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私は、既に判断ミスをしていた。

信じてはいけない人を信じたのだから

「もしもし」

「もしもし、大丈夫?なんか、先生達があんたのこと探してるよ」

「え?」

「昨日さ、文化祭の練習中にリーダーに怒られて泣いて帰ったでしょ?それが原因じゃないかってリーダーが皆からせめられてるんだけど……」

「いや、それとは関係ないけど、一応今は彼と一緒。息抜きで外出してた。元気だから大丈夫だよ。ちょっと今ゴタゴタしてるから」

「そう、わかった。じゃあ、学校でね」

「あっ、彼のところいるのは内緒にしといて、ちゃんと理由あるから」

「うん、わかった」

ピッ

「仲良しの子からだった。たぶん、母親が私が家に帰らないから学校に連絡したのかも……」

「……大丈夫?」

「きついかな」

彼にしがみつき泣いた。

ご飯がなかなか喉を通らず、吐き出してしまう状態に彼は、励まし続けてくれた。

夕方

ピーンポーン

「誰かな?」

彼がインターホンをみる。

「!学校の先生達だ、どうする?」

(いくらなんでも、虐待されて“彼“のお家に逃げました、なんて信じてくれないだろうな……それに、事が大事になるのは避けたい)

「大丈夫?」

小刻みに無意識に震える私に、優しく声をかける。

「会いたくない」

絞り出した声はかすれていた。

彼はうなずくと、衣装タンスに隠れるように伝えた。

私の痕跡を簡単に片付けた。

ピーンポーン

カチャカチャ ガチャ

「……先生方なんのようですか?体調が悪くって休んでたんですけど」

「えっと、君の仲良しの友達が家でしたって連絡があってね探すことになったんだ。ちょっと部屋にはいってもいいかな?」

「あっ、ちょっ、勝手に入らないでください。散らかってるので、それに不法侵入ですよ」

ずんずんと各部屋をさっと確認する。

「いないな……」

「何がですか?それよりも出てってください。勝手にはいるなんて最低ですよ」

「……わかった、すまなかった。また明日な」

カチャカチャ

「……」

トットッ

「言ったよ」

ドクンドクン

震えるからだで、彼に抱きつく。

吐き気がする。

ほっといてよ。

見つけたところで、あの家に帰されるだけなら……

「うっ、」

さっき食べたものが込み上げてきた。

急いで、トイレに向かう。

「うぇっ、おえっ、」

嘔吐をした。

その後は、また泣いて、つかれて眠った。

夜になり、お父さんとの約束の場所に向かう。

彼には、一人でも大丈夫だと強がりを言った。

これ以上巻き込むのは気が引けたから。

何より、娘の彼氏とこんな形で会うのはあんまり言い想像はできないと思った。

約束の場所は、彼の家から離れた場所にした。

彼の家がばれると、お母さんが彼の家に押し掛けることもあり得るかもしれないと思ったからだ。

バスに乗り約束の場所に向かう。

まだ、震える身体に力をいれる。

(絶対、お家にはかえらない。救ってくれないし、何度も繰り返しでもう、つかれたよ)

涙が頬を伝い、それを力を込めてぬぐった。

大人は子どもを守る存在ではない

血縁関係や、恩師などの関係がない大人は赤の他人だと思います。

だって、今の世の中は、“今“を生きるので大人も精一杯なんです。

心の余裕がないなか他人を救うのはとても難しいことだと思います


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