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ヌコサの島守  作者: 舵 登山
始章
34/75

少女は時を止め…   その4

 ヌコサは時の魔術師、栄田さかえだ 美穂路みほろに火炎魔法を放つ。


美穂路は時の泉(ビン)の蓋を閉めて時を止めた。


「やっぱり、こうやって時を止めると攻撃も回避も全てこっちの思うまま。」


美穂路は余裕そうに呟いた。


その間、美穂路以外の人物は時を止められているため、動いていない…





はずだった。





「なるほど。そうやって時を止めているんだ。」


なぜか美穂路の後ろからヌコサが話しかけた。


しかし、今は時が止まっている。美穂路の視点ではヌコサは美穂路の目の前で、時の流れが戻るのを待つかのように、ただ立ち尽くしており、ヌコサは動けないはずだ。


「ん?幻聴?」


美穂路は一瞬耳を疑った。


「いや、そんなことは無いか。」


美穂路は開き直った。


だがしかし、またもや美穂路の後ろからヌコサの声が聞こえる。


「これが時間を止めた世界か。」


美穂路はおかしいなと思って後ろを振り返った。


なんとそこにはヌコサが立っているではないか。


「なんで?今は時間が止まっているはずよ。ヌコサはうごけないじゃない。てかそもそもヌコサは私の目の前で立ち尽くしているはずなのに。」


美穂路は後ろのヌコサに問いかけた。


「強制活動結界。」


「え?」


「強制活動結界を張っておいたのさ。この結界は扱いがとても厄介だけど、眠らされようが、石にされようが、結界を張った本人を強制的に動かそうとするけっかいさ。もちろん時間が止まっても動くことができるわ。」




ヌコサは、結界を扱うのがとても上手だ。


自分の張った結界で、時の流れの変化を無効化していたのだ。





「じゃ、じゃあ、目の前にいるアンタは?」


「時を止めた反動で映った残像の様ね。」


美穂路は時が止まっているのに動いているヌコサに恐怖を覚えた。




「ここは危険よ。時間を元に戻したら魔法攻撃がこっちに向かってくるから。」


「う、うんそうだね。」



二人が移動した後、美穂路は時の流れを元に戻した。





「まさか時の流れを止めても動ける人が居るなんて思いもしなかったよ。」


「結界の調子が悪くなって、その時に君がやってきたから準備だけはしていたのよ。そうしてら予想的中。でも、案外面白かったよ。」


二人は会話を交わしていたら、日が暮れてきた。


「それで、この後はどうするの?」


ヌコサは美穂路に問いかけた。


「もう帰るよ。今日はこれで満足したし。」


美穂路はそう言うと、ヌコサの前から消えていった。





「さて、この後は、やらなきゃいけないこともあるし、この辺にしておくか。」


ヌコサはこの様につぶやくと、灯台に帰っていった。







 美穂路が、帰りの船に乗っていると、灯台の明かりがついたことに気がついた。そして、その窓からヌコサが静かに見守っていた。

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