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ノココとダンジョン  作者: ミニマムパオ
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決断の時

生まれて初めて書いた小説です。よろしく。これの前にもう一話追加したいんだけど、どうすればいいんですかね?

「大分集まったな」


 ギルドに納品するためのルモール(たけ)を集めながら、俺はある場所へ向かっていた。


 このルモールの森の中心には、天高くそびえ立つダンジョンが存在する。


 そのダンジョンに向かう者が必ず通る一本の道。それがよく見える高台にようやく着いた。


「ノココさんでねえか!」


 ふと顔を上げると、高台には先客がいた。

 

「ブラウンさん。どうも」


 俺は、挨拶を済ませるとダンジョンに続く道に目をやった。


「ノココさん、まだダンジョンには登らんのですかい?」


「すみません。まだ決心がつかなくて」


「そうですか。まあ、アリムの街で毎日生活してたら、登る気なんて湧いてきませんよね」


 

 俺リク・ノココが所属するギルドがあるアリムの街は、毎日のようにダンジョンに向かう冒険者で溢れている。

 

 同時に街にはダンジョンから帰ってきた、血まみれの者、手足を失った者、心が壊れてしまった者も多くいる。

 彼らのほとんどはダンジョンの下層で逃げ帰ってきた者たちだ。

 

 彼らが受けた傷というのは、高等な治癒術師に金を払えばほとんど治る。

 

 そうして傷が治ると、彼らはまたダンジョンに登っていく。


 彼らがなぜそれほどまでにダンジョンに固執するかというと、ダンジョンの最上階に辿り着いたものは天命(てんめい)と呼ばれる不思議な力を授かることができるからだ。


 例え天命を手に入れることができなくても、ダンジョンで手に入るものは高値で取引されることが多い。

 

 そのダンジョンから手に入るもののお陰で、アリムの街はとても栄えていて多くの人たちが集まる。

 

 その中には、凄腕と呼ばれる冒険者もいる。

 

 ただ、凄腕と呼ばれる人ほどダンジョンから帰ってこないことが多いと言われる。

 

 ダンジョンは上層に行けば行く程、手強い魔物やトラップのようなものが多く、命を失う危険というのが高くなる。


 当然、救助……と言っても同じ冒険者が善意で行うものだが、そう言ったものも少なくなる。


 だから、上層に到達してしまう可能性の高い凄腕と呼ばれる冒険者ほど帰ってくることができないのがダンジョンというものらしい。


「そういえば、ブラウンさんはなぜここに?」


「なんでもこの近くにアイリアの街からの物資を運ぶ飛行船が一機墜落しちまったらしくてですね。自分はその物資がどこに落ちたかの確認をギルドに依頼されたんですわ。ここに来れば見つかるかなと思って」


「へえ、飛行船が」


「なんでも火竜に襲われたって話ですよ。もしかしたら物資も焼かれちまって残ってないかもしれないですがね」


「それってつまり、この近くに火竜が出たってことですか?」


「そうなりますね。火竜なんて魔素の濃い危険区域にしかほとんど生息していないのに。ギルドが確か討伐依頼を出してましたよ。ノココさん受けてみてはどうです?」


「いや、僕は遠慮しておきますよ」


「そうですか? ボゴンゴ族のノココさんなら火竜ぐらい楽勝でしょう?」


「どうですかね」


「では、私は飛行船の物資を探すのでこれで失礼します」


 そういうとブラウンさんは、高台を降りて行った。


 俺がこの高台に来た理由は色々ある。


 理由を一つ挙げるならここならダンジョンに向かう人たちの姿を、アリムの街よりよく見ることができると思ったからだ。


 ダンジョンに向かう人たちは、ルモール道と呼ばれるダンジョンに続く一本の道を通ってダンジョンに向かうことが多い。

 

 ルモール道は魔物除けの術式が組み込まれた結界のようなものが張られている。そして、ダンジョンに一直線で向かえるため、ほぼすべての冒険者がここを通ってダンジョンに入っていく。


 命を落とす可能性もあるというのに、皆希望に満ち溢れた目でダンジョンに向かっているのが今も見える。


 ダンジョンのお宝や天命を手に入れられるかもしれないという希望は、彼らにとって死ぬかもしれないという絶望より大きなものなのだろう。


 その道を俺は二時間くらい眺めていた。


「もういいかな」


 大慌てでブラウンさんが戻ってきた。

 

「火竜や!」


「どこにですか!?」


「ここから東に約7キロ! 物資を回収しにきた若造たちが襲われてる!」


 俺は急いでその方向に意識を向けた。


 魔力の反応が四つ、うち三つはブラウンさんが若造と言った人たちだろう。

 

