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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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夕暮れ時の影

作者: ツナ缶

僕の名前は富田快斗。現在高校二年生。花のDKです。今日は7月31日。明日から8月。プール、海水浴、色々と楽しみ。夏休みの宿題は7月中にほとんど終わらせてある。明日からはたくさん遊べるな。取り敢えず今日のところはもう寝よう。明日は涼太たちと遊びに行く日だ。

俺の名前は佐藤涼太。最近俺には悩みがある、それは幼馴染のは快斗のことだ。快斗とは小中高と一緒で家も近いため昔からとても仲がいい。悩みの内容というのは快斗への恋だ。快斗にとっては俺は友達だが、俺にとってはあいつは友達以上だ。実際快斗とは最初はただの友達だったが、中学生の時に自分がゲイであること気がついて快斗のことが好きだと気がついた。好きだと気がついたきっかけも鮮明に覚えている。快斗はいつも制服の下にパーカーを着ている。だから制服姿での露出は少なかった。でも快斗が丁度落としたプリントを拾ったとき、隙間から見えた綺麗な鎖骨を見て、キスマークをつけてやりたいと思ったことだ。なんだかそのときは、俺しか快斗の鎖骨を見たことがないような気がして、いつも部活で見る時と感覚が違った。うっすらと見えたその鎖骨の形や色、あのとき抱いた快斗への欲情などを鮮明に覚えている。我ながらこのことを思い出すと、俺って変態だと思う。それ以降、快斗見るととても意識してしまう。だから普段は普通の高校生とおんなじように行動して、快斗の友達でいる。しかしもうあいつのことを思い始めてもう4年はたつ。そろそろ色々と限界になってきた。何より友達とそういう感じの話をする時に、ノンケの感覚に合わせないといけないのが辛い。だから俺は毎朝憂鬱になって、もう限界。だから、この夏休みの間に、快斗に自分の気持ちを全てぶつけてやると決めた。最初に明日は快斗と他の友達も一緒にプールへ行く、そこできめてやる。頑張るぞ。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


今日は8月1日、やっとこの日が来た。快斗とプールへ行くんだ。取り敢えず今7時だから飯食って、8時には家を出れるようにしよう。朝ごはんは何食べようかな?泳ぐからお米食べてくか。でも朝はあんまり固形物食べたくないんだよな。あ、お茶漬けの冷たいやつあったよな。名前なんていうか忘れたけど。よーし、それ食べて着替えて行こう。

涼太から遊びに行くの提案するなんて珍しいな。いつもは僕たちの案に賛成してついてくることが多いのに。まぁいっか。取り敢えず今日来るのは柳と陽炎だな。この二人と僕と涼太は同じ部活だ。バドミントン部なんだけど、この夏休みの間に体育館の改修工事が入って練習が全てなくなったんだよね。遊ぶ時間が増えて正直めちゃくちゃ嬉しい。部活なくても涼太たちとは遊ぶし、特に困ることはない。うちのバドミントン部はそんなに強いわけじゃなくて、いっても都大会とかそんぐらい。都大会でもベスト16あたりでずっと安定している。僕と涼太はシングルスプレイヤーで柳と陽炎はダブルスプレイヤーだ。二人ともお互いがペアで、うちの部活で一番強いダブルスペアだ。僕は涼太よりかは弱いけど、部活では2番目だ。涼太が一番で、身長も高いしがたいもとってもいい。そんな感じで僕たち4人はバドミントン部の中で仲がとても良い4人組だ。そろそろ行かないとな。確か現地集合で、猫坂遊園地だったな。時間かかるから少し急ごう。

よし、なんとか時間には間に合ったか。えーと、ここ確か入場料でいくらかするからもうお財布から出して用意しとこう。あ、あれ柳と陽炎かな?

