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ブランジア人魔戦記  作者: 長村
chapter,02
35/104

ep,034 没落貴族の少女

 第1小隊のその日の任務は訓練所への補充武器類の護送。であった。

 王都パラドラにあるバンゴー鍛冶カンパニーという大手武器工房へ行き、注文していた武器防具を引き取ってこいとのことだ。

「そんだけ?」

 ショーマは聞く限りではあまりにも簡単そうな任務に疑問を抱く。いきなり危険なことをやらせずに段階を踏んでいこうというのはわかるが、それにしたって易しすぎるのでは無いだろうか。

「そう言うなよ。兵站の仕事も重要だって習っただろ?」

 戦闘に使われる武器や、寝泊まりするための資材、そして食糧。そういった物の管理、手配は、人間が戦争を行う上では必要不可欠だ。表舞台には出なくても重要な事柄。士官学校でも習ったことだ。

「いや別に、不満があるわけじゃないさ」

 王都市街を運んでいくなら盗賊に狙われることも無いだろうし、戦闘訓練を中心に受けている自分達が行うほどの任務か、ちょっと疑問に思っただけだ。


   ※


 訓練所を出発し1時間弱でバンゴー鍛冶カンパニーに到着する。鍛冶屋というものはもっと汗臭さと土臭さにまみれているものだと勝手にイメージしていたが、中々どうして清潔感のある建物だった。

 どうやら販売事務を行うここは事務所で、製鉄施設は少し離れた場所にあるらしい。

「どうも。騎士訓練所より、発注していた武器類の受領に参りました」

「いらっしゃいませ。契約書を確認させて頂きます」

 レウスに対し、受付嬢が丁寧に応対する。横から見ていても何やら面倒くさそうな署名やら書面の確認やらをさせられていた。後学のためにちゃんと見ておいた方が良いかと思ったが、他のメンバーも興味無さそうに余所見をしていたのでやめた。

 そんな中でメリルの見ている物が気になった。物というか、者だが。

「今回の新型は機構を増やした結果重量が増加してしまいましたが、逆にそれが反動や手振れを押さえることに繋がり、安定した命中精度を誇るようになりました。内部機構も複雑になり必要なパーツも増えてしまいましたが、そこは御社と提携して製作を分業することで賄えるかと思います。それを受けていただけるなら、ということでの今回提案させていただいた専売契約という形になりますわ」

「う、うーむ……」

 簡単な壁で分けられた応対用の個室で、金髪の少女が事務員に何かを熱心に語っている様子だった。その背後には執事服を纏った初老の男性が控えている。なんとなく妙な違和感のある図だった。

