第2話 緋色の鎧
所詮、世の中は結果と自身の利益が全て。
・異世界恋愛
・婚約破棄
・追放もの
・短編恋愛
・Vtuberに転生etc
時流には疎いので正確かは知りませんが、これらのような売れ線でなく、よくあるテンプレートに則らない作品の自覚はあります。
ですから無償で投稿し続けて書籍化……という未来は永劫に訪れない。
小説家になろうにおいてウケる作風でもなく(1人称ではなく、無駄に暗い作品)、地の文も必要だと感じたら、それなりの長さで挿入するので、こういう部分もテンプレート作品を頭を使わず、惰性で読みたい側からすれば〝ウザい〟のでしょう。
人気の設定などを模倣しておらず、読者に称賛(世間一般でウケるかはともかく、web小説界隈ではアクセスが稼げるし、書籍化までこぎつける)される要素はないので、今まで通りの落胆するだけの結果が待ち受けているかもしれません。
ただ評価する読者の需要に応えた作品より、自分が面白い、読ませたいと思ったものを作りたいので、今回も所謂テンプレ作品ではありません。
ただ前述の通り結果が全て、結果がでなければ、創作などちっとも面白くない。
なので評価が芳しくなければ継続しても、将来の自分に利得をもたらさないと判断し、容赦なく拙作「奈落に啼くペレグリヌス〜ウェルニクロの女〜」を打ち切ります。
現時点では無償公開範囲は序章から第1章、第2章までのどちらかの予定ですが、無償で投稿して
アクセス数稼ぎや将来的な金銭に繋がる=ファン層の獲得=メリットがある
と判断すれば、第3章、第4章と無償での公開範囲を広げていくかもしれません。
なので作品を支える意志のある方は評価、コメント、いいね、レビュー、外部サイトでの小説購入などの形で行動し、作者への支援をお願いします。
作者は評価や支援をしてもらい気分よく筆を進め、読者も提供される作品を楽しむという、双方が利益を享受する、win-winの関係となれれば幸いです。
長々と語りましたが、本編にどうぞ。
「ウガァアァウ!!!」
鉄の棍棒を躊躇いなく振り下ろすと、ただでさえ不明瞭な視界を飛び散る土が遮った。
墓場を戦場にするとは、死者への最大級の冒涜だ。
「おい、化物。俺たちを殺したければ、こっちこい」
何度か森の中へと誘導しようと挑発を繰り返すも離れる気はなく、頑ななまでにこだわりを見せた。
(墓で戦闘する意味があるのか? 財宝か何かを守護しているとか……)
目的を果たすべく行動を起こすのは、人外とて同じだろう。
その企みに理由があるならば、自分はどうすればいいか。
思考が刹那の隙を生み出すと膠着状態のエレインとの交戦から意識を逸らし、青年へと顔を向ける。
そして豚の鼻を大きく広げ、鼻息を荒げた―――こいつの方が弱そうだ、と言わんばかりに。
(……う、俺が狙われてる! どうすれば……)
明確な殺意に気圧され、彼は眼前に集中する。
しかし戦闘の経験自体が皆無なNobodyが、いきなり勇猛で冷静な戦士になれるはずもなく。
いたずらに武器を振り回すくらいしか、戦う術をもたなかった。
後退りして距離を取るも、巨体は大地を揺らし歩み寄る。
(……エレインは何もしてくれない、クソッ!)
彼女に逃げる意思がない以上は、こちらも逃走はできない。
臆さずに向かってくる怪物が、膂力のままに棍棒を振り回せば……最悪の結末を勝手に想像し、顔面蒼白する。
だが待て、冷静になれ。
移動の速度は遅い分、上手くやればヒットアンドアウェイも不可能ではなさそうだ。
恐怖の生み出した分析という勝算を得て、青年がオークを見据えると、何かに躓いて尻餅をつく。
ランタンの灯火でうっすらと浮かぶ、錆色の痕跡。
手入れのなされていないそれは、殆どが鉄の酸化した成れの果てだろう。
しかし所々に時間が経過し、変色して黒ずむ血も混じっていた。
辺りに転がる遺体と、腐食した武具の残骸。
これは全てオークが手を下した人間なのか?
こ、殺されてしまう―――もう無理だ。
青年は自分の周りにあるそれを見て、死に向き合わざるを得なくなり、胸の内から素直な感情が芽生えた。
……や、やられる。
震えて動かぬ脚が、この状況から逃がしてはくれない。
絶望に屈して瞳を閉ざす。
「馬鹿、何をしてるの!」
叫び声と同時に、青年の体は空を舞った。
Nobody自身も血が噴き出すシーンなどいくらでも見たが、あくまで創作物の域はでないものだ。
それに加えてどれだけ痛ましい光景であろうと、自分には肉体的な苦痛はない。
しかし今は違った。
全身が麻痺し痺れるような苦痛が、口に充満する鉄の匂いが。
死に際の実感を伴って、青年の絶望的な現実となり始めた。
「う、ぐぐっ……おえぇ……ハァ、ハァ……」
……此処で冒険も終わりか、短い人生だった。
流れる走馬灯は両親からの叱責と、称賛された兄のことばかりだ。
なんだよ、この人生は……少しくらいは良い思い出もあっていいじゃないか。
息も絶え絶えにした、Nの視界が霞がかった。
横たわった青年は興味をなくした豚鼻の怪物がズシン、ズシン……エレインへと迫る瞬間を目にした。
「……逃げっ……ゴホッ、オエェ……」
声を上げようと力を込めると、喉奥に金属に似た臭気漂う流動体が逆流し、わずかな希望を暗黒に塗り潰す。
あんな化け物に女の人が敵いっこない……見捨てていいから、早く逃げてくれ!
