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ブランジア人魔戦記  作者: 長村
chapter,02
18/104

ep,017 強敵の気配

「敵、来ないな……」

 ブロウブの別宅の屋敷で暮らし始めてそこそこ経つが、怪しい影はまるで無い。そろそろ気が抜けてしまいそうになる。広い屋敷と美味しい食事にも随分慣れてきた頃だった。

「このままずーっと、何事も無かったら良いのにね」

 セリアはぽつりとそんなことを言った。

 当たり前と言えば当たり前な話だったが、意外とそういうことはあまり考えてこなかった。

 ……このまま何事も無かったら。

 それはどんなに良いことだろう。4人での生活も、結構楽しいものだし。

「いつ来るかわからない敵の影に怯えるって言うのも、結構しんどいしな」

 何も無いなら無いで、結構苦しい所もある。

「僕が暗殺者なら、こういう気の緩んだ所こそを狙うね」

「そう、だな……。気合い入れ直した方が良いか」

「とは言え、疲れるのも確かだ。今日はひとつ、街にでも出てみようか」

 レウスが珍しい提案をした。

「良いのか?」

「たまにはね」


   ※


 屋敷から少し南方向に向かうと街のほぼ中心、高級商店地帯がある。その名の通り基本的には高級品を主に扱う商店街だ。服飾から食品、小物雑貨類までとにかく良い物が揃っている。ショーマが以前メリルと食事をしたのもこの辺りだ。

 その時も思ったが、あまり人通りが多いというわけでは無いようだった。もちろん少なくはないが、なんと言うかこう、賑やかではなく落ち着いた雰囲気、という感じである。

「私、生まれてずっとこの街で暮らしてるけど、ここは始めて来るよ」

「そうなのか?」

「私みたいのには縁が無いしねー」

 セリアは興味深そうに街並みを見渡している。

「ならこの辺りに見合う格好になるよう見繕いましょうか」

「えっ?」

 メリルがセリアの全身を眺めながらいたずらっぽく笑った。

「お金なら私が出してあげるから」

「え、あ、わ、ちょ」

「前からもっと可愛い服着せたいと思ってたのよねえ」

「ええ?」

 メリルは動揺するセリアの手を取ってさっさと歩き出していく。

「……何あれ」

「女の子だねえ」

 置いていかれる男2人であった。

「早く来なさいよー」

 メリルが呼び掛ける。ショーマとレウスは顔を見合わせると、ため息を吐いて後を追った。


 メリルは道中次々と服屋に入っては衣装をセリアに試着させ、あれやこれやと買い込んでいた。たまに自分も試着していた。

 なるほど、人が少なくてもこうやって大量に買い込んでいく客ばかりだからやっていけるのか。と、ショーマは納得する。

「……少しお持ちしましょうか、お嬢様」

「あら、気が利くわね」

 召し使い風に、次々と増える荷物を預かろうとする。

「お付きに誰かメイドでも連れてくれば良かったね」

 と、レウスはさらさら手伝う気は無いような態度で言う。荷物持ちをしてはいけない身分というのもあるらしい、ということをショーマはこの日知った。

「ちょっと多くないかな……?」

「良いの良いの。女の子は綺麗じゃなきゃ駄目なんだから」

「う、うん……。そうだね。私綺麗になりたい!」

「良い返事ね。じゃアクセサリも見ましょうか」

(まだ買う気か……)


 今日は何をしに来たんだっけとショーマが思い始める頃と、腹が空き始めるのはだいたい同じ頃だった。

「少し休もうぜ……」

「そうね、お腹も空いてきたし」

「……今日のメリルは楽しそうだな」

「楽しいわよ、もちろん」

 ふふ、と嬉しそうにメリルは笑った。

「あそこのオープンレストランが良さそうね」

「はいはい……」


   ※


 創作パン料理を扱っているというレストランで昼食を頂き、休憩をする。

「あのさ。まだうろつくなら、ちょっと荷物が大変なんだけど」

「じゃあ一旦屋敷に戻って置いてくれば良いんじゃない?」

(もう帰ろうとは言わないのな……)