「何見てるんだ?」

 メリルはそれの何が気になるのだろうか。本人に聞いてみる。

「ん? んー……」

 メリルはどう言ったものかと少し考えている。

「わかりました。今回は大きなお話ですし、私の独断では決断できかねますので、社長に聞いてまいります。申し訳ありませんが、少々お待ちを」

「ええ、ありがとうございますわ。……よっしゃ」

 応対していた事務員が下がっていくと、その少女は小さく拳を握りこんで喜んでいた。

 ……商談をしていて、それが上手くいったらしいというのはショーマにもわかる。

 そんな嬉しそうな顔をしている少女のもとへ、メリルがつかつかと近寄っていった。突然のことにショーマはどうしたものかと焦る。

「ごきげんよう」

「……! あ、貴方は……!」

 メリルが挨拶すると、その少女は物凄く驚いた顔を見せる。どうも顔見知りであるらしい。

「今日もお嬢様自ら営業回りですか? 精が出ますのね」

「ふ、ふん。ガゼット社の現社長はこの私です。大口取引ともなれば社長自ら出るのが当然ですわ」

「あらやだ。貴方が出てこない取り引きなんて無いじゃないですか」

「くうっ、この……」

 何やらメリルは彼女に嫌味を言うつもりらしい。どうも浅からぬ因縁があるようだった。

「何々? どうしたの?」

 そんな様子に気がついて、セリアがショーマに声をかける。

「いや、何だろうな、うん……。止めた方が良いのかな……」

 どうしたものかと考えていると、向こうからこちらに突っかかってきた。

「と、というか、そちらの方々はなんですの? ぞろぞろと侍らせて、召し使いにしては多すぎるのでは無くて?」

 言い負かされそうだったからって、ちょっと無理のある言いがかりだと思った。

「彼らは騎士団での仲間です」

「な、騎士……ッ?」

「ええ。恥ずかしながらまだ見習いではありますけどね。今日は重要物資の受領任務を任されて来たのです」

「じゅ、重要物資の受領……、見習いだというのに任されたと言うの……?」

「ええ。ガゼット社印のクロスボウも、いくつか購入させていただいていますわ」

「あら、そうなの……、それはご愛顧ありがとうと言ったところですわね」

 メリルと少女は言葉の応酬を続ける。それを手続きを終えたレウスが声をかけて止める。

「終わったから外へ出るよ」

「ええ、了解ですわ隊長殿」

「……どうしたんだい?」

「別に。……それではごきげんよう、ジェシカ嬢」

「……ふんだ」

 メリルは少女に一礼し、他のメンバーと一緒に事務所の外に出ていった。

「君達も行くよ」

「ああ……」

 レウスに誘われ、ショーマとセリアも続こうとする。

「あ、ちょ、ちょっと貴方!」

「……なんすか?」

 先程のジェシカと呼ばれた少女に呼び止められる。嫌な予感しかしなかった。

 ジェシカに目配せをされた執事が、足元に置いてあった鞄を差し出してショーマの前で開く。

 中身はクロスボウであった。金具仕掛けにより、半自動で手軽に小型の矢を射出出来る武器である。

「えーっと……」

「試供品です。貴方に差し上げますわ」

「ええ……?」

 ジェシカはショーマにずいと顔を近づけて強気に言った。

 間近で見て改めて気付いたが、気品を感じる軽いカールのかかった濃い色の金髪、長めの睫毛が飾る凜と開かれた気の強そうな碧眼。メリルとはまた違った方向で高貴さを感じる少女であった。要するに美人である。

「いや、困りますって……」

「新型のクロスボウです。騎士団でも是非採用を検討していただけるよう陳情してくださいな。ついでにあの女にもこれの凄さを教えてやってください。試供品ですからお代も結構です」

「あー、いや……」

「貰っておきなよ、ショーマ」

 横からレウスが暢気そうに言った。

「良い、のかな?」

「良いよ。僕が許可しよう」

「あー、じゃあ……。えっと、頂戴します……」

 ショーマは戸惑いつつもそれを受け取る。

 それを受けてジェシカは口の端を上げて微笑んだ。

「ええ。きっと役立つことと思いますわ。解説書が一緒に封入されてますから、よく読んでお使いくださいまし」

「ああ、うん、どうも……」

 ジェシカはスカートの端をつまんで上品に礼をすると、くるりと反転して、長い金髪を揺らしながら先程の応接スペースへ戻っていく。

 なんとなくショーマは、その様子を隣で見ていたセリアと顔を見合わせた。

 ジト目で睨まれていた。

(そんな顔されてもな……)

「じゃ、行こうか」

「そ、そうだな……」

 他のメンバーは既に外へ出ていた。ショーマ達も続くことにする。


   ※


「あ! それ……!」

 外で待っていたメリルはショーマの抱えていた鞄に気付く。誰に貰って中に何が入っているかも一瞬で予想をつけていた。

「ああ、うん……。試供品です、ってさ」

「はぁ。まあ、良いけど……」

「ていうかあの子何者?」

 大体想像はつくが、一応聞いておく。

「帰りながら話すわよ。それより受領しに行きましょ」

「うん、そうだね。皆行くよ」

 レウスを先頭に、事務所のそばにある倉庫へ向かう。


「って多いな!」

 用意された武器類は、しめて荷馬車4台分であった。バンゴー鍛冶の用意した馬車で騎士訓練所まで運び、第1小隊が護衛するという形というわけだ。この量ならまあ確かに重要な任務と言われても頷けるだろう。