動かない体の代わりに脳だけが働くも、その心は彼女には届かず。
「ウゴガォァァ!!!」
「……手間をかけさせる新米ね。ま、負けたにせよ戦い抜いたことだけは褒めてあげるわ」
鉄塊を振り下ろされそうになり、固く目を瞑る。
ああ、あの人まで犠牲に……己の無力さを嘆くも、彼女は悲鳴1つこぼさない。
……まさか即死だったのか?
おそるおそる瞳を開くと信じ難い光景を、青年は目の当たりにした。
なんと緋色の鎧は一切の損傷なく、攻撃を受け止めていたのだ。
オークも困惑したのか狼狽えたが、時すでに遅く。
腰から抜いた剣の一撃が反動で痺れたであろう、掌を一瞬にして切り裂いた。
血飛沫はホースから勢いよく流れた水のように、いつまでも止まることなく、ボタボタ……ボタボタ……大地に垂れ落ちた。
彼女に背を向けた巨漢の叫びは木々を、逃走は揺らし、地面を揺らす。
「まだ息はあるでしょう。これを飲みなさい」
瓶に詰まっていたのは 木の枝のようなものと、何やら茶色の液体が瞳に映る。
あれがもし経口摂取ならどう贔屓目に見ても、良薬は口に苦しを地でいきそうだ。
言葉にならぬ唸り声を上げる青年の心配をよそに、エレインは閉じた唇を指でこじ開け、有無を言わせず口に注いだ。
覚悟を決めて喉で味覚を感じるよりも早く、一気に飲み干す……だが意外にも味に関しては悪くない。
ただ化学的に合成された甘味料のような、体の拒絶する不快感に悶々としつつも、青年は瓶を丸々1つ飲み切った。
「痛みは引いた? 念の為にこれも噛んで。本格的な治療は教会でね」
「……う、うぅ……あぁ、ありがとう……」
不思議と体の痺れは消え、何とか体を起こせるようになったが、不味いのは嫌だ。
よろめきながらも、どうにか立ち上がる。
「……この体たらくじゃ冒険者として使い物になるのは、いつになるやら。そも鞭では殺傷能力が足りないでしょう。他の方法で魔物を始末できないようなら、武器自体の選定が間違っているわ。刃物を携帯するなり、武器を変えるなりして」
「……別に全ての魔物を殺さないでもいいだろう? 敵意がなければ戦う意味もない。それに人が傲慢に生物の命を選別して、困るのは人なんだ」
助けられた感謝もほどほどに、すかさず反論をしてしまうと
「私は自衛のため、ひいては依頼達成のための武力の話をしているの。貴方の発言内容は敵対者の生殺与奪を握り、それから考えるべきこと。そもそも魔物にやられかけた人間が偉そうに言えるの? ……しっかりなさいよ」
「……善処する。だけどもう少しだけ使わせてほしい。適切に扱って、鞭の弱さも、強さも、清濁併せ呑んだ上で、納得して次に移行する判断をさせてくれないか」
強張った面様でNを睨まれ、嘘のない誠実な言葉を吐き出す他なかった。
魔物と相対した状況と相違ない静寂に包まれ、額に汗が伝う。
……彼女の言葉は至極もっともな意見だが。
俯きがちに返事を待つと
「いいでしょう。貴方が幻滅し、諦めるまでは使えばいいわ」
「ああ、話がわかる人間でよかったよ。さっきはありがとう。それより攻撃を喰らっていたが平気なのか?」
オークを制した剣術は素晴らしいが、さらに気になったのは真紅の鎧についてだ。
近寄っても凹み1つついておらず、内部から破壊されている気配もない。
「……別に。今日はここまでよ。貴方こそ大丈夫なの? 治療を受けて3日後に訓練を再開。わかった?」
「ああ……」
痛みは引いたが先輩冒険者の助言は、しっかりと受け入れた方がよさそうだ。
Nが頷くと、その日は解散と相成った。
拙作を後書きまで読んでいただき、ありがとうございます。
質の向上のため、以下の点についてご意見をいただけると幸いです。
好きなキャラクター(複数可)とその理由
好きだった展開やエピソード
好きなキャラ同士の関係性
好きな文章表現
また、誤字脱字の指摘や気に入らないキャラクター、展開についてのご意見もお聞かせください。
ただしネットの画面越しに人間がいることを自覚し、発言した自分自身の品位を下げない、節度ある言葉遣いを心掛けてください。
作者にも感情がありますので、明らかに小馬鹿にしたような発言に関しては無視させていただきます。




