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ヌコサの島守  作者: 舵 登山
始章
7/75

木刀のサムライその3

前回、岬の見える砂浜で勝負をすると決めた二人。

太陽が沈んだ今、二人の戦いが始まろうとしていた。

 月はわずかに地を照らし、海を見つめれば闇が広がる。木刀のサムライ班妖 流刻(はんよう ながとき)まだ戦いが始まらぬかとその時を待つ。


 海風がこちらに吹いて来た頃、同時にヌコサがやってきた。


「始めようか。」


 二人は同時にその言葉を放つと、刀を構え、結界を張った。


 流刻は、木刀に霊力を込め、ヌコサに攻撃を仕掛けてくる。


 しかし、すぐに負けてたまるものかとヌコサは魔法の力で空に高く飛び上がり氷系の魔法を撃つ。


 濁りのない無数の塊が容赦なく流刻を襲う。だが霊力を込め元の何倍にもなる鋭い刃がその塊を真っ二つに切りさく。


 やはり氷の魔術ではだめかと察したヌコサ。今度は自分の分身をつくり、多方面から攻めてゆく。


が、しかし、流刻は三体の分身を狙って一人ずつ倒してゆきヌコサは本体だけになった。やはり殺気や霊気でどれが偽物なのかがわかるのだろう。


 一人だけになったヌコサは、また空高くへと飛び上がる。


今度は炎系の魔法を放った。


流刻はヌコサに向かいつつ、自分に向かってくる巨大な炎の玉をその刀で切ると、ヌコサの視界から消えた。


 魔法の反動で、ヌコサは流刻を見失うも、結界がうしろにいるぞと教えてくれた。


振り返ると、流刻がその刀を高く振り上げ、今にもヌコサに斬りかかろうとしていた。


ヌコサはすぐに防御結界を張る。誰の目にも見えるその硬い結界に、霊力が強く込められた刃がぶつかる……。


「パコン…」


 霊気に包まれているはずのナラの木が、静かに悲鳴をあげた。


流刻の木刀は丁度半分くらいの場所で折れたのだ。


 戦いは打ち切りとなった。


「こんなみっともない終わらせ方をしてしまい申し訳ない。明日替えを作ってておくから受け取ってくれないか。」


 ヌコサは流刻にそう伝えると、灯台へ帰って行った。




 翌日、ヌコサが流刻に渡したのは、カバの木の木刀だった。


硬くて鋭い木刀を受け取った流刻は、


「昨日の戦いは、実に見事であった。しかし、そなたを悲しませてしまい、申し訳ない。しかし拙者にも切れぬものがまだあると気付かせくれた。この刀、大切に使わせて頂こうと思う。」


と言った。


 流刻が、島を旅立つとき、ヌコサはこう言い残した。


「その刀は折れない、どんな刃物で切ろうとも。」


 木刀には『斧折樺(おのおれかんば)』と刻まれていた。


 流刻は、潮風に吹かれながら、島を後にした。

流刻はこの後故郷に帰り、さらに鍛錬を積もうと決意したのでした。

木刀のサムライは、これで終わりです。

(次はどんな話にしようかな)

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