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召喚


「おーい!ノア!早く起きろよ!」


 目を擦りながらベッドから体を起こし、下の階から俺の名前を呼ぶ弟のルアの元にゆっくり向かう。


「まだ朝の6時だろ?急に何の用だよ?」


 壁に掛けられた時計を確認しながら眠そうに言葉を返す。


「何って、今日は森の奥の泉で召喚式があるんじゃないの?昨日あんなにワクワクしてたのにもう忘れたのかよ!本当に兄貴はアホだな!」


 弟の言葉を聞いて眠気が一気に吹き飛ぶ。


「そうか、今日から待ちに待った俺とドラゴンの冒険者としての活躍の始まりなんだ!」


「呑気に話なんかしてないで早く森に向かったら?召喚式も終わっちゃうんじゃないの?」


 呆れたように話し掛ける弟に背を向け、森の方にパジャマのまま俺は走り出した。


「……兄貴はいっつもあんな調子だよな。」


 ルアはため息をつきながら呟く。ノアのルアの兄弟は幼い頃に両親が亡くなってから二人で暮らしていた。



「はぁ…はぁ…ジャックさん!…まだ召喚式…終わってませんか?」


「ようやく来たなノア。召喚式に遅刻したのは今まででお前が初めてだよ。ワハハ!」


 森から離れた住宅街に住むノアは数km程離れた森の奥の泉まで全速力で向かい、息切れしたままの声でジャックに問いかけた。

 ジャックとは、泉での召喚式を執り行う老人だ。


 数十年前、この町に現れた襲撃者から従えたドラゴンと町を守った冒険者がジャックだった。その後、この町に滞在した際に一目惚れした女性と結婚してここで暮らすようになった。

 それ以降も、現れた襲撃者から町を守り続けていたが、歳を取り、老人になってしまったジャックは冒険者を引退してしまった。

 引退後は町の冒険者志望の若者をこの泉から送り出していた。

 明るい口調でノアを笑うジャックは町の子供達の人気者であった。

 しかし、引退前の活躍を知る大人は今のジャックの姿を見てあまりよく思わなかった。


「本当にごめんなさい。すっかり忘れてました!」

 息を整え、ノアが謝罪する。

「全く、お前は小さい時から変わらんな!」

「まぁいい、着いてきなさい。お前とドラゴンのご対面だよ。」



 ジャックに案内され、俺は泉の前に立つ。

「手を前に出して自分の願いを心で唱えなさい。」

 普段はおちゃらけたジャックが落ち着いた声でノアに話す。

「……ありがとう。分かったよ。」

 手を前に出し目を瞑る。ノアは自分の心に願いを唱える。


(俺の願い…俺は、襲撃に苦しむ人の為に旅に出て、町を救いたい。そのために勇敢なドラゴンの力が必要だ!)


 心で唱え、目を開けた瞬間、泉に魔法陣の紋様が現れ、激しい光を伴って光り出す。


「なんだこの光は…今まで見てきた召喚とは訳が違う…」


「ノア…これはとんでもないドラゴンが誕生するかもしれないぞ…」


 ジャックが小さく呟きながらノアの方を向く。


「ん?ジャックさん。何か言っ…うわぁぁぁ!」


 ドゴーンという爆音と共に凄まじい爆発が起きる。ノアとジャックは爆風で近くの木にぶつかり、倒れてしまう。爆発によって煙が上がり、その中から小さなシルエットが見える。


「どうやら、召喚に成功したようだな。」

 ジャックが立ち上がり、ノアに手を差しのべる。

「ジャックさんありがとう。」

 お礼を言いながらジャックの手を掴もうとすると、煙の中のシルエットがノアの方目掛けて走って近づいて来た。


(これから俺たちの冒険が始まるんだ…)

 未来への期待に胸をふくらませていると、そのシルエットが煙から飛び出し、ノアの腹目掛けて走って飛び込んできた。


「ピギィ!!」


 ノアが自分のお腹の方に目をやるとそこには子豚

が此方を見ながらちょこんと座っていた。





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