少女は時を止め… その1
島に船がやってきた。
その船に、栄田 美穂路と言う少女が乗っているのだが、蓋を開けた栄養ドリンクが入っている様なビンをヒモで繋ぎ、首にぶら下げている。
船が到着した。
人々が島に上陸し始めた。美穂路は何故か誰よりも早く、カクカクと不自然な動き方で、どんどん島を進む。
その姿はまるで連続写真を見ているかの様だ。
魔法使いの白里が、その様子を見て、
「(あの子、誰よりも早く動いている。そうゆうときは大体魔法が関わっている。よし、話しかけてみるか!)」
と思い、美穂路に近づいてみようとした。
しかし、何故か全然美穂路との距離が縮まらない。
そうこうしているうちに、美穂路は白里の視界から消えてしまった。
と、思っていたら、白里の後ろから、
「あなた、ずいぶん私を気にしている様ですが、何かご用ですか?」
と、美穂路の声が聞こえてきた。
「えっ!」
白里はおどろいた。
そして美穂路は急に白里の前に現れて、
「私は栄田 美穂路。時の魔法使いよ。」
と、白里に言ってきた。
「僕は白里 霧島。魔法使いさ。ところで、君が首かけているそのビンはなんなの?」
白里は、美穂路に問いかけた。
すると美穂路は、
「これは時の泉。時の泉の蓋は常に空いているけれど、蓋を閉めれば…。」
と言い、ビンに蓋を閉めた。
すると、時が止まり、美穂路以外誰も動かなくなていた。
その時、白里の腕時計の針は、軸を引かずに止まっていた。昼にゼンマイを巻いたばかりなのに。
美穂路は今いる位置から数歩歩き、ビンの蓋を開けた。
すると時は再び動き出し、白里はやっと美穂路の立ち位置が変わったことに気づいた。
「時が止まり、私だけが動いている世界になるわけ。」
美穂路はそう説明した。




