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第9話 血塗られた歴史

「小説家になろう」


での長編の執筆の無為さは掌編や短編を適当に書き綴れば完結作品としてサイトトップに一定時間掲載され、優遇されるシステムが、短編恋愛ものばかりのランキングを産み


「完結した長編しか読まない」


という読者の行動で、作品を産む過程で作家が支援を受けられずに多くは完結まで至らない。

さらに小説家になろうにおいてその年の上位10%ラインとは100ポイント前後の作品であると、朝三四暮氏の〝なろう系はなぜ『人気でつまらない』のか〟で、分析されています。


筆者自身も長年の報われない執筆で疲れ果て、数回流し読みしましたが、おおむね正しいと感じました。

読者に前書きで長々と不平不満を垂れても。

或いは読者に評価やコメント、レビューを要求しても、殆どは


〝何もしない〟


という形でしか応えない、どんな要求も無意味な以上、やはりモチベーションの維持は金銭という形での対価のみで果たされるのでしょう。

作家側は金銭という利益のため励み、読者側は購入による支援を行い、作品を愉しむ。

こちらが一方的に労力を割き、苛立ちを募らせたままで、健全な創作活動は不可能。

その互いの利害を釣り合わせるためには、コメント、レビュー、評価の手間を拒む読者側が提供できる価値―――すなわち有料以外の道はありえない。

全編公開したところでテンプレ作品ではなく書籍化も不可能。

クラウドファンディングなどは、そもそも作品に一定の人気がなければ成り立たず、人気シリーズや過去に評価されたような作品にのみ限られた話だ。

無償で投稿をし続けても明るい未来は描けず、結果に繋がらなければ創作など何も面白くはない。

なので有料化が最良と判断した過去の自分の結論は揺るぎません。

結局は人気ジャンルのみがサイトのアクセスの大半を稼ぎ、ランキングに掲載されない作品は存在しないものと扱われ、読み捨てられるだけ。


〝本当に面白ければ時代に関係なく読まれて、評価されるんだ!〟


とはよく言われますが評価されているから面白い(はず)が、読者の価値観なのでランキングを占領した作品群


・短編の異世界恋愛

・長文タイトル

・悪役令嬢がなんたら

・ざまぁ

・追放もの

・異世界転生、転移してチートがうんぬん

・異世界スローライフがどうたらこうたら

・vtuberに転生したら、なんちゃらかんちゃら


が、読者の求めている〝本当に面白いもの〟だ。

評価、アクセス、レビューといった結果に現れているのだから、いくら否定しようと、それが真理でしょう。

非難する側もそれらにしか文句を垂れない、つまりは〝存在しない作品〟には興味すらない。

そのテンプレに当てはまらない作品の無償での長編投稿は無駄な徒労。

それが現実を直視したアマチュア作家の1つの結論。

自分は読者に求められない〝本当につまらない作品〟しか執筆できないため、評価がこないのは当然と、ある程度は納得していますが。

ただ何らかの利得にならないのなら、創作自体が馬鹿らしく思えるため


「奈落に啼くペレグリヌス〜ウェルニクロの女〜」


は反応がなければ宣言通り有料化しますが、若干の猶予をもうけ


「第1階層 第1章 仮面の青年と緋色の女」


から第2階層までの間は無償(性描写のある部分は全年齢で公開した場合、問題が生じるので有償)での投稿予定。

今作の結果如何で絶筆を考えているため、執筆活動や作品の継続のためnoteでの有料部分購入、pixiv FANBOXでの支援をお待ちしています。


「奈落に啼くペレグリヌス〜ウェルニクロの女〜」


に限らず、作品への金銭的支援があれば、その作品に関してはこの場を借りて完結をお約束いたします(作者存命の間に限る)。

翌日 廃教会にて




暁を彷彿させる真紅の薄明かりに照らされた廃教会の石製の床に、おびただしい量の血の絨毯が敷かれた。

魔物の死屍累々は部屋の隅に堆く積み上げられ、戦闘の激しさを物語る。

モンスターの裂かれた身体からは血管が通った臓物が顔を覗かせ、死してなお脈打つ心の臓は生命の躍動を感じさせた。

血塗れの掌で汗を拭い、未だ興奮冷めやらず目を見開く彼らの顔は狂気そのものだ。

しかしまだ終わりではない。

売却すれば武具の素材になる牙を切り落とし、皮を剥ぐと一行は疲れからか。

乱雑に解体して肉塊になった処理済みのモノを放り投げていく。

自然というのは人の手を加えようがないほど、合理性に満ち満ちている。

残った血肉は廃教会の付近に棲む生物が、片付けてくれるだろう。


「冒険者組織は手を貸してはくれなんだ。助かったよ」


真赭(まそお)のローブの上から左腕に腕章をつける男が、デニスたちへ声をかける。

彼は冒険者ギルドでノックスの街の魔物の統括、及び個体数管理を担う中位の召喚士であり、今回の依頼人。

彼も自らの召喚獣を使役し、戦いに参加した。

複数の魔物と操り闘う召喚士の力と術を持ってしても、なおも困難を極めた突然の魔物の発生。


本来であればアピス・アンジェルス、ピューパ・シグニフィカ、コッチネラ・ディアボルスが介入すべき問題だ。

だが秩序の冒険者組織は街から離れていれば、大事には至らないだろうと依頼を放置。