「おーい、柳と陽炎。こっちだよー」

「お、快斗か」

手を振ったら柳が返してくれた。二人ともこっちに来た。

「よう、塾の夏期講習で陽炎には会ってるけど、快斗は学校の終業式以来か?」

「そうですね、宿題7月中に終わらせたくてスマホ封印してたから誰ともラインも電話もしませんでしたし。」

「そうなんだ、偉いね。俺何にも手つけてないや。柳も夏期講習あったから終わってないんじゃない?」

「あ、俺か?俺はほとんど終わってるぞ。まぁ快斗ほどじゃないけどな。」

「え、もしかして俺だけ3人の中で宿題終わってないの?」

「お前そんなんだから毎回テストの時に時間なくなって俺らにすがりついて来るんだよ。ちょっとは快斗を見習え。バカ。」

「ウゥ、言い返す言葉が出ないよ」

「 アハハッ、相変わらず二人は仲良いですね。まるで兄弟見たい。」

「そんなんじゃねーよ。陽炎とはただのダブルスペアだ。こんなバカと兄弟なんてごめんだね。」

「アッ、柳ヒドーイ。そんなドライな関係だなんて。俺泣くよ?」

「うるせー、勝手に泣いてろ。」

柳と陽炎はいつもこんな感じだ。見てるだけで面白い。だから俺はこいつらが好きだし。

「というか、事の発端の涼太はまだ来てねーの?」

「たしかに来てないね。快斗連絡できないの?」

「そうだね、ちょっと電話してみます。」

僕が陽炎に言われ涼太に電話しようたしたとき、入口のドアから汗だくの男が入ってきた。

「みんなごめん‼︎遅くなっちまった。」

涼太は顔の前に手を合わせながら言った。

「遅いよ、みんなで待ってたんだよ。」

陽炎が代表していった。

「ほんとにすまん、あとでなんか奢るから‼︎」

「まじで?ラッキー」

奢るという単語を聞いて思わず言ってしまった。

「取り敢えずなんでも良いからさっさとプールに入ろうぜ。」

柳がみんなを制するように言った。

「そうだね、取り敢えず僕が受付して来るから、みんなは先に下に行ってて。」

「じゃあ、よろしく頼むわ。柳の分のお金も入っているから。」

陽炎が小銭を渡してきた。

「あ、俺も一緒に行くよ。」

涼介が言ってきた。

「そう?じゃあ一緒に行こ」

「俺ら先に行ってるぞー。」

柳の声が聞こえた。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


最悪、遅刻した。せっかく快斗とプールに来れたっていうのに。というかなんか奢るって言っちゃったよ。まぁでも良いか。今こうして快斗と二人でいられるんだし。

「涼太、受付するからお金出してください。」

「おう、ちょっと待て、、、、、、はい、よろしく。」

「うーんと、よし、ちゃんとあるね。お願いします」

そう言って涼太は受付にお金を出した。俺の肩に快斗の頭がちょうど並ぶ。ふと快斗の方を見ると半袖シャツを着ていて腕が見えた。いつも部活でラケットを振っているこの腕が俺は好きだ。快斗はいつもパワーというよりかはコントロールでバトミントンを戦っている。だからあんまり腕が太かったりはしないのだが、この華奢な腕はとても頼りになるしとても綺麗だ。身長高い人が多い中で頑張っていて快斗は部活で2番目に強い。快斗がバドミントンをしている姿はとっても綺麗だけどもっと深いところまで俺が知って俺だけしか知らない姿を体に刻みつけてやりたい。

「おーい、受付終わったよ。さっさと下に行きましょう。」

「あ。わかった。」

良くない‼︎ぼーっとしてちゃダメだぞ俺。いくら嬉しいからってちゃんとしていないと。

「ねぇ、涼太今日大丈夫?なんか変ですよ?」

下にあるプールに向かって階段を下っている途中言われた。

「あぁ、ごめん寝坊したせいで頭回ってない。」

好きな人と夏休みにプールに来て浮足立たない男はいねーよ。そう心の中で念じた。

「本当に?顔赤いけど熱とかないですよね?」

そう言った快斗は俺のおでこに手を当てて来た。顔が近い。Tシャツのネックの隙間から白い肌が見えそうだ。各2週間ぶりの快斗。久しぶりなことも相まって緊張してきた。

「どうしたの?黙っちゃって。熱はないみたいですね。行きましょう。」

「お、おう。」

俺は快斗に連れられるままプールへと向かった。本当に熱い。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


「あ、来た来た。おーいこっちだよー。」

陽炎がの声がフロアに響いた。柳はその隣に座っていた。

「二人とも来たしさっさと着替えてプール行こうぜ。」

柳が立ちながら言った。

「おう、そうだな。行こう。」

そうして俺たちは更衣室へと向かった。更衣室に着くと、

「あ、あんまり人居ない。ラッキー。でもロッカー空いてるの少ないから2人で1個のロッカー使うようにしよー。」

「そうだな。俺と陽炎でこっちのロッカー使うから、お前らふたりはそこのロッカー使いな。」

そうして俺は快斗とおんなじロッカーを使うことになった。

「とりあえず着替えてから荷物入れましょう。」

快斗からそう提案があった。

「おう、わかった。」

俺はさっきの動揺を顔に出すことなく言えた。よしよし、良いぞ。落ち着け、平常心を保つんだ。これなら普通に接することが出来るぞ。そうして俺は着替え始めた。快斗も着替え始めて居た。いつも部室とかで見ているから慣れているが、やっぱり快斗の体はとても綺麗だと思うし、見入ってしまう。とても色白でまるで女子みたいだ。自身は色白なのを気に入ってないようだが、俺はとても好きだ。部活で運動した後などは顔が真っ赤になるので俺は自分の手でそういう顔にさせてやりたいと思ってたりする。4人全員が着替え終わり、荷物をロッカーに入れたタイミングで俺は声をかけた。

