表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

怠惰

嫌いにはなれなかった。

なれる訳なかった。


暇だったらお付き合いください。

 「ねぇ…本当に悲しい事って何だと思う?」

 「うーん」

 本当、本物、本質。人間にとって、それを考える事は難しい気がしていた。

 俺も一応、考えるフリはする。でも、答えを出すつもりは無い。

 「私はね。知らない事だと思う」

 ザザーンと波が大きく飛沫を立てた。一瞬の無言で、世界はこんなにも寂しくなる。

 無言が多い日は、寂しさを忘れてしまう。

 「知らないっていう怠惰は、許さないから」

 珍しく怒りが入った声だ。今日は厄日かもしれない。これは、かなり面倒くさいやつだ。

 「そっか」

 意識せずとも返事は出来る。しかし、思考の放棄は、この場において罪だ。

 怒りを孕んだ人物との対話は、経験則上、下手に宥めようとしない方が良い。火に油を注ぐだけだ。

 「怠惰は、哀れなの」

 大人しく、話を聞く事に徹する。これで、地雷を踏む可能性は、低くなる。

 こちらに怒りが向かない限り。

 『どうしてお前は、いつもそう…』

 気を抜く度に聞こえる。あの人達の声なんか聞こえる訳ないのに。

 ずっと恐怖している。聞いてしまったら、二度と、人を信じられなくなるから。

 俺は、目の前の怒りに染まった人間とは違うんだ。そう思いたいのかもしれない。

 夜の海は恐ろしい姿だ。だけど、俺にはそれが好ましかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