混沌神信仰の栄えた街で組織のメンバー自体が少数派で、街の中や周辺の魔物退治、警備にしか手が回らないという、切実な問題を抱えていた。

中立、混沌の冒険者組織は内容が面倒で割に合わないと、商隊護衛などの金銭的利益と組織の信頼を得やすいものを優先。

さらにはどの組織も新人冒険者の実践練習とするには、魔物の群れ退治は荷が重い依頼と判断。

それもそうだろう。

まともな知能がある組織の頭なら、貴重な人材をむざむざ殺すような真似はするはずもない。

それに加えて冒険者ギルド側も緊喫の課題とは思わず、報酬金を渋ったのも要因の1つだ。

状況が深刻になれば報酬金を上げざるを得ず、それと同時に動き出し名声と金銭を求めるであろう、冒険者組織と冒険者ギルドのチキンレース。

そのデッドヒートに介入した一行は、まさに救いの神に等しい。

討伐を終え地べたに座り込み、肩で息を吐いてゆっくり呼吸を整える。

今日も誰1人欠けることなく、生き延びられた……安堵した一行が実感し、彼らの相貌からは憑き物が落ちた。


「グゥ~、グゥア、グゥア……グルルッ!」


双頭の猛犬オルトロスは犬が鼻を鳴らし甘えるように啼き、依頼者の召喚士は一旦、一行から目線を外す。

彼が喉を撫でてやると瞳を閉じ、恍惚とした笑顔を浮かべた。

人並みの図体で威圧感すらあるというのに、召喚士と絆を構築し懐いた姿を目の当たりにすると、不思議と愛らしく映った。

石炭の火で視界の確保に協力した、果肉をくりぬいて目や鼻、口の形に切った南瓜のお化け、ジャック·オ·ランタン。

彼は蜂が踊って仲間に意思を伝達するかのように規則的な動きを繰り返し、召喚士とオルトロスの頭上を飛び交う。


「……ああ、悪いね。この子が戦った後は、これをやらんと機嫌が悪くなるのだ。報酬は私の巾着袋に入っている。依頼の内容と齟齬がないか確かめてくれ」


カバンから取り出した巾着を受け渡され、ガヴィンは脇に抱え、天秤を地面に置き


「ありがとうございます。別にギルドを疑うわけではないが……職業病だ、許してほしい」

「いや、偽造硬貨が流通しているからな。存分に疑ってくれ。冒険者ギルドの沽券に関わる」 


彼は水筒の酒で血を洗い、濡れた掌を拭いてから、5枚づつ金貨を左右の秤に乗せ始める。


「なかなか腕の立つ冒険者だね。また機会があればぜひ頼むよ。君たちの勇姿と活躍、上司に報告させてもらう」

「ええ、その時は依頼次第で協力させてもらいますね」

「デニスとその仲間たちは、英雄への第一歩を踏み出した……な〜んてな」


依頼の達成とデニスの軽口で、和やかに締めくくられかけたその時


「……」


ルシルだけがただ1人、召喚士に対し無言のまま、じっと彼に視線を送った。

どんな意図があったのか、彼は露知らず。

しかしその憤怒にも似た双眸の圧力に、ついぞ耐えきれなくなったのだろう。


「……修道女のお嬢さん。私や私の魔物が何か粗相をしたかね?」


努めて冷静に訊ねられた彼女は


「いえ、すみません。ただの私事で……」


と、言葉を濁した。

すると彼は何かを察したように


「人とは相容れぬ魔獣を使う、我々は嫌われ者だ。気にしていないさ」


と、逆に気を遣われてしまう。

問答をしていると罪を禊ぐ大粒の雨が一雫、天から降り注いだ。

日帰りの距離で不要だと判断し、野営テントも持ち歩いてはおらず、ノックスへ戻るには骨が折れる。

流石に魔物の死体と共に過ごすのは気が咎めた。

血の匂いを嗅ぎつけられたら、また戦闘になってしまう。

すぐに近場で宿を探さなければさらに降水量が増え、びしょ濡れだ。


「この付近に宿泊施設はありますか? いや、雨宿りができるような屋内があれば、何処でも構わないのですが」


エレインの質問に


「ならば廃屋敷がよいだろう。かつては偉大なる二柱の神に仕えたという、由緒ある名家だったと聞き及んでいる。だが十数年前に惨殺事件が発生。その後に手に負えぬ呪いが原因で、残った主と屋敷の生き残りは逃げ出した……とのことだ。真偽は不明だが」


廃屋敷の噂を耳にし、一行は萎縮するも


「実際に帰ってきた者は平然としていた。心配はいらないよ。人の恐れがただの廃屋敷に勝手に尾鰭をつけた……珍しくもなかろう」


召喚士は特に動じず現実的な判断を下し、彼とは現地解散した。

もぬけの殻となった廃屋敷、ひっそりと記憶から途絶えた屋敷の住人、まことしやかに語られる血塗られた歴史……その場所で何が待ち受けるとも知らず、一行は召喚士の語った目的地へと向かっていく。

拙作を後書きまで読んでいただき、ありがとうございます。

質の向上のため、以下の点についてご意見をいただけると幸いです。


好きなキャラクター(複数可)とその理由 

好きだった展開やエピソード

好きなキャラ同士の関係性

好きな文章表現


また、誤字脱字の指摘や気に入らないキャラクター、展開についてのご意見もお聞かせください。

ただしネットの画面越しに人間がいることを自覚し、発言した自分自身の品位を下げない、節度ある言葉遣いを心掛けてください。

作者にも感情がありますので、明らかに小馬鹿にしたような発言に関しては無視させていただきます。

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