「みんな着替えたな、よし行こうぜ。」

意気揚々と出てきたものはいいものの、この猫坂遊園地のプールはとても大きく、みんな来るのが初めてだった。そこで快斗がこう言った。

「とりあえず流れるプールが一番大きいみたいだからみんなで行こうよ。」

かくしてみんなで流れるプールへ入ることとなった。更衣室の前にあったので、どこにあるかで迷うことはなかった。

「俺が一番乗りー。」

そう言って陽炎が真っ先にプールへと入っていった。

「おい、待てよ。」

柳がそれについていった。

俺たちも入ろうと声を快斗にかけようとしたら、俺の後ろにいるはずの快斗がいなかった。やなぎたちは先に行ってしまったし、ここで待とう。そうしていたら、快斗が戻ってきた。

「お前どこにいってたの?忘れ物?」

そう声をかけると快斗はニタっと笑った。

「これを借りにいってました。」

そうして俺に浮き輪を見せた。

「え?お前泳げないの?」

「ち、違います。」

顔を赤らめながら言った。

「図星だな。」

「違うよ、こっちの方がプールにきた感じあるでしょ‼︎」

今度は頰を少し膨らませながら言った。

「ハハっ、そうだな」

なにこの反応、超絶的に可愛いんだけど。やばいめっちゃキスしたい。何この可愛い生物。やばいハグもしたい。ハグしてキスとか最高すぎひん?マジやばいって。妄想止まらん。

「ほら、はやく入ろうぜ。」

俺は理性で自分を抑えつつ言った。そうして2人で流れるプールに入った。しばらく流されていると、快斗が言った。

「あれ、今思ったんですけど柳と陽炎は?」

「あぁ、あいつらならどっか行っちゃったよ」

なーんて言ったけど、ほんとは嘘なんだよな。じつは柳と陽炎は付き合っていて、俺が快斗のことを相談したら、今回のプールに行く計画を考えてくれたんだ。

「陽炎が先に突っ込んでそれに柳がついて行った感じですか?」

快斗が言った。

「お、よくわかったな。そうだ。」

「だってあいつらいつもそうじゃないですか。ダブルスでの戦い方とかもそうだよ。」

「たしかに。だいたい陽炎が攻撃で柳がサポートだもんな。」

「でもあの戦い方が一番2人にあってるんじゃない?」

「あれでうまく連携取れるのはすごいと思う。なにもかも正反対なのに。」

「それは僕も思います。」

そんなことで色々と話し込んでいたらすっかりお昼になってしまった。

「腹減ったな、ご飯食べようか。」

俺は快斗にいった。

「そうだね、なに食べようか。」

「取り合えず、陽炎たちと合流してから考えよう。」

かくして俺ら2人は唯一の飲食物が売っているフードコートに向かった。

「なるほど、お腹が空いたらここに来るしかないからここに2人が来て合流できるってことですね。涼太、考えましたね。」

「あ、うん。ありがとう」

まぁ、実際は元々ここに集合って言われてただけなんだけどね。まさかココしか飲食物が売ってないなんて、偶然だな。しばらくして、 陽炎たちがやって来た。

「いやー、ごめんごめん。こいつがあっちこっち行くもんでよ。」

「え?俺のせい?柳だって楽しんでたくせに。」

「ハァ?お前なに言ってるの?全部お前のせいだつーの、ドアホ‼︎お前なんかもう知らん。」

「嫌いにならないでよ柳ー。ごめんって。」

柳はなにも言わない。

「快斗と涼太ー、助けて柳に嫌われたよー」

いや知らんがな、そんなことを考えていると快斗が

「はいはい2人とも夫婦漫才もそこらへんにしてさっさと飯食べましょう。」

「夫婦じゃないよ‼︎」

「夫婦なんかじゃねーよ‼︎」

それを無視して快斗は

「ほら、涼太、行きましょう。」

と俺の手を引っ張って歩き始めた。こうやって小さいのに俺を引っ張るなんて可愛いな、快斗は。俺を引っ張る手は日光に照らされて白く輝いていた。俺はその時とても上機嫌だったし最高の気分だった。

