バンパイヤは未来を子供に託し大地を歩く
この小説は「バンパイヤは夜道を歩く」の続編です。
バンパイヤの千夜不吸血は、ヌコサに自身の思い出を語る。
「悪魔族はその人生で一度、降魔の神殿で新たな悪魔を生み出すよう、神に願う“降魔の儀”という儀式を行います。私は今から七百一年前にその儀式をしました。その場で神に人生の誓いを行うのです。」
千夜は、自身の長い人生の一コマを語り出した。
「それで、神に何を誓ったの?」
ヌコサもその話に興味津々だ。
「そこで私は、”もう誰の流血も吸わない“と宣言しました。」
神の誓いは必ず守るのが掟である。もし破れば自分は
おろか、我が子の命すら危険に晒すことになる。
「神はそれを聞いて、最終的に二人のバンパイヤをこの地に生み出しました。」
千夜の過去を聞いたヌコサは質問する。
「バンパイヤは血を吸わないと、生きていけないはず。あなたはどうやって七百年以上生き延びたの?」
千夜は答える。
「私が神に誓ったのは、あくまで生きている人間や動物の流血を吸わないということです。なので私はこの七百年、ずっと首吊り死体の血を吸って生きて来ました。」
なんと千夜は、腐った血液だけで生活していたのである。
ヌコサは千夜に問いかける。
「それで、その子供とは…。」
ヌコサが言葉を詰まらせると、千夜は穏やかな表情で、
「バンパイヤは生まれた後、親の力を借りずに生きる魔族です。なので今、こうして話している間にも、どこかで暮らしてると信じています。」
「千夜も千夜なりのものがあるのだろう。」
ヌコサはそんなことをしみじみと感じていた。
そして時は過ぎ、千夜は白里の家に戻り、木箱に入ってすやすやと眠った。
朝になり、白里は港に木箱を届けた。
船は出発し、千夜の旅はまだまだ続くのであった。
バンパイヤの物語は、いったん終わりです。
『ヌコサの島守』次回をお楽しみ!