 残る一つは索敵のスキルを警戒しているからだろう。


 かなり魔力を抑えていてわかりづらいが、人間が放つ魔力とは異なっている。

 

 これだけの魔力コントロールができる人間ではない存在。


「見つけた」


 俺は体の中の魔力を練り上げると同時に左足に集中させ、高台が崩れるほど思い切り跳躍した。


 火竜がいる近くまでは10秒ほどで着いた。

 

 なるべく魔力は抑えて跳躍したつもりだったのだが、さすがは火竜というべきか。

 

 すぐこちらに気づき、攻撃の対象を物資を回収にきた3人から俺に向けてきた。


 それに気づいた3人が叫んで俺に逃げるように伝えてきた。


「君、危ないから逃げて!」


 魔術師であろうか、女の子が俺に向いた火竜のヘイトを急いで自分たちに戻そうと大規模な術式を展開させ、氷魔法を放とうとしている。


 だが、火竜のこちらに向かうスピードがあまりに早く間に合いそうにない。


「クソ、こっちだ火竜!」


「だめだ、間に合わない!」


 大剣使いの男と武道家の男が走り出した火竜を追いかけるが、火竜との距離がどんどん広がっていく。


 火竜は体内の火炎袋に魔力を集中させると、俺に超巨大な火の玉を吐き出してきた。


 俺は火の玉をかわすために、空中に跳んだ。


「空中に逃げてはダメ!」


 そう女の子が叫ぶと同時に、火竜も咆哮し、翼を広げ猛スピードで俺に向かって飛んできた。


 馬鹿だな。


 空中で身動きできない相手なら、さっきの火炎放射をお見舞いすれば一発で殺すことができるのに。

 

 空中にいる相手なら絶対自分が勝てる自信と、相手を仕留めるときはこうするというプライドのようなものが火竜にあるのだろう。


 火竜は身をひねると、刃のような鱗がびっしり生えた尻尾をムチのようにしならせて俺の胴体目掛けて放ってきた。


 俺も尻尾を真正面に捉えられるように体の向きをひねりながら体の前面に魔力を集中させ、高速で向かってきた火竜の尻尾を受け止めた。


 自分の渾身の攻撃を受け止められ一瞬ギョッと固まる火竜。

 

 その一瞬の隙に俺は体を火竜諸共高速で回転させて振り回し、火竜を混乱させた後、地面に叩きつけた。


 そして、背中に背負っていた刀を手に持ち魔力を集中させ、地面に着地すると同時に火竜の首をはねた。

  

 後から、火竜に襲われていた3人が駆け寄ってきた。


「ーーすごい。あの火竜をこんなにあっさり倒しちゃうなんて」


 魔術師の女の子は口をぽかんと開けながら呟いた。


「あんた、よく見たら子供じゃなくてボゴンゴ族だな」

 

 大剣使いの男が俺をまじまじと見つめながら言う。


「ボゴンゴ族? なんだそれは?」


 武道家の男は、ボゴンゴ族を知らないらしい。


 無理もないな。


 僻地に住んでいる少数の種族だし。


「ボゴンゴ族っていうのは小人族に似た種族で、魔力場が強いところを好んで住むらしいの。かなりの戦闘狂なんだけど、見た目はこの人みたいにプニプニしててちっちゃくて可愛いんだよ」


「へえ。」


 戦闘狂っていうのはかなり人によるけどね。


「何はともあれ、結果的に助けていただいた形になった。今すぐお礼をしたいところだが、自分たちは早急にこの物資をアリムの街まで届けなければいけないんだ」


 そう言って、大剣使いの男が飛行船が運んでいたと思われる物資を指さした。


 見たところ、魔戦具、武器に魔力を込めて攻撃力を上げたり、特殊な能力を付与したもののようだ。


 しかも大量の。


 この魔力に反応して火竜が飛行船を襲ったのだろう。


 なぜ、こんなところに火竜がいたのかまでは謎だが。


「僕もちょうどアリムの街にもどるところだったので、ご一緒してもいいですか? 先ほどのように強力な魔物が物資の魔力に反応して襲ってきたら大変ですし。護衛は一人でも多いほうがいいと思うんです」


「そうだったのですか。こちらとしても非常にありがたいです。ぜひご同行していただきたい。私はダンパンと申します。こっちの武道家をやっているのがレムスで、魔術師をやっているのがライラです」


 ダンパンがそう言うと、レムスとライラが軽くお辞儀をした。


 「僕はリク。リク・ノココと申します」


 どうやら、ダンパンたちが回収にきた物資は急ぎのものらしい。


 レムスやライラとも軽く話をした後、俺たちは急いで準備を整え、早足でアリムの街に向かった。


 

 


 




 

 



少しずつ書いていけたらいいなと思います。

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