「……そうするよ」

 ショーマは荷物を持って立ち上がる。

「僕も付き添うよ」

 レウスもそれに続いた。

「じゃあ私達はもうちょっと見てるわね」

「はいはい……」

 メリルとセリアと別れて、屋敷の方向へ商店街を進んでいく。


「……なあ、あれ怪しくない?」

「ん?」

 布や生地類を扱っている店の前に、頭まで黒いローブですっぽりと覆った見るからに怪しい人間が3人ほどいることに気付く。背格好から見るに大人1人に子供が2人。

 狙われる身の上としてはちょっと気になる。

「あれは……、ああ、教会の人だよ。背中に紋章が描かれているだろ? 一緒にいる子供は……、預かっている孤児かもね」

「孤児……」

「ああ。そういう慈善事業もやっていて、多分あれは買い物の仕方とか……、そう、社会経験ってやつをさせようとしているんじゃないかな」

「そうなのか。怪しいなんて言っちゃ失礼だったな」

「ああ。……でもこんな所にいるのは不思議といえば不思議だね」

「ん?」

「教会は基本的に質素な生活を心掛けているものなんだよ。高級な商店街に、何の用があるんだろうね」

「なるほど」

 と言ってもショーマ達が考えた所でどうなるというものでも無い。とにかく今はさっさとこの荷物を置いて来ることにする。


   ※


 買い物袋がほとんどな荷物を屋敷に置いて、また商店街に戻ってくる。距離は割と近いので疲労は無いが、無駄なことをしている気になってげんなりする。

 戻ったついでにレウスがメイドの1人を呼びつけて来たので、この後メリルがまた買い込んでいても、恐らくは安心だろう。

「どこ行ったかな……」

 メリルとセリアの姿を探しながら街を歩く。

「おや、ショーマ」

「ん、いたか?」

「いや、あれ」

 何かを見つけた様子のレウス。ショーマはその視線を追うと、探し求めていたのとは別の女性を見つけた。ほぼ同時に向こうもこちらに気付いたようである。

「リノンさん」

「ショーマさん……。こんな所で会うなんて奇遇ですね」

 寮を離れてまだ10日と経っていないが、随分会っていなかった気がする。初めての戦いの時にも2日弱会わなかっただけでそう思ったが。

「今日は何か用事ですかリノンさん?」

「ええ、寮の備品を補充しておこうと思って」

「ああ、そうなんですか……」

 他愛の無い与太話に興じる。どっかのかしましいのと違って心安らぐひとときであった。

「あ、戻ってたのね。良かった。悪いんだけどまた荷物、持って……、もらっ、て……」

 と、後ろの方からメリルの声がした。後半は途切れ途切れで、小さくなっていったが。

 不思議と背筋が冷たくなる。なぜか振り向くのが恐ろしい。

「どうかされましたか、ショーマさん?」

 リノンはいつもと変わらない笑顔でいる。

 勇気を出して振り向くと、メリルと、それからセリアも同じように笑顔だった。が、なぜか笑っているようには感じられない。

 ショーマを挟んで笑顔を向け合うメリルとセリア、そしてリノン。

 ついでに遠くでそ知らぬ顔をして眺めているレウス。

 そして嫌な汗が流れるショーマ。

(……なんでそんな一触即発な空気になってるの?)