「取り敢えず席取んないといけないね。」

快斗に向かって言った。

「そうだね。、、あ、あそこに空いてる4人席ありますよ。」

「ならさっさと座っちまおうぜ。」

そう言いながら柳が席に向かって行った。俺らもそれに続いて行き、席に座った。

「さて、みんな何食べる?俺はうどんにするよ」

そうみんなに言うと、

「俺はカレーにする」

「俺も陽炎と一緒でカレー」

「僕はお蕎麦がいいです」

「ってなると、うどんとそばの店が一緒だから、俺と快斗、柳と陽炎が同じ店か。じゃあ各々飯買いに行くか。」

俺はみんなに言った。

「みんな行って席取られないか心配です。」

「あ、そうだな。どうする?」

すると陽炎が

「なら俺と柳で手分けしてとってくるよ。店2つだけだし2人で足りるよ。なぁ柳。」

何か企んでいるような笑顔を浮かべて言った。

「確かにそうだな。良し、快斗と涼太は席で待ってていいよ。なっ?」

同じような笑顔で柳が言った。俺はその瞬間柳たちが何を言いたいのか理解した。

「じゃあ俺たち行ってくるわ」

そう言って2人は嵐のようにフードコートに消えて行った。

「なんであの2人取りに行ってくれたのかな?なんか悪いね」

快斗がそう呟いた。

「そうだね、まぁ本人たちが言ってたんだしいいんじゃない?」

そんなことを言いつつ、俺は心の中でめちゃくちゃ柳たちに感謝していた。マジでありがとう、柳と陽炎。事前の話し合いでここで何かをする予定はなかったが、偶然にも俺と快斗が2人っきりになれる場面になった。これは後であいつらにお礼をしないとな。

「取り敢えず座ろうか」

「そうだね、でもその前に水飲みたいからとってきます。席の隣にありますし。」

「あ、それならついでにみんなの分の水も用意しよーぜ。俺も手伝うから。」

「あ、そうだね。そうしましょうか。」

快斗が小さい手を使って水を入れている。可愛い。この小動物感。なでなでしてあげたいな。やっぱり横に並ぶとちっちゃくて可愛いな。俺が185センチで快斗が164センチだからな。21センチ差か。もし付き合うことになったらデコボコカップルだな。席に戻って戻ると

「いやー、楽しかったですね。流れるプール。」

「そうか?そう言ってもらえると嬉しいな。」

「僕は涼太がいれば楽しいですよ。友達といると楽しくないですか?」

その小さな体に似合う優しい満開の笑顔で言った。

「お、そ、そうだな」

やばいってヤバイって。一緒にいて楽しい?しかも俺がピンポイントで指名された。めちゃくちゃ嬉しい。マジで可愛い。ほんとそういう無邪気つーか、デレというか、さらっとキュンキュンすること言わんといてや。あー最高。

「どうしたんですか涼太?顔真っ赤ですよ。もしかしてあっちのビキニのお姉さん見て興奮したんですか?」

「ち、ちげーよ。俺は、、、」

最初は威勢よく言っていたが、そこまで言って俺は黙りこくってしまった。ほんとお前のせいだよ。あーもう。いっその事ここで言ってやろうか。いや夕方まで待っておこう。今日は快斗に思いを伝えるんだから。

「あ、顔真っ赤じゃないですか、涼太のスケベ。」

ほんとにこいつは、、、、。そんなことをしていると柳と陽炎が帰ってきた。

「あれ?涼介めっちゃ顔赤いけど大丈夫?」

陽炎が席に戻ってきた瞬間言ってきた。顔はニヤついてやがる。

「うるせー。さっさと飯食おうぜ」

これはめんどくさいことになった。後でしつこく話聞かれるだろうな。そうして俺らは2人が持ってきてくれたカレーとうどんとそばを各々前に置いた。

「よし、食べましょう」

「いただきまーす」

快斗の声を合図にみんな一斉に食べ始めた。みんなプールで泳ぎまくって体力を消耗したせいか良い食べっぷりだった。快斗も小さい口で頑張って食べていた。あっという間にみんな完食してしまった。

