バンパイヤは木箱に揺られてやって来る
魔法使いの白里の家に、かなり大きな木箱が届いた。
その箱には、
注意:夜9時まで開けないで!
と書いていた。
白里は昼間に開けてはいけない箱を見て不思議に思うも、言われたとうり待つことにした。
さて、月が輝き出した。夜もだんだん濃くなってゆき、いよいよ木箱を開けるときが来た。
白里は恐る恐る木箱の蓋に手をかける。そして蓋を開けた。
するとなんというこただらう、その中には人のような生き物が入っていた。
が、犬歯がとても鋭い。これはバンパイヤだ。
「僕の流血を吸われてしまう。」
白里は一瞬そう思った。
だがバンパイヤは目を覚ます。
…しかしバンパイヤは白里が想像していたものとは違い、味気ない表情で起き上がった。
「ここはアリカベの向こうの島で、間違いないかね。」
バンパイヤは寝顔で問いかけた。
「い…一応そうだけど、あ…あなたはどうしてここに?」
白里が恐る恐る返答したので、バンパイヤは礼を欠いたと思いつつ、
「ああ、私は千夜不流吸血と申します旅をしてい者です。」
と自己紹介をした。だが白里は警戒している。
「で、でも流血を吸いに来たんだろ?」
「いいえ、私はそこら辺に転がっている本のバンパイ
ヤとは異なり、もう何年も流血を吸っていないのでご安心ください。」
バンパイヤは穏やかな表情を見せた。
「旅に来たのならどこへ行くんだい?もしあれだったら案内するけど。」
バンパイヤは白里の問いに対し、
「この島のことはあらかた調べてありますので私一人で十分です。しかし、ご迷惑をおかけし恐縮ではあるものの、朝の三時ころに私がこの木箱に入りますので、そうしたら蓋を閉め、港に持って行ってもらいたいのですがよろしいでしょうか?」
と、言った。
「うん、わかった。」
バンパイヤは白里の家を後にして、月夜の島を歩み出した。
次回『ヌコサの島守』
「バンパイヤは月夜の島を歩く」
お楽しみに!




