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こてつ物語4  作者: 貫雪
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22

 N病院の門前に御子が差しかかると、三人の男が現れた。以前、良平が襲われた時に見た顔だ。


「亭主はここにはいないぜ」

 威圧感を見せようとはするものの、どこか及び腰になりながら、男の一人が言った。


「そうでしょうね。私をどこにご招待下さるの?」むしろ御子の方が落ち着いて言った。


 それも仕方ない。以前、こいつらは御子に痛い目にあわされているのだから。


 男の一人がポケットに差しいれようとした手を、御子が手首をつかんで止めた。


「私を刃物で脅すのはやめてよね。そんなことしなくても、逃げやしないわよ。あんた達のリーダーと、西岡に会いに来たんだから。さっさと案内してよね」そう言って男を先に歩かせる。



 御子は病院裏の広い駐車場に連れてこられた。男達が慌てて御子から離れる。御子はとっさに男の後を追い越して車の陰に隠れた。発砲音と男の短い悲鳴が重なる。銃弾が男の肩先をかすめていったらしい。


 うろたえる男に

「バカ、かすり傷だ。騒ぐな」と、あの、細身の男が現れて言っている。


「同情はしないわよ。どうやら本気で私を殺したいみたいだから。千里眼はあんた達の行動が分かるってのに、懲りないわね」車で身を隠したまま御子が言う。


「それでも俺達から離れれば、弾より早く動ける訳じゃねえだろう? 隠れるのにも限界があるぜ」


「そうかしら? 礼似!」

 御子が声をかけると、礼似がノシてしまった男を引きずりながら、銃を片手に顔を出した。


「こんな物騒なもの持ち歩くんだから、最近の子はダメね。没収させてもらうわ」


「チッ、一人じゃなかったのか」今度は西岡と田中が現れた。


「あら、親玉がご登場して下さるとは思わなかったわ。こっちも敬意を払う必要があるかしら」

 御子が田中に言った。


「出来ればおとなしく人質にでもなってくれれば、最大の敬意と受け取ってやれるんだが」

 田中も返した。


「そのご期待には答えかねるわね。命の保証もないみたいだし」


「保証出来れば人質にはならねえからな。力ずくであんたらにはおとなしくなってもらおう」


 田中がそう言うと病院と隣の建物の陰から、わらわらと大人数が手にナイフや、鉄パイプ、木刀などを持って出て来た。


 礼似と御子をそのまま取り囲もうとしたところに、良平が現れた。近づいた男の手先に斬りつけて、手にしたナイフを跳ね落とす。


「俺を勝手に事故らせるなよな」


 そう笑って見せたものの、これは結構な人数だ。組に助っ人を頼んだが、まさか田中が出てきてここまで人をかき集めてきていたとは思っていなかった。これはなかなか大変だぞ。良平も緊張感が増す。御子や礼似もそう思っているのだろう。辺りに緊張した空気が一気に張り詰めた。


「義足のロックを外した時の安定が、まだよくないんだ。身体が動きになれるまで、二人でこらえてくれ」


 この人数ではロックをした状態の動きでは、とても相手にしきれない。不安はあっても外すしかない。


 良平の言葉に御子と礼似がうなずく。それを確認すると、良平も義足のロックを外した。




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