「みんなデザート食わない?遅刻のお詫びってことで奢るからさ」

そうみんなに言うと

「そうだな、行こうぜ」

「じゃあどこに行く?」

「あんまり高いものは奢れないぞ?」

「僕クレープ食べたいです。」

「快斗、女子かよ。」

陽炎が笑いながら言った。

「俺は賛成。」

「え、柳がクレープ食べるなんて意外。」

「うるせー。悪いかよ。文句あるならお前だけ別のもん食え。」

柳がちょっと怒った顔をして言った。

「じゃあ、クレープ屋行こっか。陽炎は抜きで。」

「あ、みんな行くなら行くよ」

さっきまでの態度とは打って変わって言った。全くこいつは。

「陽炎ってほんとお調子者だよねー。」

快斗が言った。頰が少し膨らんでいた。

「ごめんて許してよー。」

いや可愛すぎかよ。この怒ってる時にほっぺ膨らませるクセまじで可愛い。多分だけど、いつも自覚でやってるよね。無自覚に怒ってる時にほっぺた膨らませるとか可愛スギィ。あぁー、そのほっぺたフニフニしていじりたい。絶対可愛い反応するじゃん。妄想しまくりやな、俺。

「涼太、さっさとクレープ屋行きましょう。奢ってくれるって言ったの涼太でしょ。」

その声を聞いて現実世界に戻る。

「あぁ、ごめん行こうか。」

また俺は快斗に連れられて歩いていた。受付からプールに向かう時とおんなじ感じだな。なんかデジャブ。まぁ、こんなのもいっか。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

「みんな何食べる?」

「じゃあ、俺チョコバナナ‼︎」

「じゃあ俺も柳と一緒にしよ。」

「快斗はどうする?」

「僕イチゴがいいです。」

「わかった。注文してくるわ。」

イチゴなんて女々しいものを、、なんて俺は思っていた。

「イチゴとブルーベリー、あとチョコバナナを二つお願いします。」

「ご注文ありがとうございます。お会計はで合計1600円になります。」

クレープなんてあんまり食ったことないから、食うの久しぶりやな。

「はい、丁度お預かりします。お作りするのに少々お時間頂きますので、受け渡し口でお待ちください。こちらレシートです。」

俺は指示された通り店の受け渡し口に移動した。クレープを待っていると快斗がこっちにやってきた。

「ん、どうしたんだ?あっちで柳たちと待ってろよ。」

「クレープ4つもあるんで1人だと大変かと思ってきました。」

「おう、そうか、ありがとな。」

いや優しいな快斗は。クレープ運ぶの大変だと思ってきてくれるなんて。俺のことを思って行動してくれたなんてちょっと撫でて上げたくなる、、、、、、、いやいや俺何を考えているんだ。フードコートで柳たちを待っている時といいさっきから妄想がすぎるぞ。落ち着け。平常心を保て‼︎そんなことを考えていると店員から声がかかった。

「え〜、クレープ4つでお持ちの方ー?」

「あ、はーい。」

「こちらイチゴとブルーベリー、チョコバナナ2つですね。」

「はい、ありがとうございます。」

俺がイチゴとブルーベリー、快斗がチョコバナナ2つを持つ。

「ご利用ありがとうございましたー。またのご来店、お持ちしております。」

そんな店員の声を聞きつつ俺と快斗は柳たちが待っている席へと向かった。幸いパラソルが付いている席が取れたようだ。これでちょっとは涼めるか。

「お、来た来た。」

「ごめん、待たせたな。」

柳とそんなやりとりをしながら席に着いた。快斗が柳と陽炎がにクレープを渡して、俺は快斗にクレープを渡した。

「このクレープ大きいですね。」

快斗がクレープの紙を破りながら言った。

「そうだな、でもこんだけ大きいなら一個400円も頷けるよな」

「奢ってくれてありがとうございます。」

快斗から感謝の言葉があった。いやお前にならいくらでも買ってやるよ。

「快斗、ほっぺたに生クリームついてるよ。」

陽炎が言った。

「本当ですか?」

そんなことを言いつつ快斗はナプキンで生クリームを拭いた。そりゃあんだけがっついて食ったらそうなるわ。でもちょっと子供みたいで可愛い。俺が生クリーム気がついてとってあげたかった。快斗は小さな口にクレープを入れていた。快斗の唇は淡いピンク色で輪郭は綺麗な曲線を描いている。その綺麗な口をしつこいくらいに舐め回して俺のものだって教えつけてやりたい。そんなことを考えつつ俺はクレープを食べ終わった。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


