムスとデュランは否定した。

「そうか、わかった。それで行こう。

 ではこれよりレウス、バムス、デュランをα分隊、メリル、ショーマをβ分隊、ローゼ、セリア、フィオンをγ分隊と呼称する。α分隊は崖の下で安全な足元を確保して待機。γ分隊は弓による狙撃と魔法による迎撃の準備を行い待機。

 β分隊はこの場で待機。α分隊とγ分隊が準備完了したら、それを確認後、魔法攻撃を敢行。α分隊とγ分隊は以降、自分達に向かってくる魔族を各個撃破する。β分隊は魔法攻撃を敢行後、α分隊に合流。以上だ」

「了解!」

 7人が声を合わせる。

「逃げる敵は無闇に追わなくて良い。一匹残らず殲滅させる必要は無い。全員自分の役割を果たし、無理はせず、必ず生き残ること。良いね」


 ……いよいよ、初めての戦いが始まろうとしていた。

(あそこに……、いるんだ)

 未だ姿を現さない敵。だが気配はひしひしと感じた。……獣の唸り声。微かな魔力の気配。そして今か今かと待ち構えているような、殺気。

(これが、戦場の空気)

 その気配を感じ、ショーマはぐっと拳を握りこんだ。

2012年 03月01日

話数表記追加、誤字等修正

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