「訓練所所属騎士のほぼ半分用だからね。そりゃ多い」

「そんなに」

「それじゃ行こうか。……お願いします」

「かしこまりました」

 社員の騎手が馬を鞭で叩いて、馬車を進め始めた。


   ※


 道すがらメリルは語り始める。

「……ジェシカ・ガゼット。武器製造会社、ガゼット社の若き女社長。というのが肩書きだけど、実際の所は単に社員が全然いないだけ。クロスボウ開発と製造を主に行っていて、そこそこ稼いでいるみたい。……ガゼットって名前、聞き覚え無い?」

「んー、無いと思うけど。あ、でもなんかあるような……」

「この前の、300年前勇者と共に戦った仲間に関する本。そこに名前のあった1人よ」

「あー、そう言えばそんな名前があったような、無いような……」

「まあそんな昔から、名家として長いこと名を馳せていたんだけどね。2年ほど前、戦争が終わって割りとすぐ、前当主である彼女の父が急に用途不明のお金を大量に消費しはじめて、あっという間に没落してしまったの。信じられないでしょ? 調度品や家財道具、しまいには屋敷そのものまで売り払って、それで得たお金も同じように消費していったらしいわ」

「何があったんだ?」

「知らない。色々噂も流れたけど、確証も無いことをあれこれ言いたくは無いわ。

 ……で、その内に、自分の生活も苦しくなっちゃって。娘のジェシカが半ば強引にに当主を継いで、辛うじて残ってくれた懇意だった鍛冶師と工房を頼りに、必死でお金を稼いでいるってわけ。……騎士になる夢も諦めることになったわ」

「……メリルとあの子は、知り合いなのか?」

「ええ、まあね。昔はもっとおとなしい子だったんだけど……。今はなんだかすごいぴりぴりしている。

 ……言ってくれれば、私だって力を貸すのにね。私がそういう性格だって知ってるのに、あの子は何も言ってこないの。自分で頑張らなきゃいけないことだ。って思い込んでるんでしょうね。そんなこと、いつまでも続けられるような子じゃないのに」

「…………」

 面倒くさい、もとい、志の高い少女なのだと言うのは何となくわかった。メリルの昔からの友人のようだし、それはもう一癖あることだろう。


   ※


 訓練所へ帰還する。運んだ武器類の確認を済ませると、空になった荷馬車は帰っていく。

 その後夕方頃に、全ての小隊長に向けて臨時の召集がかけられた。

「恐らくは戦闘に関する任務だね。装備の補充もそれを見越してのことさ」

「実戦か……」

「うん。とにかく行ってくるよ」


 残されたショーマ達は貰ったばかりのクロスボウ入り鞄を開けてみた。持ってみると意外と重量感がある。それでいて苦になる重さというほどでも無い。

「これどうしようか」

 弓と違って射程や威力は落ちるが、小回りが利くというのがクロスボウの利点だ。クロスボウ用の小型矢であるボルトさえ装填しておけば、引き金を引くだけで発射出来る。

 弓と違い弦を引く力もいらないので、魔導師の補助武器には中々都合が良いが、ショーマはもう剣の訓練もそれなりに積んでいる。今更こっちに転向するのもいかがなものかと思う。

