第1回
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高校三年生になったばかりの春。
いつものように真帆さんのお店を訪れると、そこには金髪碧眼の美少女がカウンターの前に立っていた。
風貌はいかにも海外ドラマに出てきそうないけ好かないド派手な感じの長身の美女。
綺麗に化粧をしているけれど、きっとあたしとそんなに年齢は違わないのだろうことが何となくその雰囲気から窺い知れた。
「あら、茜ちゃんでしたか」
「――えっと、お客さん?」
「お客さんというか、茜ちゃんと同じ魔法使いのお弟子さんです。これから日本でしばらくの間ホームステイするらしいので、そのご挨拶に来られたんですよ」
そう口にした真帆さんの両手には、ティーポットと二つのカップがのせられたトレーが握られていた。
「こちらは那由多茜ちゃん。茜ちゃん、こちらは房崎アイザさん。茜ちゃんと同じ高校三年生で、日本人とイギリス人のハーフなんですよ」
「……ナユタ、アカネ?」
アイザは胡乱そうな眼であたしを眺めながらこちらに体を向けてくる。
なんともナイスバデーなその細身に似合わないたわわさはあたしですら見惚れてしまうほどだった。
「ふぅん? あなたも魔女の家系なの?」
流暢な日本語で(ハーフなんだから流暢でもおかしくないか)、アイザが訊ねてきた。
あたしは首を横に振って、
「ちがうけど、なにさ」
「……そう」
それっきり、あたしに対する興味を失ったかのようにアイザはふんと鼻を鳴らして、カウンター越しに真帆さんの淹れた紅茶に口をつける。
そんなアイザに真帆さんも少しばかり戸惑った様子で、
「……あらあら」
そう、口にしたのだった。
アイザはそれっきりあたしを完全に無視するように真帆さんと軽く世間話とこれからどこの町のどこに住むのかを教えたあと、
「――それじゃぁ、また」
と軽く手を振って去っていた。
あたしはそんな背中にあっかんべーをしてから、
「なによ、アイツ。あたしのこと馬鹿にしてんでしょ」
「まぁまぁ。抑えてください。彼女のおうちは代々魔女の家系で、そこに誇りを持っているんですよ」
「だからって、あたしのことを居ないもの扱いしていたってこと? 最低じゃん!」
そんなあたしの頭に手を伸ばして撫でながら、
「よしよし、それは腹も立ちますよね」
と慰めてくれる真帆さん。
むむむむ……なんだか無性に腹立たしい!
「今度会ったら、文句のひとつでも言ってやんなきゃ気が済まないわ!」
それに対して、真帆さんは、
「う~ん。その機会、すぐに来るかもしれません……」
「どういうことさ?」
真帆さんは苦笑気味に、ぷぷっといつもの噴き出すように笑ってから、
「だって、彼女の通うことになった学校、茜ちゃんの高校ですから」
あたしはその言葉に、ぽかんと口を開いてから、
「――マジ?」
思わず眉を寄せてしまうのだった。




