連鎖と脱線
未来はお酒を一気に飲み干し、目を光らせた。恋の空気が、急に仕事の話題に引き戻される。
「斎藤?あぁ、あの嫌味なヤツね。岡田くんを困らせてたの?...よし、明日から私が指導するわ」
「いや、そこまでのレベルではないんすよ。仕事が出来ないとかそういうのじゃないんすよ」
未来はグラスを置き、前のめりになる。哲也の悩みを解決したい気持ちが、恋心を上回る。
「仕事が出来るのに...あいつ、人の足を引っ張るタイプよね。大丈夫よ、任せて。明日からビシッと指導してやるわ」
「まぁ、何やろな……足引っ張るワケではないっすけど……何やろ?どうでもいい事言ってくるんすよ」
未来はお酒で少し赤くなった顔で、前のめりに。
「どうでもいい事?それってどういう事なの?」
「いや、何やろな?ペンはアレ使えとか、デスクの上整理しろとか、そういう事ばっかりなんすよね?こっちからすりゃ、指導する内容それか?ってなるんすよ」
未来はお酒の勢いで声を荒げ、テーブルを叩く。
「ちょっと!それ完全にパワハラじゃない!明日から私が全部チェックするから。誰にも文句言わせないわよ」
哲也は苦笑し、ビールを飲む。
「先輩、ちょっと酔いすぎ酔いすぎ……パワハラではないんじゃないっすかね?」
未来はグラスを置き、少し冷静になる。哲也の笑顔に、胸がざわつく。
「...ごめんなさい。私、岡田君の事になると興奮しちゃって。でも、そんなに嫌な思いしてたなんて...」
「いやぁ、何でしょうね。別に斎藤さんの事嫌いではないっすよ?仕事の一生懸命さとかは、まぁ尊敬してる部分はあります」
未来は酔いが少し覚め、穏やかに頷く。
「そう...でも、あなたの気持ち考えずに押し付けてくるのは良くないわ。明日から様子見てみる」
「そうなんですよ。ただそのパワーがズレてるなぁって感じで気持ち悪いんすよ」
未来はお酒で赤い顔をしながら、真剣な表情。
「そうね...そのパワーの使い方が問題なのよね。明日から私が間に入って上手く調整するわ」
「いや、本当、こんな場で愚痴聞いて貰ってすいません」