 いっそ他の誰かに使ってもらうのはどうだろうか。

「誰か使う?」

 試しに聞いてみた。

「私は遠慮します。そういうのは肌に合いませんので」

 弓術師のローゼは、1番に拒否した。ちょっと意外ではあるが、まあ弓にこだわりがあると言うのは理解もしやすい人物だ。

 次にちらっと見たが、デュランとバムスはさっぱり興味無さそうだ。近接班には確かに必要無いだろう。

 となるとメリルかセリアかフィオンだが……。

「どうよ?」

 メリルに聞いてみる。ジェシカからもメリルにこれの凄さを教えろと言われている。いっそ本人に使わせればと思ったが、

「私そういう武器とか使わないし」

 あっさりと否定される。どうしたものか。

 そう言えばメリルはいつも何も持たずに戦闘に出ていた。魔法の補助ワンドすら使っていない。竜操術師だって何か武器を持つものであるくらいショーマも習っていることだが、何かメリルなりにこだわりがあるんだろうか。

「ちょっと見せてー」

 セリアが興味を持ったようなので手渡す。

「はいよ」

「ありがと。……ふーん、へえ、ほうほう」

 セリアはあちこち眺めたり、弦を軽く弾いてみたり、狙いを付けて構える振りをする。

「どうよ」

「うーん。ちょっと無理そう」

「早いな!」

「いや、だって……、魔法の発動しながら矢を撃ったり装填したりしてる自分の姿が全然想像出来なくて。私そんな器用じゃないよ」

「そうか……」

 言われてみればショーマにもちょっと想像出来ない。失礼ながら。なので最後に残ったフィオンに渡してみる。

「じゃあ、フィオンはどうだ?」

「あ、はい……」

 フィオンもセリアのようにあちこち様子を見ている。弦の強さや、重さの感じを確かめているようだ。

 あまり顔には出さないが、かなり興味があるように見える。手持ち武器も特に持っていなかったし、この分なら任せても良いかもしれない。

 しばらく見ていると、フィオンは自分の鞄から工具箱を取り出した。何をするかと思えば、クロスボウの分解をし始めた。

「おいおい」

「え?」

「いや、何してんの……」

「あ、いえ、内部構造が、その、気になって……」

「……開けて平気なの?」

「えっと、整備する必要もありますし、大丈夫だと思いますよ」

「あ、そういう物なの……」

「解説書入ってるでしょ。そこに書いてあると思うわ」

 横からメリルが補足した。確かに、鞄の中に小さな本が入っている。読んでみると確かに分解と組立の図解が載っていた。

「あ、あの、これ、誰も使わないならで良いんですけど……」

「ん? 使いたいなら良いよ。俺は剣も杖もあるし、他の皆も興味無さそうだし」

「興味が無いってのは語弊があるわね」

「メリルの興味はちょっと違う方向向いてるじゃないか」

「まあ、そうだけど……」

 興味があるのは物自体ではなく作った人物の方だろう。

「あ、あの、じゃあ……、ありがたく、使わせてもらいますね」

「うん。大事に使ってやれよ。メリルの友達がくれたんだから」

「は、はい!」

「あ、あの子は別に、友達とかそう言うのじゃ無いし……」

「はいはい」

 というわけで、フィオンがクロスボウ使いとなることになった。……ようである。


   ※


 レウスが戻ってきて、召集で伝えられたこと、つまりは任務内容を告げる。

「やはり戦闘への参加だった。ただし、今回僕達の担当は本隊の取りこぼしを押さえること。場合によっては待機だけで終わる可能性もある作戦だ。がっかりせずに聞いてほしい」