 果たして口火を切ったのはメリルであった。

「ショーマ君。そちらの方は?」

「えっ!?」

「私達にも紹介してくださるかしら?」

 やけに丁寧な口調のメリルにショーマはたじろぐ。

「あ、ああ……。えっと、この人は、リノン・カターマさん。俺が、前いた寮の管理人の娘さんで、その仕事を手伝ってた、人、だよ」

「それだけ?」

「いや、それだけって……?」

 ショーマは視線が泳ぐ。別に何も無いはずだったが。

「はじめまして。リノン・カターマと申します」

 紹介を受けて、リノンはお辞儀をする。

「ショーマさん。私にも紹介していただけますか?」

「え、あっ、は、はい……。えー……、こちらがメリル、……さんで、こちらはセリア、さん。えーっと、学校で、一緒に勉強している、仲間、です」

 作戦にも関わるので一応、同じ小隊メンバーだというのは黙っておく。

「それだけですか?」

「そ、それだけって……。あ、あー……今は、その、一緒にき、共同生活を、させていただいてます……」

「……そうなんですか」

 相変わらずリノンはずっと笑顔のままでいる。

「はじめまして。メリル・ドラニクスです」

「あっ。セリア、です。よろしく……」

「うちのショーマ君がお世話になっていたそうですね」

 メリルもぺこりと頭を下げる。それにならってセリアも。

(うちの?)

「いえ。お仕事ですから」

「そうですか、お仕事、なら当然のことですよね」

「ええ。……ところでショーマさん、私のペンダント、ちゃんと大事にしてくれていますか?」

「ペンっ……?」

「え、あ、……い、今聞くことですかね、それ……」

「だって大切な物ですもの。ちゃんと持っていてくれてますか?」

「え、ええ……今も、も、持っていますけど……」

「そうですか。嬉しいです」

「は、はは……、どうも……」

「…………」

 ちらと横目でメリルの様子を見ると、若干その笑顔がひきつっている気がした。気のせいだと思いたい。

「ショーマ君、そろそろ屋敷に帰ろうと思うのだけど、良いかしら?」

「え、あ、ああ。うん、そうか……、うん、そうしようか。……あ、じゃあ、リノンさん、また……」

「はい。お元気で」

「リノンさんも……」

「そうだ、貴方の服も何か買っていきましょうか? お金なら出してあげるわよ」

「い、いいよそんな……」

 リノンと別れると、メリルはわざとらしいアピールをする。

 遠くで見ていたレウスも近寄ってきた。

「メリル。メイドを連れてきたから、荷物持ってもらうと良いよ」

「あらそう? それじゃ、お願い」

「お預かりします」

「あ、俺も持とうか……」

「貴方は召し使いじゃないのだから、そんなことしなくても良いのよ」

「ええ……」

 振り返ると、リノンはまだ先程の場所から動かず、こちらに笑顔を向け続けていた。たぶんこの会話も聞こえているだろう。

 軽く手を振ると、リノンも同じように手を振ってくれた。

「……ショーマくんって、年上の人が好みなの?」

 ぼそりと呟くようにセリアが聞いた。ちょっと恐い。

「い、いや……、そういう特別な好みとかは、別に無い、ですけど……?」

「ふーん……」

 セリアは素っ気無い反応をして、メリルの後を付いて行く。

 1番後ろを行くショーマに、レウスが語りかけた。

「君も大変だな」

「……うん」


   ※


 屋敷に戻ると女子2人はファッションショーかとばかりに、買ってきた衣装を次から次へと着ては見せびらかしていた。

 まあ悔しい――と言うのもなんだが――ことに、どれもこれもすごく良く似合っていて、2人の可愛らしさが溢れていて、これはなんだか、もうどうでも良いかなという気になった。

 正直な感想を告げたら2人ともご機嫌になってくれたようだし。

 今日は1日、とても楽しい日であった。ということにしておいた。


   ※


 翌日からまたちゃんと学校に行く。休んだ分は取り返さないといけない。

 今日のショーマは剣術科にお邪魔して闘気を操る練習である。教員の指導も受けながらなので、調子も良い。といってもまだまだ固い野菜を切れるかどうかといった所であるが。

 昼の休憩にサンドイッチを食べていると、どこから噂を聞き付けたのかバムスがやって来た。

「よう。久し振りじゃないか」

「フ。闘気の扱いに手を出し始めたそうだな。いよいよ俺の下に付く気になったか?」

「変わらないねお前も」

「ああ変わらないさ。フフ。……今はな、お前以外にも活きが良いのに声をかけているところさ」

「へえ、どんな奴なんだよ」

「デュランだ」

「えぇ……?」

 意外なその名に変な声をあげてしまう。

「アイツは中々どうして面白いヤツだ。あの戦いでの失態が忘れられんようでな。少しは素直になったが、まだまだ愚か者だ。だがああいうのほど、導き甲斐という物があるようだ」