いやー、クレープ美味しかったなぁ。午後はどこに行こうかな。なんてことを考えていると

「なぁ、みんなでこの後ウォータースライダー行こうぜ。」

涼介がみんなに言った。

「賛成‼︎いいね。柳も一緒に行くでしょ?」

「え、俺は、、」

「何?もしかして柳ってウォータースライダー苦手?」

「うっせ。ちげーよ。」

柳は顔をほんのり紅色に染めて言った。陽炎はその横でニタニタと笑みを浮かべていた。へー。柳でも怖いものあるんだ。てっきりあの無骨な見た目から怖いもんなしのTHE・硬派男子だと思ってた。さっきのクレープといい意外な柳の側面が見れて面白いな。

「じゃあ、エリアの真ん中にある一番でかいやつ行くか。」

目を輝かせながらそう言ったのは涼太だ。

「涼太はこういう感じのアトラクション好きなの?」

「あぁ。昔からこういうの大好きなんだ。ここのやつ大きそうだからめっちゃ楽しみなんだ

。」

その大きな体に合わない子供みたいな無邪気な笑顔で言った。

「フフッ、みんなと今日きてよかったな。」

「そうか?」

「はい、みんなの明るい笑顔が見れて僕は幸せだし、楽しいですよ。」

そういうと、涼太は笑っていた。さっきの子供らしい無邪気な笑顔とはちがう、顔を赤みを伴う笑顔だった。

「おーい。柳大丈夫か?」

「、、、おう、、」

「おいおい、元気出していこうぜ‼︎」

意気消沈している柳を励ますように陽炎が声をかける。

「あの2人いつもとは違ってなんか新鮮ですね。」

「ん?あぁそうだな。まぁたまにはそういう時もあるんじゃないか。」

「あれはあれで面白いですね。」

「でもやっぱり柳が元気じゃないと変な感じするよな。」

「僕も同感です。」

「まぁ、そのうち元に戻るだろ。」

そんなことを話しつつ僕たちはウォータースライダーへと向かった。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


「えっと、、ここがそうだな。」

到着してすぐ涼太が言った。

「とりあえずどこ行きたい?」

「俺らは行きたいスライダーあるから涼太と快斗で行ってくれば?」

「おー、それで良いか?快斗。」

「僕はいいですけど、柳たちはいいの?」

「俺らがいいって言ってるんだから大人しく2人で行ってこい‼︎」

「そうですか?、、なら行きましょう。涼太。」

「おう、、、わかった。」

「さっさと行くぞ。陽炎。」

「うん、そうだね。」

「柳たちはどこ行くの?」

そう聞いた時にはもう柳たちは消えていた。

「あの2人、本当にいなくなるの早いね。」

そう聞いた時、涼太は柳たちが消えて行った方向を見て何やら考えているようだった。

「、、、、そうだな。」

振り向いた時の顔が淡く赤色に染まっていた。変なの、そう思いつつ歩き始めた。

「クレープ美味しかったですね。」

「おー、そうだな。快斗に喜んでもらってよかったよ。」

「いよいよ夏休みって感じですね。」

「やっぱ快斗もそう思うか?」

「だって7月中例年に比べてずっと気温低かったじゃないですか。」

「確かにそうだな、、、。部活もなかったし。」

「いつになったら体育館の改修工事おわるんですかね。」

「そんなのあったの?部活ないってことしか覚えてないわ。」

「まったく涼太は、、。そのくらい覚えてくださいよ。部活ないからって浮かれすぎです。」

「わりぃわりぃ、怒んないでくれよ。というか、お前怒ってる時ほっぺた膨らませるの癖なの?」

「え、膨らませてますか?」

「おう、いっつもそうだぞ。可愛い癖だなーって思ってたけど。」

涼太は顔を指で掻きながら照れ臭そうに言った。僕はそこで顔を赤く染めてしまった。

「どうしたんだ快斗?なんかあったか?」

「いや、、、なんでもないです。」

「そうか?ならいいけど。」

言えない、絶対に涼太になんかに言えない。正面から可愛いって言われてちょっと恥ずかしくなったなんて。僕そんな癖あったんだ、、、知らなかった。なんか、、本当恥ずかしい。そんなことを1人悶々と考えていると、

「おーい。涼太いつまで俯いてんだ?もう着いたぞ。」

顔を上げるとそこには小さなビルかと思えるようなとても高いウォータースライダーが見えた。

「お、、大きいですね。」

「だろ?このウォータースライダー前から乗ってみたくてさ。」

「え、なんかめっちゃ怖そうですけど、、、」

「え?もしかして快斗高所恐怖症?」

「いや、違います、、大丈夫です。行きましょう。」

「じゃあ並ぼうぜー。」

とはいったものの、、、、実際僕は高所恐怖症だ。やばい、めっちゃ怖いんですけど。でも今更引き返せないしな、、、、。

「なぁ、やっぱり快斗怖いんだろ?やめとこうって。」

「だ、大丈夫って言ってるじゃないですか。いいから並びましょうよ。」

そう言って涼太を押そうとしてもビクともしない。なんでこんなに重いの?

