俺が強くならなきゃいけない
「【ソウルブースト】!!」
身体強化をした俺の体は、通常状態の倍以上に強化されていく感じがした。
「なぁおっさん達、よくも学校をぶっ壊してクラスメイトや先生たちを殺してくれたな。俺はあんたらを許せねぇ。覚悟しろ。」
「剣を持てたぐらいでいきがるんじゃねえよ、ガキが。」
「能力を使って殺しましょう。さっさと終わらした方が得策ですよ」
そう言ったおっさん達は、突然苦しそうに蠢き始めた。
「ぐぅっ、がぁあ!、…はぁ、能力を使う時、痛みが生まれるのは勘弁して欲しいぜ。まあ、これで仕事がすぐ終わるならよしとするか。」
「全くですよ、さっさと終わらしましょう」
「!!あんたら、その姿、まさかビーストタイプか!」
「あぁそうだ、俺はモデル・【ハイエナ】。」
「俺はモデル・【カラス】だ!」
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異能力にはそれぞれ、身体強化タイプ・物理操作タイプ・ビーストタイプの3つが存在する。
身体強化タイプ・・・自身の体の一部を強化して戦うタイプ
物理操作タイプ・・・この世に存在する、あらゆる物理法則を使って戦うタイプ。まだ地球で発見されてない法則を使う能力者もいる。
ビーストタイプ・・・あらゆる動物の特徴を生かして戦えるタイプ。動物の特徴に合わせて、見た目が変わる能力者も存在する。
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「いくぞおっさん!覚悟しろよ!」
「調子に乗るなよガキが!ぶっ殺してやるわ!」
剣を前に突き出し突進してきたおっさん達は、俺の懐に入って、心臓を刺そうとしてきた。が、それを見切った俺は、手に持っている剣で弾いた。
「⁉︎…このガキ、急に反射神経が良くなりやがった!どうなってる!?」
「うろたえるな!動きは早くても剣の腕は初心者だ!」
おっさん達がびっくりしている間に、俺は間合いを詰めて二人いっきに斬りつけた。
「安心しろおっさん、死なない程度に斬ったから」
「なん、だ、と、、ガキの、くせ、に…」
「ちく、しょ、う、!」
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ハイエナとカラスの能力者を倒した後、残りの残党を倒して帰ってきた翔が、俺の後ろから声をかけてきた。
「雪村留糸君、僕は君にいくつか質問したいんだけど、時間はあるか?」
「出来るだけ質問を減らして欲しいんだけど、いいか?」
「わかった、じゃあ3つだ。まず一つ目、なぜ君は瓦礫に押し潰されて死んだのに、生き返ったんだ?」
「ソウルドラゴンのおかげだ。俺は何もしてねえよ」
「…ソウルドラゴン?どこかで聞いた事があったような、無かったような….まぁいい、じゃあ二つ目、君がおこなった【錬金術】。あれもソウルドラゴンのおかげか?君の能力は【魂の共鳴】のはずだ。なぜ僕と似たような剣を作れた?」
「それもソウルドラゴンのおかげだ。俺は本当に何もしていない」
翔の質問に、今起きた事はソウルドラゴンの能力のおかげだと返した。
そして翔は、最後の質問を問いかけてきた。
「じゃあ三つ目、ソウルドラゴンというのはなんなんだ?」
「俺もよく分からないけど、昔神々に封印されたドラゴンだって本人が言ってた気がする。まぁ俺の知ってる事はこれだけだ。はっきり言って、俺もあんまり覚えて無いんだ、Evil Hunterがもう少しで到着するらしい。事情聴取頼んだ!じゃあまたなー」
翔は何やら納得出来ていない様で、考え込んでいた。
俺は翔に別れを告げてその場を離れた。なぜその場を離れたかというと…
「あ、いたいた。おーい!優!」
心配を掛けさせてしまった友人に、改めて謝るためだ。
「優。俺が言った《先に死なない》という約束を破ってしまって本当にごめん。今度こそ約束は絶対守る、だから…だから、これからも今まで通り接して欲しい!」
それを聞いた優は、涙を零したながらも、とびっきりの笑顔でこう言った。
「おかえり 留糸!」
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その後、俺は街を見下ろせる展望台に移動して、ボロボロの学校と、その周辺を手すりにもたれながら眺めて、ソウルドラゴンと会話していた。
「なぁ、ソウルドラゴン」
「なんだ?戦いなら終わったぞ?俺は無事精神世界を出れた、小僧は元の世界に戻って守りたいものを守るための戦いをした。お互いの目的は達成された訳だ。」
「あぁそうだ、その通りだよ。だけどまだこの戦いは終わってないんだ。俺は守るべきものを守るための、戦う力が欲しい!ソウルドラゴン、おまえの力を借りたいんだ!」
「それは、これからも私と共に戦うということか?」
「…そうだ」
「たとえどんな強敵が現れても?」
「そうだ!」
「自分の体がどうなっても?」
「そうだ!!」
「最後に問う!私の力を使いたい理由はなんだ!」
俺は、ソウルドラゴンが出した最後の質問に答える時、地平線に沈む夕陽に向かって叫んだ。
「俺が強くならなきゃいけないからだ!」