 デュランはバムスを嫌っていたようだったし、バムスもデュランのことをダメそうに言っていたが、今はそうでも無いのだろうか。

「今は俺がじっくり育ててやっているが、そろそろ頃合いを見て、どこぞの生意気な貴族でも相手させるように仕向けてだな、そいつらの鼻を明かしてやろうと思っている。

 実力も無いのに小隊メンバーに先行で選ばれた生意気な平民風情。そんな評価をひっくり返させてやるのさ。ララニー家のボンボンなんぞがちょうど良いだろうな。その時はお前にも観戦させるぞ」

「楽しそうだな……」

「ああ楽しいぞ。家の名前にすがってるバカに灸を据えてやるのさ。それで心を改めるなら良し。ダメでも笑い者にはなる。……クク、楽しみだな、おい」

 完全に悪者の顔で笑うバムスだが、そのララニーとか言うのをただ陥れたい訳では無く、更生させたいという気持ちも半分くらいはあるらしい。

 以前話していた『貴さ』の話。バムスなりに広めようとしているのだろう。

「で、闘気の話だったか? お前が頭を下げるなら俺自らが指導してやっても良いが?」

「レウスに教えてもらってるから結構だよ。剣術科にも顔出してみたし」

「フン。相変わらずつれないヤツだ。だが俺はその程度で気を悪くしたりはしないぞ? 気が変わったらいつでも言え」

 言うだけ言うと、バムスは去っていった。

 確かに彼に頼れば結構な助けになるだろう。だが彼の下に付くのはなんとなく嫌だった。

 もう先約がいるのだから。


   ※


「で、剣の調子はどうなの、貴方?」

 ショーマは夕食の後、テラスで星空を眺めてたそがれていると、メリルに声をかけられた。

「まだまだだよ。魔法みたいに簡単にはいかないね」

「それが普通なんだから。弱音吐かないの」

「わかってるよ。……メリルこそ、どうなんだ?」

「私? 私は……。早く次の機会が来ないか、って思ってる。

 ……今度は失敗しない。そうやって、自信を、また1からつけ直したい」

「自信、か……」

「あの失敗でほとんど、無くしちゃったからね……。でも今は大丈夫。また頑張ろうって気持ちになれたから。後は、実際にやってみるだけ」

 そうやってメリルが立ち直れたことに、少なからず自分の関わりがあったのだろうということは、ショーマにとっても誉れであった。

「ああ、でもまだ駄目かな……。貴方が頼りないし」

 しかし即座に台無しにされる。

「あ、そう……」

 メリルは、少し照れ臭そうにしながら言った。

「頑張りなさいよ。……私のこと、支えてくれるんでしょう?」

「ああ……。もちろん」


   ※


 寝る前にもう一頑張り、剣の素振りをする。ちゃんと重さのある金属製の剣でだ。

 ……大切なのは姿勢。ただ力一杯振り抜くのではなく、一振りを丁寧に、正しい姿勢で行わなければいけない。

 全身均等に力を込める。体と剣を真っ直ぐにする。足の踏み込みと剣の一振りを合わせる。これを何度も丁寧に反復する。なあなあでやっていては駄目だ。それではすぐにどこか構えが崩れる。ただの一振りだって雑にしてはいけない。