「お前、またほっぺた膨らんでるぞ。」

「ち、違います。これは別にそういうのじゃなくて、、。」

「はいはい、わかってますよー。癖だろ癖。さっさと並ぼーぜ。」

そう言って、涼太は上に上がる階段に向かった。

「おーい、快斗も来いよ。」

「バーカ‼︎涼太なんかもう知らないもんね。」

僕は言えることがなくなって思わず言ってしまった。我ながら子供じみた行動だったともう。それでも涼太は、

「お、おい、ごめんって。もう言わないから。機嫌なおしてくれよ。」

「本当に癖なんですからね、、、、」

「わかったわかった、、、ほら行こーぜ。」

そう言って2人で階段を上がっていったが、涼太は終始満足したような顔をしていた。何がそんなに面白かったんだろう、、、、、、。上まで上がって自分たちの順番を待っている間、

「さっきはごめんなさい。いきなりバカとか言って、、、。」

「あ、もういいよいいよ。気にしてないし。俺も言いすぎたし。」

「本当に優しいですね。涼太は。そういうところ僕好きですよ。」

そう言った途端涼太の顔が淡く赤に染まった。

「大丈夫ですか?」

「本当にお前はさぁ、、、、、、。」

顔に手をあてながらゴニョゴニョと何か言った。

「涼太なんて言ったの?」

「アァーーーー‼︎もういいからさっさと行くぞ‼︎」

その時ちょうど順番が回ってきて涼太に半ば強制的にウォータースライダーの浮き輪に乗っけられた。このウォータースライダーは二人乗りの浮き輪に乗って滑り落ちるタイプなので僕が後ろに、涼太は前に乗っかった。

「じゃあ行くぞ、、、」

「ちょっと待って、、、、ギャーーー‼︎」

涼太は僕の声を聞くことなく浮き輪を押して滑り始めた。

「ヤッファーーーーーーーーーー‼︎最高ーーー‼︎」

「待って、、、、マジで無理ーーーーー‼︎」

「快斗も目開けて見てみろよーーー‼︎」

「嫌ですーーーー‼︎」

「いいから、、、眺めいいぞ‼︎」

ちょっと目開けてみようかな、、、、そう思って目を開けてみるとまず目に入ってきたのは涼太の大きな背中だった。背中についた雫が光を反射して綺麗だった。バドミントンで必須な背筋がよく鍛えられていてゴツくて、とても頼りになる感じだった。速さがまぁまぁ出ていて怖かったが、そのときだけ安心感があった。なんでだろう、、人がいて安心するなんて初めてだ。そんなことを思っていると、、、、ドボーンと大きな音を立てて俺らはプールに突っ込んだ。あ、終わったんだ、、

「おーい、、快斗大丈夫か?どこか打ったりしたか?」

「いや、、大丈夫。楽しかったね‼︎」

自分でもわからないけど、楽しさが何故か遅れてやってきた。どうやら僕の体は今更楽しさを感じているようだ。

「お、そうか?ならよかったぜ。ここたくさんウォータースライダーあるからどうせなら全部乗って制覇しないか?」

「いいですね‼︎早速行きましょう。」

何故か涼太一緒に乗っていると怖さを感じなかった。結局そのあと2人で全部のウォータースライダーに乗って、全種類制覇する頃には2人ともクタクタになっていた。


➖➖➖➖ ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


いやー楽しかった。快斗が高いところ苦手だったなんて意外だったな。

「おーい、快斗この後どうする?もうすっかり夕方だけど。」

「もうこんな時間ですか、、早いですね。本当に楽しい時間は過ぎるのが早いですよねー。」

「そうだなー、喜んでもらって何よりだぜ。」

「どうしましょうか?僕ここの遊園地詳しくないので特に行きたい場所とかはないですよ。」

「あ、ここの遊園地、夕暮れが綺麗な穴場あるぞ。行かねーか?」

「そうなんですか?よく知っていますね。」

「まぁ、昔よく来てたから。」

嘘だった。実際のところは念入りに下調べしていたからだった。

「じゃあそこ行きましょう。」

「おう、行こうか。」

そうして俺らは夕暮れの綺麗なスポットへ歩き出した。途中で陽炎と柳から連絡が入った。ラインのメッセージは「あそこ行くんだろ?頑張れ、応援してる。」だった。後ろを振り向くと陽炎と柳が物陰からサムズアップをしていた。俺は「ありがとう。」とだけ返しておいた。俺はひどく緊張していた。