 先日のリトーラ鉱山への、3大隊による攻撃作戦で発覚した地下トンネルが、王都パラドラの北東部、アクラ渓谷にある洞窟に繋がっていることがわかった。

 そこの調査兼魔族の撃滅任務に2中隊を派兵。もしもに備えて候補生達を王都に繋がる抜け道に配置し、逃れた魔族が王都に侵入しないよう迎撃させる。決行は明後日だ。


「まあ、そんな感じだ」

 レウスが説明する。

「渓谷の周辺図がこれ。部隊の配置を説明するよ」

 渓谷から王都に抜けられそうな大きい道は3つ。小さな道は無数にあるが、そんな所から抜けてくる魔族は通常の警護部隊で迎撃できるほど少数のはずだ。問題無い。

「僕達第1小隊の担当はここ。その後方には第4小隊が待機して、僕達の取りこぼしを押さえてもらう」

「ただでさえ来るかわからない敵の、それも取りこぼし対策部隊って、ちょっと慎重すぎじゃないか?」

「まあ、第4小隊はこれが初の実戦だ。空気を感じてもらうだけでも十分だろう。……わざと魔族をいくつか見逃して、彼らに任せたりしてみるかい?」

「いやそういうのはちょっと……」

「冗談だ」

「…………」

「いつものように訓練所で朝食を摂ってから、0800時に出立し、1030時には待機地点に到着予定だ。それから本隊が調査を開始する。もし魔族が出てくるようなことがあれば、信号弾が打ち上げられるので、確認次第戦闘態勢を取る。それまでにどれだけ時間がかかるかわからないから、食事は様子を見つつ、携帯食で手早く済ませよう。……まあ、そんな所かな」

 戦闘が起きる可能性を考慮に入れただけで、メインは調査活動。それゆえ敵に関する情報はあまり無い。2中隊と候補生で問題無いくらいの規模ではあるという程度だ。

 ……実戦はこれで3回目になる。ヴォルガムとの模擬戦は模擬戦と言えど中々濃密だったので、それを加えても4回目。そろそろ少し余裕が出てくる頃であり、油断も生まれる頃だ。気を抜かずに頑張ろうと決意を改める。それはショーマに限らず他のメンバーも同じことであった。


   ※


 屋敷に帰宅し、いつものようにステアに夕食を持っていく。今日はレウスが一緒だ。

「こんばんは」

「おう」

「……なんかありました?」

「……何で?」

「知らない女の匂いがします」

「ああ、お前そういうのわかるんだっけ……」

「え、適当に言ったんですけど当たりなんですか」

「…………」

「冗談はさておき、なんか雰囲気がちょっと違うかなー、と」

 ショーマはレウスと顔を見合わせる。どう話したものか。

「まあ、お仕事、だよ」

 レウスが端的に伝えた。

「そうなんですか。頑張ってくださいね」

 ステアは興味無さそうである。

 彼女の戦闘力は頼りになりそうだが、大人しく言うことを聞いてくれるかもまだはっきりしないし、このままここに置いておくべきだろう。そもそも騎士団の任務に連れていけるわけが無いのだが。

 牢を開けて食事を渡してやる。

「また大人しくしててくれよ」

「はい。それは良いんですけど」

「……何だよ」

 ステアは何か言いたいことがあるようだった。

「さっき言った知らない女の匂いについて詳しく聞きたいです」

「やなこった」


   ※


 その後、寝る前の訓練を終えて風呂に入り、そろそろ寝ようかと部屋に向かうと、

「ショーマさん」

 リノンが部屋の前で待ち構えていた。

「……こんばんは、リノンさん」

「はい、こんばんは」

 メイド間の噂で任務のことを聞き付けて、心配してくれているのであろう。ありがたいことである。ちゃんと今回も無事に帰らなければいけない。

「大丈夫ですよ。今回もちゃんと無事に帰ってきますって」

 ショーマから先に言うと、リノンは少しだけ驚いた様子を見せる。

「……ふふ。私の考えてること、バレバレなんですね」

「そりゃもう」

 ショーマと一緒になって、小さく笑いあう。

「……でもやっぱり、言わせてください。……必ず、帰ってきてくださいね」

「はい、もちろん」

 ……大事なペンダントも預かっているのだから。


 大した作戦では無い。それでもリノンにとって心配する気持ちに変わりは無い。

 彼女を悲しませないためにも、やっぱり気を引き締めようと思うのだった。

2012年 03月01日

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