4話 俺、反撃します!②
「あれ?なんだこの状況?なんであのイケメンがむさい男に囲まれてるんだ?」
精神世界から現実の世界に無事帰還した俺とソウルドラゴンは、目の前で起きている事態をどう捉えたら良いかと考えていた。
「る、いと?…ひょっとして、幻覚?…それとも、ここは、天国なの?」
優が、訳の分からない事を呟いていた。
「なに言ってるんだ?お前も頭をのぼせたのか?ここは現実の世界だ。復活早々びっくりするような事言わないでくれ。」
優が、「復活?」とぼやいた後、急に俺の胸元に飛び込んで泣き始めた。
「う…う…ぐすっ、私より先に逝かないでってあの時約束したのに…、私を置いて死んでしまって…ぐすっ、本当に…本当に…!…心配したのよ?…うわーーーん!!」
とうとう堪えきれなくなった優は、赤ちゃんのように泣きじゃくり目を真っ赤に腫らせていた。
…あぁ、そうか。おれ、心配させてたんだな。
「心配させて悪かった。今度こそ優を守るためにずっとそばにいる事を約束する。だから、もう泣かないでくれ」
俺の精一杯の謝罪と決意を、優に伝えた。
「本当に?…本当に守ってくれる?」
「あぁ、守る。絶対に!そのためにここに戻ってきた。」
目線を合わせ、お互いの顔を近づけて、唇と唇が合わさろうとした、その時
「おい!死んだはずの男が生き返ってるぞ!弱そうな男の方を二人がかりで殺してこい!」
この学校を爆破させたであろうグループのリーダーらしき人が、仲間二人に命令した。
「了解っす!」
「了解しましたぜ!」
とだけ言うと、俺目掛けて走ってきた。
「おい、そこのガキ。どうやって生き返ったか知らねーが、そのまま死んでいた方が良かったかもしれねぇのによ!」
「俺たちに見つかったのが運の尽きだ、大人しく死ねぇ!」
三下みたいなセリフを残し、俺に魔法弾を撃ち放ってきた。
それに気づいた優は、もうちょっとで触れそうだった唇を離し、俺と優を覆うように『バリア』を貼った。
バリアに触れた魔力弾は弾け飛び、それを眺めていた俺は…俺は…!
「おいぃぃい!!もうちょっとで優とキスできたのにぃ!お前らが邪魔したせいで離れ行ったじゃねーか!どう責任とってくれるんだよ!ふざけんなよ!」
これ以上無いぐらい怒っていた。
「何わけわかんねぇ事で怒ってんだよ!まさかお前、今まで経験のない、どうてぃ「うるせー!人の幸福を邪魔しやがったお前らを、俺は許さねー!」俺が今しゃべってんだから割って入ってくるな!」
年齢=童貞歴の何が悪いんだよ!もうあったまきた。
「ソウルドラゴン、俺に力を貸してくれ!」
「承知した、私の力を見せてやろう。」
と、ソウルドラゴンが言った瞬間、俺の胸元が紅く光った。
「これでお前は私の力を使えるぞ。だが高度な技は練習しないと使えないので、まずは初歩的な『錬成』を使え!」
「『錬成』?それって錬金術師とかがやるやつか?」
「その通りだ。まずは自分の胸元に手を置き、動かしたい物体に触れろ!」
「わ、分かった!」
俺は言われた通り胸元に手を置き、近くにあった鉄骨に触れた。
その瞬間、手で触れている場所が紅く光った。
「触れたぞ、ソウルドラゴン!紅く光ってるんだけど、どうしたらいい!?」
「紅くなっているのならよし!次に、自分が創りたいものを想像し、『リンク』と叫べ!剣でもなんでもいい!自由に考えろ!」
俺は翔が持っているような西洋剣を想像し、キーワードを叫んだ。
「『リンク』!!!」
すると触れている鉄骨が、俺が想像した(翔と見た目が同じ)剣に変形した。
なるほど、これが『錬成』か
「うむ、無事に出来たようだな。それを使って戦うんだ」
「ちょっとまって!この剣重いんですけど⁉︎」
うそだろ、なんでこんなに重いんだよ!ちくしょう!
「当たり前だ、鉄骨をそのまま変形させたからな。見た目が変わっても重さは変わらん。」
おい〜まじかー
じゃあ貧弱な体をしている俺には使えないじゃーん。
「いつまでもたもたしてるんだ!ぶっ殺してやる!」
「!!…あぶねぇ!」
痺れを切らした男二人は一気に俺に詰め寄り、ナイフで刺そうとしてきたが間一髪でかわし、後ろに一歩下がった。
「ちっ!かわすのだけは上手いんだな。次は外さねぇ!痛いのが嫌ならジッとしてろ!」
「ちょ!なんとかしてぇ!ソウルドラゴン!お願いお願いなんとかしてぇ!」
「ふむふむ。細身の相棒ではこの剣は扱えぬのか…では、私のとっておきを教えてあげよう」
「とっておき?どんな技なんだ?是非教えてください!』
「1人で何言ってるんだ?お前、多重人格者か何かか?」
俺はソウルドラゴンと喋っているつもりだが、側から見ると1人2役を演じているように見えるらしい。
「留糸、【身体強化】という異能力を知っているか?その能力を応用したものだ。キーワードは『ソウル・ブースト』だ!」
ソウルドラゴンは気を使ってくれて、俺の心に直接語りかけてきた。
「分かった!!『ソウル・ブースト』!!」
そう唱えた瞬間、体中の全エネルギーが倍以上に、膨れあがっていくのが分かった。
「いける、今の俺ならこの剣を持てる!待たせて悪かったな、おっさん!今からお前らを、倒す!」