「涼太、ここですか?」

「あぁ、あそこにある建物の上だとめっちゃ綺麗に見えるぞ。」

「それじゃいきましょう。」

俺らは階段を上がり始めた。俺は俯いていた。

「うわぁ、綺麗ですねぇ。涼太くん本当に綺麗ですよ。」

快斗の声を聞いて俺は顔を上げた。

「快斗、、、あのな、、、今日お前を誘ったのはな、、、」

落ち着け、落ち着けって。俺は心の中でそう呟いた。

「はい?、、、」

快斗は不思議そうな顔で返事をした。

「あのな、俺な、、、お前とあってからずっとお前のことが好きだった。ずっと、ずっと俺だけのものしたいと思ってた。これからずっと俺の隣にいてくれないか、、恋人として、、、、、」

「、、、、、、、」

快斗は黙りこくってた。最初から予想していた反応だった。ダメ元で言ってみたけどやっぱりダメか、、、、もう友達としてもサヨナラだな、、、

「ごめん、、こんなこと言って。」

「今やっとわかりました、、、、」

「え?何が?」

「いつも涼太が隣にいると居心地が良かったです。どんな時でも、、、とっても。でもその心地よさがなんだったのか今わかりました。さっきウォータースライダーで涼太の背中を見たとき、とっても頼りになるな、、、、、そう思いました。きっとこの気持ちは涼太のことが好きです。いつも気がつけば涼太が隣にいて、いないと寂しくて。今まで人といてこんな感情になったことはありません。今思えば本当に涼太が好きだったと思う。だから、、これからは、、、、僕からも恋人としてお願いします。」

快斗は夕日に染まっても赤いとわかるほど顔面を紅潮させて言った。

「本当にいいのか、、、俺なんかで?」

そう言った瞬間快斗がジャンプして俺に抱きついて来た。その瞬間バランスを崩しそうになった。

「おい、いきなりなに、、、、」

言い終わらないうちにキスをして来た。快斗の唇はとっても柔らかかった。

「これでわかりましたか?、、、、、、」

耳まで真っ赤にして言った。俺はその瞬間快斗を強く強く抱きしめていた。

「ありがとう、、、ありがとう、、、、大事にするよ、、、、」

自分でも時の流れを忘れるほど長い時間だきしめていた。

「涼太、、、苦しい、、」

その声でやっと我に戻った。快斗は下ろすと手を繋いで来た。

「快斗めっちゃ熱いね、、」

「涼太もだよ、、、」

「ねぇ、、、してくれないの?」

「えっ?何を?」

「もう涼太は僕の彼氏なんだよ?」

快斗は舌をペロリと出して言った。

「お前は本当にもう、、、、」

夕日に照らされた2人の顔の影が重なる。口を離した後の快斗の顔は淡く赤に染まっていた。

「ウェーイ‼︎成功したみたいじゃん。」

騒がしい声を響かせながら陽炎と柳がやって来た。

「2人ともうまくいってよかったな、、、、。嬉しいよ、、」

「なんで柳たちここがわかったの?」

「もしかして涼太俺たちが協力したこと言ってないの?」

「あ、まだ言ってないや。えっと、、」

「俺から説明するよ。涼太に快斗に告白したいからいいプラン考えてくれって言われて、俺が柳に告白されたここを選んで協力したの。」

「そうだったんですか、、、、僕のためにわざわざありがとうございます。というか柳と陽炎付き合ってたんですか?」

「あぁ、そうだ。まだこれも言ってなかったな。陽炎とは半年ぐらい前から付き合ってるんだ。」

「そーなの。俺ら今でもラブラブなんだー。」

「お前、そんぐらいにしとかないと殴るぞ?」

「ごめんって、、、、やめてよ。」

「まぁいい、、、それよりお前ら見てみろよ、、、」

柳が指差して言った。そこには今にも沈んでしまいそうな太陽があった。

「バカみたいに綺麗だな、、、、。」

「今日本当に楽しかったです。本当にしあわせです、、、」

「よかった、、、、」

見つめ合いながら言った。快斗の目は夕暮れが写ってオレンジ色に染まっていた。夕日が沈む頃、遊園地の出口には手を繋ぐ2組のカップルの影が写っていました。


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