 そうやって丁寧さを心がけていると、100本振るだけでも結構な時間と疲労になるものだった。

「良い感じじゃないの」

「うわ、いたのか」

 誰もいないと思っていたのだが、メリルはいつのまにか覗き見ていたらしい。

「あら、気付かなかったの? ……集中してた?」

「うん、まあ……」

「本当かしら? わざとらしい」

「……本当だって」

「ふふ、わかってるわよ」

 またからかわれたようだ。

「眠るならお風呂で汗洗い流してからにしてね。それじゃ、お先におやすみなさい」

「ああ、うん。……おやすみ」

 こっそり頑張っているのを見られるのは、恥ずかしさもあるが、ちょっとは嬉しかった。


   ※


 それからしばらくは、また何事も起きずに進んだ。

 ショーマも実戦レベルとまではいかないが、少しは闘気を操れるようになってきた。魔法ももう学校にある教本はほとんど覚え尽くし、実践も何度か行い、その頃には能力に関する噂も広がっていき、学校内でもかなり周知の人物となりつつあった。

 懸念していたやっかみの声が以外と無かったのは、やはり誰かが手を回していたのだろうか。

 そういう雰囲気を作った理由のひとつには、デュランとモーフィー・ララニーの練習試合も影響していたと思う。


 ……槍術科の期待の星にして騎士の家系でもあったモーフィーは、生まれ持った物でしかない家の名を振りかざす、嫌味な奴として有名だった。典型的な小者ではあったが家柄や金、そして何より本人の腕前は確かな物であったため、調子に乗る彼を止められる者はほとんどいなかった。金で従えた子分を侍らせ校内をよく闊歩していたものである。

 そんなモーフィーにとって目障りであったのが剣術科から逃げてきた分際で、自分よりも先に小隊メンバーに選ばれた生意気な平民、デュランである。

 あれこれ小細工した何者かの手によって、2人は衆人環視の元で試合を行い、果たしてモーフィーは大恥を晒すこととなった。

 あっさりとデュランに完敗したのである。


 モーフィーを嫌っていた学生は多かったようで、彼のちやほやされる日々はあっさりと終わり、デュランは貴族平民を問わずちょっとした英雄扱いとなった。

 時を同じくして黒魔法科の平民出身にして小隊メンバーでもあったセリアが、中級魔法に着手したことが話題になった。彼女の躍進には名家ドラニクスのメリルによる指導の賜物であることが明らかにされていた。メリル本人の口から。

 彼女の眼鏡にかないさえすればチャンスが巡ってくると演説された学生達はこぞって生活態度を改め始めたとか。


「ずいぶんと都合良く学生達の心情が変わっていくもんだな」

 ショーマはメリルとバムスを誘って昼食を食べていた。

「フ。そうだな。面白いこともあるものだ」

「そうね。不思議ね」

「クックック……」

「うふふふ……」

「なんだそのわざとらしい笑い方」

 明らかにこの2人の仕込みによるものだったが、恩恵はショーマにもあったのであまり追及しないでおくことにした。


   ※


 それからまた7日ほど経った日の夜。

 リヨール士官学校新1期生から32名が選抜され、第3小隊から第6小隊までが編成されることが発表された。これで第1、第2小隊と合わせ、48名が小隊に所属することとなった。

「これはまた近く実戦に参加させられるのかな」

「かもね。でももう経験済みの僕らには回されないってこともあるかもしれないよ」

 夕食の時間。ショーマ達もその知らせを聞いて思い思いの感想を抱いていた。

「んー。もし参加することになったらどんな作戦になるかな」

「どうだろうね。魔族にはあれからあまり大きな動きは無いようだし予想しにくい。騎士団はまだはっきりした情報を掴めていないのかな」

「騎士の人も何かわかったら伝えるって言ってたけど、何も無いよな」

「何か新情報があったからこそ、新しく小隊を編成したんじゃないかしら。新情報と共に作戦を与えるつもりとか」

「そういう考えもあるか」

「内容は……、新人向けに楽な物か、経験者を含めた上での、一段階上の物か。…………!」

 話をしていると、レウスとメリルは突然はっと何かに気付いた様子を見せた。焦るように椅子から立ち上がると、窓を開けて夜の街へ鋭く視線を伸ばす。

 その視線の先にはどこかの建物から火が上がる様があった。

「なんだ……!?」


「……敵だよ」

2012年 03月01日

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